ツインヴァイオリンで奏でる美メロとハードロックの融合!寂寥感の中にヒロイックサウンドが絶妙に交わるゴシック神秘。1作品
良い時代になりました。
と、まずは喜びの気持ちを表現したくなり、そして、もっともっとこういったサウンドを奏でるグループが、作品を世に出してくれることを願いたくなります。
小学校低学年の頃、THE SQUAREの『OMENS OF LOVE』に出会ってから今まで、インストゥルメンタルでしか音楽への興奮を味わえない人生を送ってきているわたくしが、自分の中の根底にある100%好みのスタイルで表現さてている作品が、またひとつリリースされたことに歓喜致しました。
ギター、ベース、ドラムのバンドサウンドが土台として支え、そこに様々なジャンルの楽器が加わりファンタジー音楽を奏でるインストゥルメンタルというのが、好みの根底としてあります。
良い時代になったというのは、わたくしがインストゥルメンタルを”ながら”ではなく、しっかり意識を向けて聴き始めた1989年頃、ゲーム音楽のアレンジ作品やアニメサントラ以外でほぼ皆無だった世界観を、自らのスタイルとしてインストゥルメンタルをプレイするミュージシャンが、どんどん増えてきていると感じるからです。
背景には、日本の漫画・アニメ文化が世界に広まり認められ、ファンが増え続けているのもひとつあると思います。
クラシック楽器ヴァイオリン2人のユニットが奏でる、ゴシック・ファンタジー・ハードロック!!とてもカッコイイです。
ゲストミュージシャン
ISAO(ギター)
CDブックレットより
[track:1,4,5,7,8,9,10]
仁耶(ギター)
[track:2]
岡聡志(ギター)
[track:3]
優介(ギター)
[track:6]
森田悠介(ベース)
[track:2]
Mao(キーボード)
[track:2]
感動的メロディーが好みな私が聴いた場合の全体感想
(聴きやすさ)
🩷🩷🩷🤍🤍
すべての曲がメロディックですが、全体がポップというわけではありません。
ゴシック・ロックという言葉が合うと感じます。
(抒情的美メロ)
🩷🩷🤍🤍🤍
ファンタジーな感動サウンドという面では少し弱いです。
しかし、幻想的な世界観と日本的で雅な抒情性が感じられる部分があります。
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🩷🩷🩷🤍🤍
テクニカルな部分だけを表現するパートは控えめで、メロディを重視した聴きやすい流れの中に、ツインを活かしたユニゾンやハモリがたっぷり堪能できる重厚サウンドになっております。
(壮大・神秘・幻想的)
🩷🩷🩷🤍🤍
オーケストレーションなどは無いので、壮大な印象はあまり受けませんが、非現実的な世界観に迷い込む神秘・幻想的要素はとてもあります。
(勇壮な鼓舞メロディ)
🩷🩷🩷🤍🤍
ヒロイックファンタジーが感じられる曲や、アニメやゲームで、起死回生のような重要な感動場面に合いそうな、勇壮メロディ主観で3曲ありました。
(民族音楽的要素)
🩷🤍🤍🤍🤍
ゴシックという時代背景が感じられる部分以外で、伝統性のある民族音楽要素は感じられません。
テンポの疾走感は全体的にゆっくりな曲が多いですが、ヴァイオリンの演奏はとても疾走感のあるエッジの効いた演奏が多いです。
シンプルな曲展開で聴きやすいです。
個人的には7〜8分超えの複雑な展開な曲があってほしかったです。
レコチョク、タワーレコードは試聴できます。
🎼:TONERICO
各曲感想
1,
jinXnij
(music:岩嵜壮志/編曲:RINZO、岩嵜壮志/Sound produce:Tom-H@ck)
ヨーロッパの格式ある王家をイメージできるような世界観と、舞曲的な躍動感のあるグルーヴが格好良い曲です。
リズム楽器の部分が生楽器の表現ではなく、EDMサウンド寄りになってしまっているところが少し残念ですが、静と動を感じられる曲展開が素敵で、うっとりする滑らかな演奏とエッジの効いた演奏の強弱が良いです。
1曲目からユニゾン・ハモリ全開でテンション上がります。
2,
The Gate of Valhalla
(music : Mao)
イントロからの本編への流れがロールプレイングゲームの戦闘曲のようで、迫力のある曲となっております。
ヴァイオリンの緊張感と力強いキレのある音から、スピードメタルのような疾走感がプラスされ、一気に滑らかな音で少し淋しげな勇壮メロディへと展開するところなど、ファンタジックRPGが好きな方にはゾクゾクする流れなのではないでしょうか。
ギター、ベース、ドラムが邪魔しない程度にしっかりと主張しつつ、これでもかというくらい美メロの波が押し寄せるハードな曲です。
ロマンシングサガシリーズと後期のイースシリーズの音楽をミックスさせたような印象も受けます。
個人的にはベースラインがとても心地良く感じました。
3,
Absolute Terror
(music : 岡聡志)
