サーフ・ロックが好きになる。そんな熱いインストゥルメンタル。1作品

作品名:
アンソロジー 〜20周年記念ベスト・アルバム
(2014年作品)
ミュージシャン:
ザ・サーフ・コースターズ

 エレキギターというのはエフェクトで様々な音を発することが出来ますが、ガンガンかき鳴らすという意味で、ザックリ一番イメージしやすいジャンルがハードロックやヘヴィメタルだと思います。

そんなエレキギターサウンドの中でも、音楽にそれほど興味がない人には、意外に耳馴染み無い音を響かせるのがサーフ・ロックと呼ばれているジャンルになります。

子供の頃に父親の影響で、わたくしの家ではそれなりに耳にすることのあったサーフ・ロック。
『エレキサウンド』なんて言われていて、その当時だと、ベンチャーズ、寺内タケシ、加山雄三などがわたくしの知っているところになります。

もちろんファンの方は沢山いらっしゃると思いますが、上に挙げたミュージシャンのサウンドは個人的に刺さりませんでした。
音色は好きでしたが、心に刺さらなかった理由として、どうしても全体的な音の密度が質素なのと、歌謡曲チックな雰囲気があるからだと思います。


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 そんな中、はじめて耳にした時期は正確に覚えていないのですが、確かラジオから流れてきて知ったような記憶があります。
『ザ・サーフ・コースターズ』との出会いでした。
加山雄三を父親が聴いていて、エレキサウンドというものの音を知ってはいたけど、サーフ・コースターズを最初に聴いた時は「なんなんだっ!!この激しさと疾走感はっ!?しかも、インストだしめちゃカッコイイ」と思ったのを覚えています。

 1995年レコードデビューと、現在から見れば意外にも古いバンドです。
サーフ・ロックの特徴でもある歪のないクリアなトーンとリバーブのきいた音を激しくかき鳴らし、疾走感のある演奏で駆け抜けるサウンドで、エレキサウンドの音は別に好きではなかったのですが、こんなんだったら話は別で「これは好きっ!」と素直に思いました。

メンバー
(CDブックレットより)

ベストアルバムなので時代によって奏者が変わっています。

氏名楽器演奏曲
Shigeo NakaギターDISC 1 _ 1 ~ 22
DISC 2 _ 1 ~ 20
Nobuhiro KuritaベースDISC 1 _ 14
DISC 2 _ 1 ~ 20
Kozue ItoドラムスDISC 2 _ 1
MorleyギターDISC 2 _ 1
Tomo SatoベースDISC 1 _ 1 ~10,13,15,18 ~21
Akikazu HanaokaドラムスDISC 1 _ 1 ~ 13,15,16,18 ~ 21
Maki Yagiギター
ベース
DISC 1 _ 1 ~ 13,15,16,18 ~ 21
Masashi SakaiギターDISC 2 _ 6,7,12,15,16
Koichi MiyakeドラムスDISC 1 _ 14
DISC 2 _ 2,6,7,12,15,16,19
Naotaka SekiドラムスDISC 2 _ 3 ~ 5
8 ~ 11,13,14,17,18,20
Kiyomi NishidaオルガンDISC 2 _ 10,18

タワーレコードは収録内容🎧️ページで各曲少しずつ試聴できます。

メロディック
(聴きやすさ)

ポップであるか?と言われるとちょっと考えますが、メロディックなのは確かです。
激しさと哀愁が合わさった感じのサウンドです。

抒情的
(感傷に浸れる)

エレキサウンドブームを懐かしみグッとくるという意味ではあるかもしれませんが、サウンドとしては泣ける方向性ではありません。

演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)

サーフ・ロックのエレキサウンドをとにかく浴びることができ、特に疾走感のある曲に関しては、パンクロックやヘヴィメタルに劣らない演奏乱舞感だと思います。

ファンタジーな世界観
(壮大・神秘・幻想的)

皆無です。

ヒロイック
(勇壮や鼓舞メロディ)

自分の感情を高めたりする意味では、リアル生活に対して立ち向かうエネルギーにはなるかもしれません。

ワールドミュージック色
(民族音楽的要素)

皆無です。

疾走感

2枚組と曲数が多いですが、割合的に疾走感のある曲が多いです。

🎼:ザ・サーフ・コースターズ

各曲感想
(DISC1)

01,
Intruder
(♫=S.Naka)

