リズム楽器の重鎮が奏でる、ラテンサウンドを軸にニューエイジとロックっを融合させたような、大地の鼓動感じるフュージョン2作品。わたくしのリズムパートへのこだわりを作り上げてくれた原点シリーズ
ミュージシャン:
JIMSAKU
作品名:
NAVEL
(1994年作品)
作品名:
BLAZE OF PASSION
(1995年作品)
父親が好きで、幼い頃から聴いていた、『THE SQUARE』『CASIOPEA』『松岡直也』の3ミュージシャンしか知らなかったわたしが、初めて自らで購入したフュージョングループがこのJIMSAKUでした。(初めて購入したアルバムはWIND LOVES USです。)
自らとは言っても元CASIOPEAのメンバーだったということもあって、出会うのは必然であったのかもしれませんが。(笑)
このコンビのサウンドは[ベース:櫻井哲夫]、[ドラム:神保彰]からなるユニットということもあり、極上の安心感を与えてくれるリズムパートが特徴で、大げさではありますが太古の時代に自然界に存在するものを叩いて音楽を楽しんでいたとされる、人類の潜在意識に眠る魂を呼び覚ましてくれるかのような、リズムを楽しむ音楽をメロディも大事にして届けてくれます。
2作品ポイント
・民族音楽的ニューエイジサウンドが好きだけど、リズムパートに物足りなさを感じている方にオススメ。
・メンバー以外の楽器パートも、しっかりと奏者を招いて生楽器の音が楽しめる。
・涙を誘うような抒情的サウンドではない。
アルバム『NAVEL』
メンバー
<JIMSAKU>
CDブックレットより
TETSUO SAKURAI
・ベース
(1,2,3,4,5,6,7,8、10曲目)
・フレットレスベース
(4,9曲目)
・ピッコロ弦ベース
(2、4曲目)
・ヴォーカル
(4曲目)
AKIRA JIMBO
・ドラム
(1,2、3、4,5,6,7,8,10曲目)
・エレクトリックドラム
[YAMAHA Drum Trigger System DTS-70,EP-75]
[Rhythm Sound Module RM-50]
(9曲目)
・ティンバレス
(1,2,6,8,10曲目)
・サンポーニャ
(1曲目)
・Timbongoloという謎表記
(7曲目)
<参加ミュージシャン>
KEN MORIMURA
・アコースティックピアノ
(1,2,5,(LEFT SIDE),7曲目)
・シンセサイザー
(1,2,4,5(LEFT SIDE),6,9曲目)
・ハモンドオルガン
(10曲目)
YOSHIAKI MUTHO
・エレクトリックギター
(1,5,6,7,9,10曲目)
・アコースティックギター
(4曲目)
MAKOTO KIMURA
・バタ・ドラム
(1曲目)
・パーカッション
(2,5,6,10曲目)
MICHIAKI TANAKA
・バタ・ドラム
(1曲目)
SHIRO SASAKI
・トランペット
(1,6,10曲目)
MASANORI SUZUKI
CDブックレットより
・トランペット
(1,6,10曲目)
KAZUKI KATSUTA
・アルトサックス
(1,6,10曲目)
SHOJI HARUNA
・テナーサックス
(1,6,10曲目)
・バリトンサックス
(10曲目)
ICHIRO NAKAI
・アコースティックヴァイオリン
(2,6曲目)
CHIZUKO YOSHIHIRO
・アコースティックピアノ
(5(RIGHT SIDE)曲目)
・アコーディオン
(10曲目)
感動的メロディーが好みの私が聴いた場合の全体感想
🎼:JIMSAKU
ポップ感
(聴きやすい曲が多い)
🔴🔴⚪⚪⚪
演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🔴🔴🔴🔴⚪
疾走感
(⬅スローテンポ多・アップテンポ多➡)
🔴🔴⚪⚪⚪
ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
🔴🔴🔴⚪⚪
涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🔴⚪⚪⚪⚪
各曲感想『NAVEL』
1,
Navel of the Earth
一歩一歩踏みしめるが如く重厚感のあるリズムに、ほのぼのとしたサンポーニャの音色が乗り優しい雰囲気からスタートします。
