リズム楽器のグルーヴが爽快な、元気の出るピアノインストゥルメンタル。1作品
ピアノというものは、なぜこんなにも人々を魅了し続けているのでしょうか。
わたくしに、難しい哲学的なことは表現できませんが、1つ思うのが、ピアノというのはどのジャンルの音楽に参加しても、それに合わせた魅力で輝きを放ち、違和感なしに溶け込む事のできる楽器の1つであると強く感じます。
独奏が好きな人もいれば、クラシック音楽の中の1楽器として奏でられるのが好きな人もいるなど、好みとしては人それぞれではあると思います。
ピアノをメインとして楽しむ場合のわたくしの好みは、ベース、ドラムセットで奏でるドラムが、リズムを担当する少人数のバンド編成で、アコースティックピアノでもキーボードで出すピアノ音のどちらでも良いですが、ピアノが主旋律を奏でリードするタイプのサウンドです。
好みを満たすという意味ではそんなに頻繁に出会うことは出来ないので、この『ADAM at』というのはとても貴重なグループのうちのひとつです。
100%ピアノリードというわけではありませんが、様々なジャンルのテイストを感じながら、ピアノ、ギター、ベース、ドラムのシンプル編成で明るく元気になれ、ダンサブルで楽しいメロディックサウンドを聴かせてくれます。
感動的メロディーが好みな私が聴いた場合の全体感想
(聴きやすさ)
🩷🩷🩷🩷🩷
安心のメロディックサウンドと、スッと耳と身体に染み入る親しみやすいメロディラインが魅力です。
(抒情的美メロ)
🩷🤍🤍🤍🤍
喜び・未来ある別れのようなポジティブな感情としての感動が、ほんのちょこっとだけ感じられると思います。
1曲とても淋しい世界観の曲があるためハート1です。
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🤍🤍🤍🤍🤍
曲自体のメロディバランスを重視している印象で、楽曲ごとにソロパートは設けられていますが、それぞれの楽器が独立して暴れるような印象は、わたくしの中では感じませんでした。
(壮大・神秘・幻想的)
🩷🤍🤍🤍🤍
現実逃避型のサウンドではなく、私生活の場面に寄り添った世界観を演出していると感じます。
1曲だけ神秘的要素を感じれる曲があります。
(勇壮な鼓舞メロディ)
🩷🩷🤍🤍🤍
拳を突き上げたくなるまでいきませんが、力や勇気をくれるようなメロディが個人的に感じられました。
(民族音楽的要素)
🤍🤍🤍🤍🤍
明るくダンサブルなポップインストのため、民族音楽的要素はないです。
ミディアムテンポ以上のサウンドがほとんどなので、全体的にはとても疾走感のある作品だと感じます。
1曲1曲が聴く側にとってとてもわかりやすく、シンプルな展開の作品揃いです。
タワーレコードとレコチョクは試聴できます。
🎼:ADAM at
レコーディングミュージシャン
タマスケアット
CDブックレットより
[ピアノ]
[キーボード]
エマアット(FAT PROP)
[ドラム]
ラッキーアット(DALLAX)
[ベース]
コウタアット(Kota Hashimoto)
[ギター]
各曲感想
1,
CLOCK TOWER
優しく静かな出だしからバスドラムとベースが入り、ワクワクするようなイントロから爽やかなメロディラインへと進んでいきます。
爽やかな印象から、朝日を浴びながら聴きたい一曲であり、ダンサブルな軽快リズムと少しの哀愁感で、良い1日のスタートになりそうです。
2,
EDENA88
EDMダンスミュージックのようなイントロから、こちらもダンサブルなリズムに流れるような鍵盤サウンドが素敵です。
ピアノとエレキギターでの間を置かない演奏が次々と繋がっていく感じで、爽快な勢いとくどくない同じメロディの繰り返しが癖になります。
3,
Oroppas
比較的手数の多いドラミングが目立つイントロから、Jazzyなピアノ演奏とフュージョンチックなギター演奏が続くとても気持ち良いです。
後半のドラムソロを感じさせる部分から、勇敢なメロディを経て一気に力強くクライマックスへ突っ走る展開がとてもテンション上がります。
4,
WATO
少し落ち着いたテンポでシックなピアノジャズ的な曲です。
賑やかさが抑えられた曲なので、ドラム、ベースの音に耳を傾けやすく、自然とベースラインを追ってしまいます。
ピアノ演奏に合いの手を入れるような部分と、ブルースジャズな雰囲気があじわえるオシャレで格好良い曲です。
5,
五右衛門
スカ全開のリズムと和風な情緒あるメロディをピアノで奏でる少し不思議な世界観の曲です。
演奏はどのパートも比較的激しめで、和風の世界観とスカの楽しさに、ギターのロックンロール的な要素が上手く融合された曲だと感じます。
6,
MONOLITH
(Album version)
とても勇壮なヒロイックメロディが格好良い曲です。
オクターブ奏法なピアノ音がとても力強く身体に響いてきて、流れるようなグリッサンド奏法とともに、走り出したくなるくらいテンションの上がる元気にサウンドです。
後半の緊張感ある部分から、少し抑えた雰囲気に落とし一気に晴れやかな演奏へと持っていくところがとても素敵です。
7,
嶺上開花
少し神秘的な空気が感じられるスローバラードです。
バックの演奏はとても静かなのですが、メインのピアノ演奏がそれに反して力強く、とても心に響くサウンドだと思います。
明るく元気な曲が揃っている中で、唯一しんみり淋しい雰囲気な曲でセンチメンタルな世界観を演出しています。
8,
ミュー
70’sディスコサウンドとピアノフュージョンが合体したような曲です。
変化しない一定のリズムがとても心地良く、バックのギターリフと意外に弾きまくりの鍵盤演奏がとても爽快です。
こちらの曲もベースラインがとても身体に響いてきて、途中のソロを含めベースに自然と注目してしまうダンサブルサウンドです。
9,
どんぐりとやまねこの交響曲
クラシック音楽の世界観をしっかり感じられるピアノのメロディラインと、スカコアのような激しさと楽しさが同時に楽しめるハードめな曲です。
ピアノ、ベース、ドラム、ギター全員が激しく演奏する展開になっており、主旋律であるはずのピアノパートが、どっしりとしたリズムパートをバックに弾きまくるギターに耳を取られているうちに、伴奏に聴こえてきてしまうのが不思議です。
アルバムの中で一番エネルギッシュに駆け抜ける格好良い曲です。
10,
S.G
締めのエピローグ的な印象を受けるピアノ独奏曲です。
短い曲で思い出を振り返っているような、青春の1場面を思い起こさせるような、なんとなく甘酸っぱい印象も受ける静かな曲です。
個人的に、ファイナルファンタジーⅧの曲『Fisherman’s Horizon』を思い出しました。
最後に
インストゥルメンタルの楽しみ方として、人それぞれ着目する部分が違うと思いますが、メロディの好みで選ぶ場合、技巧プレイで選ぶ場合、世界観で選ぶ場合など様々だと思います。
わたくし個人的には、メロディックなものというのが大前提で、技巧プレイが一番求めてしまう部分ではあります。
近年では生楽器の演奏✕ダンサブルというサウンドがとても多いと感じており、T-SQUAREのようなメロディック・フュージョンを始めるという方は少なくなってきているのかとも感じます。
もちろんこのADAM atのようなサウンドも好きで何度も聴いているのですが、欲を言うと、いつの日かメロディック・プログレッシブ・ダンス・フュージョンなんて表現できるような、スーパーサウンドに出会えるのを楽しみにして日々過ごしております。
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