軽快なリズムとほっこり癒やしのバランスが絶妙なメロディ。ゲームミュージック1作品
作品名:
もぜ劇
(2024年作品)
ミュージシャン:
mozell
mozellさんの作り出すメロディの特徴の一つに、耳に残るキャッチーなリフがあります。
もちろん全ての曲に該当するわけではありませんが、印象的なひとつのメロディが曲が進むにつれだんだんと装飾されていき盛り上がり、最後には最高の輝きを放つ宝石へと成長していくような展開がとても素敵です。
こちらの作品はハードなロックアレンジがないのが残念ではありますが、軽快でダンサブルなイージーリスニングといった感じで、DTMならではの音使いでのびやかに癒やされたり、ピコピコサウンドでリズミカルに聴かせたりと、癒やしとトランスの融合といった真逆な作用の世界観を感じられた印象です。
最高潮にテンションの上がるアレンジがあるわけではないので、癒やし感の方が強い作品ではあると思います。
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感動的メロディーが好みな私が聴いた場合の全体感想
(聴きやすさ)
ポップなメロディと、スムース・ジャズとニューエイジの中間のようなサウンドで気分が明るくなります。
(抒情的美メロ)
ポジティブなテイストのアルバムとなっているので、泣かせる方向性は弱いです。
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
今回の作品は、生演奏を表現するというより、デジタルサウンド色が強いので、演奏感は残念ながら弱いです。
(壮大・神秘・幻想的)
壮大さは弱いですが、神秘・幻想的さはポップな中にしっかりと詰め込まれてます。
(勇壮や鼓舞メロディ)
mozellさんの曲はヒロイックメロディが結構ありますが、こちらの作品はアレンジのせいか勇壮さよりも明るく穏やかなポジティブサウンドとなっております。
(民族音楽的要素)
ブックレットには笛や太鼓などのワードが解説されていましたが、自然をイメージさせたり部族のお祭り感などの土臭さなどが弱いので、個人的に民族音楽性は弱いと感じます。
ハードなロックアレンジがないのと、落ち着いた雰囲気のアレンジが多く、ハイスピードでテンションの上がるものはありません。
その代わりダンサブルなリズムが感じられる曲は多いです。
スムース・ジャズ、フュージョンのようにサラッと聴けるアレンジで構成されているので、盛り上がりを待つような展開の曲はありません。
🎼:mozell
ミュージシャン
作曲・編曲
mozell
(フリーの作曲家)
各曲感想
1,
ボンボード
手拍子したくなるようなリズムが心地よく、短い曲ですが生民族楽器で演奏したらとても盛り上がるメロディの曲だと思います。
2,
fragile beauty
日本の雰囲気を感じられる音とハッキリ刻むリズムが、情緒ある空間をテンポよく駆け抜けているような世界観を聴かせてくれます。
古都の町並みを紹介するダイジェストVTRなどに似合いそうです。
3,
水と星が満ちるお店
鍵盤打楽器をメインに馴染みやすいメロディで、優しい雰囲気ストリングスバックと、山と田んぼしか周りに無く、毎日が冒険のようだった幼き日の懐かしい感じがイメージ出来きました。
4,
human requirement
透き通る響きが美しいセンチメンタルな気分にさせてくれる曲です。
リズムがはっきり刻まれるので、物悲しい雰囲気と遠くに勇敢な感情も滲んできていて感動的です。
5,
バンバード2
今作でのアレンジは音色選びでコミカルな方へ傾いてますが、この曲こそmozellさんの魅力がいっぱ詰まっています。
覚えやすいポップなメロディリフがバックで流れ、それを軸に他のメロディが取り巻いてひとつの渦となっています。
残念ながら今アレンジは終始単調で、後半へ行くにつれての爆発がないので盛り上がりには欠けます。
6,
雨宿りの記憶
セピア色の架空世界で、思い出などを軸に空間トラベルしているような神秘的な曲です。
バスドラムの規則性あるリズムが心地よく、後半の広がるシンセ音が体全体に響き、せつなくもりあたたかくもある気持ちになります。
7,
ピュワピコン
ピコピコ8bitサウンドと、ファンクミュージックが合体したような淡々と進行していく曲です。
ピュルピュル、ピコピコかわいく、でもしっかりとビートを刻む曲です。
8,
ハツヒコウ
あべこべな世界に迷い込んでしまっているような、不思議なメロディだけど聴きやすい楽しい曲です。
9,
calm
古城や遺跡などがイメージでき、広大というよりはアーチやレンガの壁など、圧迫感のある庭園を散歩しているようなイメージがわいた曲です。
メルヘンチックな優しく伸びやかな雰囲気が良いです。
10,
海底都市
規則性のあるリズムに心のまま鍵盤演奏を乗せているような、異世界トリップ系サウンドです。
音色が綺麗なので、目を閉じ何も考えずに浸りながらトランスワールドへ導かれような感じです。
11,
小さな雪渓の華
この曲も個人的に好きな曲で、とても物悲しく、ですが遠くに固い決意と勇敢さを持ってなにかに挑もうとしているような感情みたいなものが伝わってくる感じです。
同曲の埼玉最終兵器さんのロックアレンジがとてもカッコイイです。
12,
D.S.B
メロディはとてもダークな曲ですが、スネアドラムのパートと一緒に鳴らしている音が、どこかギャグっぽい音色でなんか拍子抜けもしてしまいます。
13,
Orihime
ベースと打楽器リズムがとっても心地よく、無条件に体が揺れてくるダンサブルな曲です。
パーカッションは無いですがサンバのノリと、ボサノヴァのメロディ部分だけを切り取ったようなラテンの雰囲気と、バックのピアノリブが作り出すポップな雰囲気が合わさり、とっても爽快で壮大な広がりが感じられるキレイな曲です。
14,
Tabi Pic
1970〜80年代の洋楽フュージョンのような爽やかな始まりから、民族管楽器の演奏が入りリードし、ホーンセクションっぽいパートも出てくるなど、にぎやかなお祭りサウンドになっています。
オリエンタルな応援歌的な印象を受ける曲です。
最後に
作曲するうえで、聴く人に制作者の色が伝わるようにするというのは、やはり才能以外の何物でもないと思います。
もともとの好き嫌いが一番大きい要因になるのはしょうがない事ですが、それを除いた時に、「なんか頭から離れないメロディだなぁ」と思わせるような特徴を生み出せると個人的に感じるmozellさんは、とても素敵な作曲家さんだと感じます。
「植松伸夫さんっぽいなぁ」
「すぎやまこういちさんっぽいなぁ」
というのと同じで、「mozellさんっぽいなぁ」が、わたくしのなかではしっかりとあります。







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