 1曲目のこの曲を聴けばサーフ・ロックとは?が瞬時にわかります。
リズムは少し陽気ですが、メロディは鋭く攻撃的で心地よいトレモロリフなど、初っ端からテンション上がります。

02,
Chasing Shadows
(♫=S.Naka)

 初めて聴いたのがこの曲だったのもあり、わたくしの中で、ザ・サーフ・コースターズと言えばっ!?なのがこの曲です。
王道的な印象に残るイントロと、硬派な雰囲気の中に哀愁あるメロディがとてもカッコ良く、それでいて夏を感じさせるパーカッションの音などノリも重視している感じが最高です。

03,
Dolphing
(Live ver.)
(♫=S.Naka)

 ギターパフォーマンスの映像が浮かんでくるような躍動感ある演奏です。
ロックンロールなノリも感じられ、短い曲ですがテンション上がります。

04,
Ultra Q’s Theme
(♫=K.Miyauchi)

 『ウルトラQ』のテーマ曲カヴァーということですが、サーフ・ロックアレンジがとても合う。
映画『007』や『スパイ大作戦』のようなスパイ映画っぽい世界観が出ていて良いです。

05,
Tsunami Struck
(Live ver.)
(♫=T.Sato)

 こちらも初期の曲で、音はサーフ・ロックですが、ツイストとしても踊りやすそうなテンポの部分があり、ロックンロール感もあります。
実際はそんなに速くないですが、疾走感のあるドラミングが速い曲に感じさせてくれます。

06,
Bike Men!
(♫=S.Naka)

 ハワイアンなウクレレを感じさせくれるような音色があり、爽やかで明るい雰囲気なのでアメリカンなビーチサウンドといった感じです。
こちらもツイストダンスが似合いそう。

07,
Dreams
(♫=T.Sato)

 サーフ・ロックとスカ・パンクが融合したようなサウンドと、歌詞が付きそうなポップな主旋律が癖になります。

08,
Sea Knows
(♫=S.Naka)

 穏やかな雰囲気の曲で、サーフ・ロックでよく聞かれるスプリングリバーブのビャッビャッビャッと言うような音がバックのリフで鳴っているのが心地良いです。

09,
Clash
(♫=S.Naka)

 歪ますギリギリの音色とクリーンなギター音色が絶妙に絡み合い、哀愁あるメロディとハイテンションのドラミングが熱いです。
テケテケ乱用も良いです。

10,
Ranpage
(Demo ver.)
(♫=S.Naka)

 個人的にサーフ・ロックに求めているギター音で演奏されている、馴染みやすいメロディの曲です。

11,
Astral Circle
(♫=S.Naka)

 スパイ映画感がハンパないスリリングなミディアムテンポの曲です。
バスドラムの音とベースの音がシンクロし混ざり合うところがカッコイイです。

12,
Tally-Ho!
(♫=S.Naka)

 疾走感のあるベース演奏がとても耳に響いてくる、ノリのよい明るく爽やかなサーフサウンドです。
少し短いのが残念で、もっとギターのソロ演奏の暴れっぷりを増やしてほしかったです。
このような曲をサーフ・ロックに求めている方も多いかと思います。

13,
Shark Attack
(♫=T.Sato)

 サーフ・ロックでよくあるギターのフィンガーノイズのような音を、あえて入れているところが効果音的な役割になっていたり、メロディやドラム演奏の強弱などで不気味な雰囲気を演出しています。

14,
Missile Punch
(♫=N.Kurita)

 イントロからのループメロディがとても心地よく、ベース音がとても目立つ録音になっており、ギターとのユニゾンのようになっていて体に響いてきます。
同じメロディを繰り返している感がありますが、逆にそれがリズムにノリやすくしていて体感的サウンドです。

15,
Test Driver
(♫=T.Terauchi)

 寺内タケシさんの曲のカヴァーということですが、印象的としてはどこかで聴いたことのあるメロディだなぁと思いました。
ギターが乱舞しているところがとても良く、歪の少ないクリーンギター音のソロ的演奏がガッツリ聴けます。

16,
Computer X-tacy
(♫=S.Naka)

 車のカーチェイスをコミカルに描いたシーンみたいなものに合いそうな、少し喜劇的な世界観を感じさせてくれる印象です。
曲自体はスリリングな雰囲気なのですが、鬼気迫る感が薄く、追われる側と追いかける側のおもしろレースっぽいメロディに感じてしまいました。

17,
Start Inaction
(♫=S.Naka)

 とてもポップで馴染みやすい雰囲気の曲で、ロックンロール色が強い曲です。
体全体で動いて魅せるロックンロールギターソロがイメージできます。
バック・トゥ・ザ・フューチャー1でマーティがジャズバントと見せたギターパフォーマンスがイメージしやすいかもしれません。

18,
Guts
(Demo ver.)
(♫=T.Sato)

  イントロからの強いサーフ・ロック感と、ロックンロールなノリに日本的なメロディが合わさりとても良いです。
高速トレモロピッキングで盛り上がります。

19,
Typhoon Swell
(Live ver.)
(♫=T.Sato)

 ビブラート・アーミングの響きがサーフ・ロックらしさを演出し、ロックンロールで踊りたくなるような曲です。
ライブの荒々しさもプラスして盛り上がります。

20,
Beach Monster
(♫=T.Sato)

 ツイストダンス踊りたくなるリズムと、スプリング・リバーブの音をバッチリ効かせたサウンドが良いです。

21,
Fly Up
(♫=T.Sato)

 前曲に続きツイスト感がカッコイイサウンドが良いです。
ベースの存在感とギターソロ的な部分を含めた曲構成が良く、全体的に厚みのある音が良いです。

22,
Misirlou
(♫=Wise-Leeds-Russell-Roubanis)

 TVドラマ『華麗なるスパイ』のテーマ曲ということで、曲とバンドは知らなくてもメロディは耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
今アルバム中短めの曲が多い中、こちらは長い曲なのでソロなど盛り上がる部分や、後半に向けての曲展開もしっかりしていて聴き応えあります。
歪ませないヘヴィさと、単にリズムを刻むだけにとどまらないベースの奏でるメロディもテンション上がります。
サーフ・ロックの良さプラス、ほんのちょこっとのエピック感が良いです。

各曲感想
(DISC2)

01,
Orange Float
(♫=S.Naka)

 DISC2に変わり、時代も新しい時期に近づいてきたせいか1曲目から雰囲気が一気に変わった印象です。
サーフ・ロックの香りを確かに漂わせながら、どこか甘酸っぱい青春の1ページの記憶を回想しているような、ポップでいて少しせつない雰囲気のあるとても良い曲です。

02,
Surfing And Spying
(♫=Caffey)

 とてもメロ・コア寄りのメロディのカッコイイ曲です。
トレモロ・グリッサンド奏法(テケテケサウンド)が散りばめられているところがサーフ・ロックといった感じですが、ハード・コア好きな方にも刺さるサウンドだと思います。
ベースラインが終始カッコイイです。

03,
Dead Tree
(♫=S.Naka)

 哀愁あるメロディと程よい疾走感でとても心地よい曲です。
ビブラート・アーミングが哀愁度をアップさせ、ベースのリズムに体揺られ後半の転調でラストスパート。

04,
The Man From MI.5
〜Thunderbirds Are Go!
(♫=Gray)

 「『サンダーバード』のサウンドトラック曲とテーマ曲をメドレー形式でアレンジした」とCDブックレットにありました。
最初の方は全く知らないメロディでしたが、後半のテーマ曲はギリギリわかりました。
メドレーということもあり、そこそこ長い曲となっているので聴き応えがあり、緊張感のあるメロディや曲の変わり目のテンポアップ、高速トレモロ、唸るギターなど盛り沢山です。

テーマ曲はめちゃカッコイイです。

05,
Ōedo Sōsamō
(♫=H.Tamaki)

 時代劇『大江戸捜査網』のテーマ曲アレンジのようです。
原曲はブラスバンド系サウンドですが、サーフ・ロックだとサーフィンやマリンジェットなどの、マリンスポーツに合いそうなサウンドに生まれ変わった感じがします。

06,
Last Train
(♫=S.Naka)

 ビブラート・アーミング沢山でメロウな雰囲気と、トレモロ・グリッサンド奏法(テケテケサウンド)の入れどころがとてもカッコイイ曲です。

07,
Adventures In Paradox
(♫=S.Naka)

 最初は重苦しい雰囲気で少し暗めですが、後半は厚く黒い雲の切れ間から光が差し込んで来たような清々しいメロディに変化します。

08,
Bomble Bee
(♫=Korsakoff)

 オペラ曲『熊蜂の飛行』のカヴァーで、有名なメロディの部分は知ってる方も多いと思います。
サーフ・ロックのギター音で奏でる速弾きと、バックで奏でるベースのリズムメロディがとても癖になります。