不思議世界へ迷い込んでしまったようなイメージが浮かび、ダークで幻想的なメロディとリズム変化が魅力の曲だと感じます。
少しフィルターのかかったモノクロ空間の大空を、優雅に飛び回っている情景が浮かび、ヴァイオリンの音色にピッタリな、ゆったりでありながらスリリングな世界観です。
4,
Claws in The Mist
(music : ISAO)
1曲目から順々にロールプレイングゲームを進めてきているような曲順といった感じの印象を受けました。
前曲に続きとてもダークな曲です。
険しい旅の末、辿り着いたキーポイントとなる廃城や旧遺跡のようなイメージが浮かんできます。
ギターリフとベースでスリルある雰囲気を演出し、そこから一転して一筋の光がさすようなイメージの、勇敢さが感じられるメロディへとシフトする展開が素敵です。
ヴァイオリンとギターのユニゾン・ハモリがとても心地良いです。
5,
十六夜 – IZAYOI –
(music : 星野沙織)
アップテンポの曲も魅力的なアルバムですが、個人的にはこの曲が一番好きです。
雅楽とはまた違いますが、和風を感じられる美しい世界観が魅力で、後半に行くに連れ少しづつ盛り上がっていく展開がとても素晴らしいです。
ピアノ音イントロから始まるとても優しいメロディから、優美な風景を想像できるヴァイオリンの美しい演奏で幕を開け、癒やしを誘う曲と思いきや、途中から良い意味で裏切られます。
スリリングなピアノとドラミングが始まり、勇壮なメロディへと変化し溢れんばかりの美メロが押し寄せる、リズミカルな感動サウンドへと変化します。
こういう曲が一番目頭が熱くなるんだよなぁ。(個人的な意見)
6,
Chateau des trompe-I’oeil
(music : 優介)
ハードでアップテンポなロックサウンドです。
爽やかな明るさと哀愁漂うメロディが格好良く、ツインヴァイオリンの良さがたっぷりと感じられ、密度の濃いプレイが堪能出来ます。
次々押し寄せるお二人の速弾きとハモリが勇ましく、激しいギターとリズミカルなベースライン、手数足数の多いドラミングが盛り上げていますが、前に出るメインはヴァイオリンのみでしっかり構成されているところが素敵です。
7,
Afterburn
(music : ISAO)
危機感迫るようなメロディと悲壮感漂う雰囲気が神秘的な曲です。
静かではなくハードロック色の強いサウンドで、重厚なバックのギターに乗せダークなヴァイオリン演奏が響き渡ります。
アラビア音楽のようなテイストと、ヨーロッパの高貴な音楽とが合わさったような雰囲気が感じられ、静けさとスリリングさが展開され、どちらかというと感動する美しいメロディではないですが、聴き応えとハードさが良いです。
8,
The Winged Archer
(music : 星野沙織)
軽快なDTMのリズムに、勇敢さを感じられる格好良いメロディが乗るダンサブルな曲です。
デジタルサウンドなこともあり、都会の夜のハイウェイを駆け抜けるような情景が浮かびます。
わかりやすく同じメロディを繰り返すポップな展開で、どことなくモータースポーツに合いそうな雰囲気があるメロディにも感じます。
9,
Yggdrasill
(music : 星野沙織)
壮大でオリエンタルな雰囲気を感じられ、日本の深い歴史空間を旅しているような素晴らしい世界観の曲です。
優しく語りかけるようなヴァイオリン演奏と、神秘的なバックのサウンドがとてもマッチしており、実際に聴きながら歴史ある仏閣などを旅したら、魂が異空間へと誘われてしまいそうな深い力が感じられました。
10,
Waltzing Hinge
(music : 星野沙織)
ヴァイオリンユニットの作品ラストにふさわしく、ワルツと言えば弦楽器といった感じで、本物を聴いたようなしっくりくる印象を受けました。
少しあやしい雰囲気のメロディが癖になり、お城の舞踏会も浮かびますが、どちらかというと儀式的な円舞曲が想像できてしまいました。
バックの演奏はしっかりハードで、クラシカルなメロディと途中で入る雅なメロディがバランスの良い展開を演出してくれています。
最後に
ヴァイオリンとギターのユニット『soLi』に続き、久しぶりにピンポイントな好みに合った音楽を奏でてくれた『TONERICO』でしたが、アルバムジャケットなど見てもロックなイメージでした。
ですが内容は幅広く、ヒロイックサウンドやニューエイジサウンドをバランスよく感じられ、しっかりと本物もぶち込んでくるとても内容の濃い感動作品になっていると感じます。
単純にゲームミュージックが好きな方にはとてもオススメだと思います。
ファンタジックでヒロイックな音楽が、アニメ・ゲーム用に制作されるのではなく、個人で世に出したいと思ってくれる素晴らしい演奏家さんが、もっともっと増えてくれる事を楽しみにしていきたいと思います。
最後にもう一度。
良い時代になりました。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません