ゲームミュージックを本格フュージョンアレンジ!!1作品。原曲をかなり崩したアレンジでとても新鮮。わたくしの好み形成シリーズ
作品名:
矩形波倶楽部 pro-fusion
〜沙羅曼蛇〜
(1996年作品)
グループ名:
矩形波倶楽部
素晴らしい時代があったんです!!
1990年代のコナミさんは、こんなの反則でしょ!?
と思わず言いたくなるくらい、ゲームミュージックをプロ志向のフュージョンにアレンジした作品を生み出してくれていました。
何度も書いていますが、フュージョンとの出会い自体は父親が聴いていたということで、おそらく物心付く前からになり、『THE SQUARE』『CASIOPEA』『松岡直也』の3ミュージシャンが最初になります。
なぜこの3ミュージシャンが原点にならないのかと言うと、こちらは聴こうとして聴いていたと言うより、日常の中にあたりまえとして存在していたと表現したほうが正しいからです。
もちろんこの3ミュージシャンも人生でずっと聴いていくことになるのですが、好みの基準を形成していった年齢の時は、3ミュージシャン【のような】新しい別ミュージシャンを探す事と、もっとゾクゾクするようなファンタジー感もプラスされたようなインストを探すことに夢中になっていたからです。
その時に出会った作品の1つが、この『矩形波倶楽部 pro-fusion 〜沙羅曼蛇〜』です。
サウンドがフュージョンド真ん中と言った感じで、もとの曲がゲームミュージックということでファンタジックの要素もあります。
pro-fusionとあるように、一般的に想像するゲームミュージックアレンジ作品とは違い、曲に合ったアレンジをそれぞれ施していくのではなく、曲を如何にフュージョンとして生まれ変わらせるかという事を追求しているように感じます。
そのため、ゲームミュージックをフュージョンにアレンジしたと言うよりは、フュージョン作品を作るにあたってベースをゲームミュージックにしたと表現してしまうほうが正しいような完成度の高さです。(実際ゲームミュージックアレンジの社内メンバーで構成されたコナミ矩形波倶楽部とは別に、オリジナル楽曲をつくる目的で結成された矩形波倶楽部というのも存在していました)
作品のポイント
・ゲームミュージックよりフュージョンとしての完成度の方が高い。
・シンプルでメロディアスな難しくないサウンドで聴きやすい。
・T-SQUARE、CASIOPEA好きにはたまらないサウンドである。
メンバー
PRODUCED by
FURUKAWA MOTOAKI
HINOKI KAZUYOSHI
TANAKA TOYOYUKI
CDブックレットより
(ベース)
感動的メロディーが好みの私が聴いた場合の全体感想
🎼:矩形波倶楽部
ポップ感
(聴きやすい曲が多い)
🔴🔴🔴🔴🔴
演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🔴🔴🔴⚪⚪
疾走感
(⬅スローテンポ多・アップテンポ多➡)
🔴🔴⚪⚪⚪
ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
⚪⚪⚪⚪⚪
涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🔴⚪⚪⚪⚪
各曲感想
1,
DEAR BLUE
朝日が眩しい情景などが浮かびそうな爽やかなイントロから始まり、聴きやすくフュージョンらしいエレキギターの音色へと繋がります。
疾走しそうでしない絶妙なリズムと、存在感があるのにとても爽やかで軽いドラムが心地良く、THE SQUARE時代のサウンドと、同時代のCASIOPEAの2大フュージョングループの特徴を見事に融合させたような全体の雰囲気に、どんどん引き込まれてしまう曲です。
スペースファンタジーとしてのカッコ良さが際立つオリジナルから、ファンタジー部分を絶妙に取り除き、現実感のある楽器演奏としてのカッコ良さへと見事にアレンジされていると思います。
2,
SILVERY WINGS AGAIN
軽快なパーカッションのリズムと、宇宙空間を表現したキーボード音が心地よい曲です。
南国のリゾートを感じさせる世界観と、ライトなギターサウンドがマッチしており、原作のゲームの内容を全く感じさせないスペシャルなアレンジとなっております。
最後の最後、ほんのちょこっとですが、初期CASIOPEAっぽくなるところがとても好きです。
3,
CRYSTAL FOREVER
アコースティックギターのあたたかく優しい演奏が素敵なバラード調のアレンジです。
夕日が輝く街並みと1日の終わりが似合いそうなサウンドで、どこか童謡の『夕焼け小焼け』に似たような雰囲気があり風流でもあります。
4,
POWER OF ANGER
原曲のおどろおどろしいダークな雰囲気を残しつつ、ダンサブルなミディアムテンポのアレンジです。
80’s Disco Funkを感じさせるような少しアダルトな雰囲気が漂っています。
アコースティックギターのハモリが綺麗で、合いの手を入れるようなキーボードの流れが特徴的な一定のリズムで淡々と進行していく曲です。
5,
BEGINING FROM THE ENDLESS
ボサノヴァとサンバをミックスさせたような雰囲気の、カフェに似合いそうなサウンドです。
爽やかなバックのキーボードとギターのあたたかい音がリラックスでき、天気の良い休日にゆっくり聴きたい曲です。
6,
FIRE TRIPPER
少しシックな雰囲気のロックバラードアレンジです。
こちらは原曲のメロディがハッキリとわるので比べやすいと思います。
勇壮でアップテンポのメロディアスなロック調の原曲に対して、今ヴァージョンはとてもアダルトな雰囲気漂い、恋愛ドラマで亡くした恋人との思い出回想シーンなどに似合いそうな、熱いギターサウンドになっております。
THE SQUAREの『Tomorrow’s Affair』と一緒で、せつなさと明るい希望がうまく融合されていると思います。
途中のピアノソロと後半に行くにつれギター演奏が熱く激しくなっていく、個人的に大好きな展開の曲です。
7,
SENSATION
大げさと思われるかもしれませんが、メロディアスなポジティブサウンドのフュージョンで限定すると、私の人生の中で聴いた全てのフュージョンで5番目に位置する神曲です。
この曲を聴いた時、小学生の頃THE SQUAREの『OMENS OF LOVE』を初めて聴いた時と同じくらいの衝撃で、フュージョンとしての理想そのものだったので、求めているのは「これだっ!」と大感動したのを覚えています。
原曲は沙羅曼蛇のゲームをイメージしやすい勇敢で爽やかな感じの良曲なのですが、このアレンジはどちらかと言うとグラディウスⅡやⅢの楽曲にありそうな雰囲気になっています。
素晴らしく明るいポジティブサウンドに生まれ変わっており、90年代中期のCASIOPEAサウンドにファンタジックの要素をプラスして、暖かみのある生楽器の演奏でメロディアスのシャワーを浴びてるかのようです。
馴染みやすいリズムとチョッパーベースの音が心地良く、バックのキーボードが宇宙空間を感じさせる広がりを表現し、癖のないストレートなエレキギターの音がニヤリと微笑んでしまうほど気持ち良くカッコイイです。
欲を言うと少し曲が短いところがもったいないと思います。
8,
SPEED
ソウルミュージックの香りが漂うサウンドでアダルトな雰囲気を感じれる曲です。
宛もなく都会のネオンの中、一人黄昏れながら歩くなんて時に似合いそうです。
甘くムードのあるギター演奏が特徴的で、ゆったりと体揺れる心地よいリズムと合わせ、なんとなくワンランク上の高級感を演出してくれます。
9,
WHAT’S YOUR NAME?
ファンクロックの渋い雰囲気に、部分部分でニューエイジ的な民族音楽の要素も感じられる曲です。
全体を通してエレキギターのファンキーな演奏が楽しめ、少し影のあるメロディから、サビにあたるであろう部分で清々しい雰囲気になるのが良いです。
チョッパーベースの音も心地良く、整ったメロディと言うよりは軽いソロが続いている感覚のギター演奏がカッコイイです。
10,
STARFIELD
昼下がりのティータイムが似合いそうなゆったりとした優しい曲です。
アコースティックギターで聴かせるあたたかいサウンドと、鼻歌に近いようなハミングが何気ない日常のような雰囲気を演出しており、心落ち着く癒やし効果のある曲でもあると思います。
11,
SALAMANDER
プログレッシブロックから変拍子を取り除いたようなサウンドで、アップテンポのリズムにテクニカルなエレキギターの演奏が乗っかるノリの良い曲です。
ギターの音や途中のファンファーレチックなメロディをキーボードで奏でるところとか、比較的初期の頃のCASIOPEAサウンドに近いようにも感じます。
最後に
当時高校生だったわたくしは金銭面で限界があったため、コナミから出ていたゲームミュージックのアレンジ作品を全て手にすることは出来ませんでした。
そんな中手にしたCDがこの作品だったわけですが、正直ゲームミュージックとしては大ハズレだったんです。
しかし、フュージョンとしてはかなりの一級品でしたし、ゲームミュージックをT-SQUAREのようなミュージシャンが担当してくれたらいいのに。
という夢をある意味叶えてくれた作品でもありました。
結果、毎日CDラジカセにかぶりついて繰り返し聴き、フュージョンの理想形がこの作品になり好みの基盤・原点になりました。
コナミ矩形波倶楽部ではなく、矩形波倶楽部[KuKeiHa CLUB™]名義の作品を知らない世代の方にも是非聴いていただきたい本格フュージョンです。
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