ホーンセクション独特のキレのある演奏を合図に、エレキギターの綺麗にメロディを刻みながらも荒々しさのある熱い演奏が魅力です。
オープニングを飾るにふさわしく、そしてアルバム全体を表現しているようなゆっくりテンポの激しい曲です。
2,
Shinkiro
雨季を思わせるような少しどんよりとした雰囲気のスローな曲です。
アコースティックギターがしっかりとメロディを奏でていて、哀愁感漂うラテンサウンドとなっております。
ルンバような雰囲気にヴァイオリンの演奏が気持ち良く絡み、途中スペイン音楽のよう情熱的な部分もあり、ゆっくりな曲ですが聴き応えがあります。
3,
Big Man
ベースとドラムだけで奏でる、ソロ演奏を聴いているような曲です。
激しく暴れるようなベースと、目まぐるしく移り変わるドラムの技巧プレイが楽しめます。
4,
Alisa
ポップスバラードのような聴きやすいメロディの曲です。
ドラム演奏は特に技巧プレイはなく優しく演奏しており、ピッコロ弦で奏でるベースのメロディにハミングが乗っかる癒やしタイプのサウンドとなっております。
5,
Rendezvous
スムースジャズと呼べるような心地よい癖の少ないサウンドです。
少しオリエンタルな雰囲気のあるメロディに、チョッパー演奏が無いにもかかわらずとてもハッキリとした主張のベース音が心地良く、シンセサイザーやピアノが全面に出ているはずなのに、なぜかベース音に耳が行ってしまう曲です。
6,
Pea Can Zouk
カリプソのグルーブにコロンビアのクンビアのグルーブとレゲエのテイストを入れちゃったような、とても明るくにぎやかな曲です。
情報番組やお料理番組などのテーマ曲なんかでもありそうな、親しみやすさもあります。
ホーンセクションとヴァイオリンが会話するようにノリノリで演奏している様子が浮かび、ベースの癖になるリズムもとても耳に残り、楽しい気持ちにしてくれる曲です。
7,
Crescent Jam
ドラミングが複雑なファンクロックと言った感じの曲です。
ベースも負けじと重厚な音数の多い演奏で、身体に響く感じがたまらないです。
メインはエレキギターの演奏で、自由に演奏しているような演出が光り、ピアノが入ってくるとお互い目の合図だけでジャムセッションをしているんじゃないかと思わせる、ファンキーな曲となっております。
8,
Guru Guru Labyrinth
今作品2曲目のベース、ドラムのみの曲です。
全曲よりアップテンポなので、こちらの方が弾きまくり叩きまくり感がとても出ています。
9,
Dawn Voyage
ベースのなんとも言えないやさしい演奏がメロディを奏で、ドラムもエレクトリックドラムなので、技巧演奏を楽しむというより美しいメロディで癒やさせるイージーリスニング要素の強い曲だと思います。
シンシンと降り注ぐ雨の中を散歩しているような、少し風流な印象も受ける雰囲気が良いです。
10,
Tokyo Tower of Power
トリを務めるにふさわしい極上のインストゥルメンタルになっております。
参加楽器総出演といった感じで、沢山の音が楽しめます。
テンポとリズムもちょうど良く、ベースとドラムのユニットの特性を活かしており聴いていると手と足が自然にビートを刻んでしまうほど心地よいサウンドです。
途中にあるベースソロが気持ち良く、技巧プレイをみせるのではなくメロディを半分奏でるようなスタイルで演奏していくところがこの曲の魅力の一つだと思います。
主旋律をアコーディオンが担当しており、異国情緒を感じられ旅番組のBGMあたりにピッタリなのでは。
アルバム『BLAZE OF PASSION』
メンバー
<JIMSAKU>
CDブックレットより
TETSUO SAKURAI
・ベース
(2,3,4,5,6,7,10曲目)
・フレットレスベース
(1,3,9曲目)
・ピッコロベース
(3,7,8曲目)
・サイレントベース
(6曲目)
・コーラス
(3曲目)
AKIRA JIMBO
・ドラム
(3,6,9曲目)
・ティンバレスドラム
(1,2,4,5,7,8,10曲目)
<参加ミュージシャン>
KEN MORIMURA
・アコースティックピアノ
(1,2,4,6曲目)
・シンセサイザー
(1,2,3,5,7,10曲目)
・エレクトリックピアノ
(6曲目)
・ハモンドオルガン
(5,7,9曲目)
・パーカッションプログラミング
(4,10曲目)
・シンセプログラミング
(9曲目)
・コーラス
(3曲目)
YOSHIAKI MUTHO
・ギター
(1,6曲目)
・エレクトリックギター
(4,5曲目)
・アコースティックギター
(9曲目)
JOE GROUP
・ストリングス
(1曲目)
ICHIRO NAKAI
・エレクトリックヴァイオリン
(2曲目の)
・アコースティックヴァイオリン
(6曲目)
YUJI TORIYAMA
・エレクトリックギター
(2,10曲目)
SHIRO SASAKI
・トランペット
(2,4,7曲目)
FUTOSHI KOBAYASHI
CDブックレットより
・トランペット
(2,4,7曲目)
YOSHINARI TAKEGAMI
・アルトサックス
(2,4,7曲目)
YOSHITAKA KURATOMI
・テナーサックス
(2,4,7曲目)
SATOSHI SANO
・トロンボーン
(2,4曲目)
CHIZUKO YOSHIHIRO
・ハープシコード
(3曲目)
・フェンダーローズ
(9曲目)
ISSEI NORO(LEFT SIDE)
・エレクトリックギター
(5曲目)
HIROKUNI KOREKATA(RIGHT SIDE)
・エレクトリックギター
(5曲目)
MAKOTO KIMURA
・コンガ
(5,7曲目)
MICHIAKI TANAKA
・パーカッション
(6曲目)
感動的メロディーが好みの私が聴いた場合の全体感想
🎼:JIMSAKU
前作の土臭い民族音楽が印象にのこるサウンドとは違い、メロディアスな曲が多く収録されており癖の少ないドライブに合いそうなアルバムです。
ポップ感
(聴きやすい曲が多い)
🔴🔴⚪⚪⚪
演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🔴🔴🔴🔴⚪
疾走感
(⬅スローテンポ多・アップテンポ多➡)
🔴🔴⚪⚪⚪
ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
🔴🔴🔴⚪⚪
涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🔴⚪⚪⚪⚪
各曲感想『BLAZE OF PASSION』
1,
AWAKENING
1曲目から神がかった素晴らしい曲でスタートします。
民族音楽色の強いイントロでスタートし、ギターとベースも各々メロディ演奏を披露し静かに進行していきます。
そしてストリングスが入り盛り上がりの前兆が現れだし、勇ましい感じのカッコイイメロディをギターで奏で、いよいよ勢いよくドラムが入ります。
勇壮なメロディとストリングスが入っていることにより、ファンタジックの要素も少し感じられ、ソンゴのリズムをドラムと厚みのあるベース演奏が軽快に奏で、少しせつないメロディも合わさりどこかアニメやゲームのテーマ曲を聴いているような印象もあり、後半にピアノが入りだしてからは盛り上がりも最高潮。
JIMSAKUの中でも数少ない美メロ曲となっております。
2,
BRAIN BUSTER
熱帯雨林のジャングルをイメージしたような癖になるメロディのループに合わせ、演劇で抜き足差し足忍び足の潜入場面を想像してしまいそうな、少しあやしげなムード漂うホーンセクションの演奏と、ドラムソロのような技巧プレイが続く曲となっております。
そこへ更にエレクトリックギターとエレクトリックヴァイオリンが、不協和音ギリギリと言えるような激しい演奏でバトルしていきます。
途中にクラシカルでキレイなメロディなんかも入り、展開の聴きどころが多くデンジャラスな世界を感じれるサウンドです。
3,
I FEEL YOU IN MY HEART
少し幻想的で優しいメロディで、ピッコロベースの演奏が心地良く、スネアやバスドラムを叩かないドラミングが木々のざわめきなどをイメージできます。
爽やかなバックのシンセと小鳥のさえずり効果音などが、メルヘンチックな曲となっております。
4,
261 BROADWAY
アルトサックスとテナーサックスメインの軽快なラテンフュージョンとなっております。
太陽に照らされて眩しく輝く朝露をイメージさせるような爽やかなイントロから、最初のうちはポップでメロディアスな正統派フュージョンといった感じですが、中盤からバックにラテンピアノが入り一気に踊りだしたくなるような明るく陽気な雰囲気へと変わっていきます。