09,
Spy A-Go-Go
(♫=S.Naka)

 スウィング・ジャズの『Sing Sing Sing』を連想するリズムと、スパイ感のあるあやしげなメロディがくっついた感じの曲です。
スプリング・リバーブでの残響音がサーフ・ロックである証のような位置づけで鳴っているのが好きです。

10,
Happy Easter!
(♫=S.Naka)

 オルガン独特の音の響きと爽やかなメロディが心地よく、まさにサーフィンを楽しむ人達を横目にドライブしているような曲です。

11,
Midnight Headight
(Live ver.・モノラル録音)
(♫=S.Naka、N.Kurita、N.Seki)

 ベースリフがものすごく気持ち良く、都会のネオン輝く幹線道路を何も考えずに、ひたすらのんびりドライブしているようなイメージが浮かぶ曲です。
静かな曲というわけではないのですが、この曲を流して寝たらすぐよい眠りに誘ってくれそう。

12,
Red Zone Dead Zone
(♫=S.Naka)

 パンク色の強めな弾けられる曲です。
疾走感のあるドラミングとシンプルなメロディで、ストレス発散によさそうな勢いが良いです。

13,
Breakout
(♫=S.Naka)

 メランコリックな雰囲気で、孤独な戦士をテーマにしたような物寂しいメロディが逆に熱いです。
80年代UKロックにありそうなサウンド感もあるような印象です。

14,
Moonlight Cruise
(♫=SEN)

 エルビス・プレスリーのような比較的派手目なサウンドのカントリーロックのような雰囲気の曲です。
サーフサウンドから途中のアコースティックギターの入りを皮切りに、フュージョンチックな風が吹く所が良いです。

15,
Linda
(♫=S.Naka)

 タム多用の手数の多いドラミングが心地よく、疾走しそうでしないずっと溜めている感じも癖になります。
ギターとベースの掛け合いバトルのようなパートもカッコイイです。
ロカビリーに似たようなベースラインに体が揺れます。

16,
Jellyfish
(♫=S.Naka)

 ハワイアンとレゲエのミックス、ジャワイアンでありそうなメロディと穏やかな雰囲気が優美な時を感じさせてくれます。

17,
Riding High
(♫=S.Naka)

 サーフ・ロック全開な疾走感ある曲です。
ループメロディから弾ける演奏のプチギターソロが、ライブで盛り上がる場面が想像できるノリノリサウンドです。

18,
The James Bond Theme
(♫=Norman)

 おなじみ『007』のテーマ曲アレンジです。
サーフ・ロックアレンジだと、エッジの効いたサウンドになるかと思いきや、とても重厚でマイルドなサウンドになっています。
ベースとドラムがリードしている印象を受ける部分などは、ファンクロックにも近いサウンドにも聞こえます。

19,
Rumble
〜Jack The Ripper
(♫=Grant Wray~Cooper Wray)

 弾きまくりのギター演奏が楽しめる曲です。
サーフ・ロックとロックンロールを行き来しているような、重厚で踊れるリズムが良いです。
ギターもパンク並みに激しく乱舞しており、手数の多く疾走感のあるドラムと、サウンドをぐんぐん引っ張るベースラインが凄くカッコイイです。

20,
The Spy Who Is Gorgeous
(Kareinaru Spy)
(♫=S.Naka) 

 TVドラマ『華麗なるスパイ』のメインテーマのサントラ収録とは別ヴァージョンとのことです。
急にブロードウェイ・ミュージカルのような音でギャップありです。
ギターはサーフ・ロックですが、ホーンやパーカッションなどの印象が強く、ビッグ・バンドとサーフ・ロックバンドのコラボといった印象です。
短いのが残念ですが、かなりカッコイイです。

最後に

 大ボリュームのベストアルバムでしたが、全体的に短めの曲でどんどん次曲へと繋がっていくところが、何か勢いをつけたい作業やトレーニングなどに最適だと思いました。

ギターが主役なのですが、ベースが全曲とにかくカッコイイです。
基本ギター、ベース、ドラムのスリーピース音なので全楽器の主張がしっかりしていて、ギターがガンガンかき鳴らしているのに、自然とベースラインを追っかけてしまっていました。

サーフ・ロックを知らない人、知ってるけど興味ない、そんな人にぜひ聴いてみてほしい作品だと思います。

その他

Posted by awa-taiko