5,
BLAZE OF PASSION
自由に身体を動かしやすいダンサブルなリズムに、程よいパーカッションと聴きやすくクリーンなエレキギターの音が心地よいポップな曲です。
この曲はエレキギター3人で演奏されているということもあり、隙間なく音が詰まっていてギター同士の掛け合いや合いの手のような流れや、めちゃくちゃ激しいわけではありませんが、ソロ演奏バトルの部分もあったりと、ギターフュージョン好きにはたまらないと思います。
6,
PRIMROSE
とてもほのぼのとした雰囲気の曲で、ベースが主旋律を演奏する曲です。
ベースとヴァイオリンのユニゾンが良い味をだしており、穏やかな昼下がりや夕焼けなどがとても似合いそうでイージーリスニングという言葉が似合いリラックス出来る曲です。
7,
SANGRIA
テレビショッピングのテーマ曲等でありそうな、サルサを基調としたポップでリゾート感のある明るい曲です。
アコースティックギターの爽やかな音色で落ち着いた雰囲気からスタートし、ホーンセクションがバックを彩り、後半にラテンピアノのバック演奏が入りだし常夏の楽園ミュージックの形が完成される感じの展開です。
踊りだしたくなるにぎやかさですが、バカ騒ぎのお祭りサウンドではなくゆったりとリズムに身体を委ねて楽しくのれる曲だと思います。
8,
MEGATON PUNCH
ベースが終始弾きまくる、テクニック披露のソロプレイが続く曲です。
アップテンポでドラムの手数の多さも聴きどころで、メロディも比較的しっかりありジャズの雰囲気もあるので、技巧はプレイを楽しむジャズといった感じです。
9,
CAT WOMAN
大都会の夜を感じさせ、少し危険な香り漂う裏路地なんかをイメージできそうで、ソウル・R&Bジャズ風とロックを融合させたようなサウンドとなっており、ハモンドオルガンメインの極上ダーク・ミッドナイトジャズです。
イントロと終始バックで響いている打楽器が、民族音楽な雰囲気を出していて不思議な世界観です。
ベースがメロディと伴奏を織り交ぜた複雑な演奏で存在感が強くて良いのと、ギターとベースがメロディでユニゾンしている部分や、ハモンドオルガンのジャジーな演奏と合わせて最高に格好良いです。
10,
BASH
最後のこちらはとんでもなく賑やかでお祭り曲となっております。
ラテン音楽のサンバとメレンゲを融合させたような、身体を動かさずにいられないようなアップテンポで各楽器弾きまくりにも注目のテンション上がるサウンドです。
終始ドラムソロのような技巧プレイと、ギターのメタル並のハードで速弾きなどの演奏、ベースもメロディのユニゾンや地を這うような重底演奏まで心地よいです。
最後に
JIMSAKUは誰かが聴いていたとか教えてもらったなどではなく、完全に自身で出会った人生で初めてのフュージョンミュージシャンであり、リズムパートに関して、ベースとドラムが生演奏もしくは生楽器音で制作されたインストゥルメンタルでないと好きにならない、という好み形成を作り上げた原点のサウンドとなります。
作品で言うと、
『WIND LOVES US(1993年)』と今回紹介の『NAVEL』『BLAZE OF PASSION』となります。
小さな頃からそうでしたが、足で床を踏んでバスドラムのリズムを刻み、手で腿の上を叩きスネアを真似してみたりと、振り返ってみると常に音楽を聴きながらドンドコドンドコやっていたなぁと懐かしく思います。
この段階でドラムを始めていたらと後悔を感じたりもしますが、当時は家が貧乏だったので何か高いものを買ってもらうという事が考えられなかったのと、潜在的に最初から無理だと思っていたのかわかりませんが、自分自身が楽器を演奏するなんて事自体全く頭に無かったと記憶しております。
ただ音楽を聴いているのが楽しくてしょうがないという感情や思い出は沢山蘇ってくるので、もしかしたら楽器を始めて演奏する側に回ろうとしていても続いていなかったかもしれません。(笑)
音楽に年齢は関係ありませんが、特に若い方は自分の魂揺さぶられる楽器を、一つ極めてみるのも人生の楽しみに繋がるのではないでしょうか。
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