クラシック音楽の世界観をハードな他ジャンルで体感!!至極のネオクラシカル・メタル!数少ないオールインスト。1作品
ミュージシャン:
Vitalij Kuprij (ヴィタリ・クープリ)
作品名:
Glacial Inferno (グレイシャル・インフェルノ)
(2007年作品)
クラシック音楽とはとても素晴らしいもので、有名な作曲家が何百年も昔からとても複雑な展開の音楽を作り上げていました。
わたくしも大好きな長編長時間の楽曲を、音楽理論としては説明できませんが、ソナタ形式と呼ばれるメインのテーマを掲げ中盤に向けて表現した後に、全く別の世界観と言っても良いほどガラッと変え、複雑に盛り上げ感動を鷲掴みにしテンションを上げさせ、最後にしっかりと本来のメインテーマへと回帰させ、ストーリーをまとめるという壮大な音楽ワールドなどを生み出しています。
そんな素晴らしいクラシック音楽ですが、メロディや世界観は好きになれるのですが演奏される音がどうしても完全なる好みと言えません。
わたくし自身の音楽に対する好みがとても狭いと言いますか、オーケストラサウンドというものがどうしても「キターッ!」とはならないのです。
クラシック楽器を多用した、代表的なブラスバンド編成やビッグバンドの編成は好みにマッチしています。
代表的なブラスバンド編成・ビッグバンド編成とオーケストラ編成の違いでわたくしの好みに関わってくるのが、打楽器パートがドラムセットで演奏されているかいないかになります。
そんなピンポイントな好みを満たしてくれるのが、ジャズ&フュージョンや、インストゥルメンタルグループやニューエイジなどのジャンルでクラシック音楽をカヴァーしてくれるパターンです。
もちろんオーケストラサウンドに比べたら音の厚みはだいぶ落ちますが、エレキ楽器や民族楽器などクラシック楽器以外で表現してくれる新しい音には出会えます。
言葉で表現するのは難しいですが、同じメロディでもオーケストラサウンドでは心に刺さらないけど、ドラムセットを用いたバンド編成での音だとテンションが上がる!
といったわたくしのような好みのかたに向けた、極上の作品の紹介です。
音楽を初めたきっかけも、学校や経歴などクラシック音楽の世界がスタートな、メインで活動しているヘヴィメタル界の天才キーボディスト、ヴィタリー・クープリのオールインスト作品になります。
作品ポイント
・展開としては交響曲を真似たような長編の曲は無いが、メロディはクラシック音楽がしっかりと感じられる。
・キーボディストのソロ作品であるが、キーボード以外のメンバーの技巧プレイもしっかりとある。
・アルバム全体の雰囲気は、クラシック音楽に近いだけあってダークで少し難しい世界観である。
・ヘヴィメタルの中で、メロスピやヒロイックでファンタジックなメタルが好きなかたには向かないと感じる。
タワーレコード、商品ページ下部に試聴あります。
演奏メンバー
感動的メロディーが好みの私が聴いた場合の全体感想
🎼:Vitalij Kuprij
メロディアス
(聴きやすさ)
🔴🔴⚪⚪⚪
涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🔴⚪⚪⚪⚪
演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🔴🔴🔴🔴⚪
曲展開
(←シンプル・複雑→)
🔴🔴🔴⚪⚪
疾走感
(⬅スローテンポ多・アップテンポ多➡)
🔴⚪⚪⚪
ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
⚪⚪⚪⚪⚪
ファンタジック
(壮大・神秘・幻想的)
⚪⚪⚪⚪⚪
各曲感想
1,
Symphonic Force
(シンフォニック・フォース)
クラシカルなフレーズが満載のスピードメタルとなっております。
ピアノで奏でるメロディがとても美しく、ゴシックホラー感のある全体的な部分と、途中にある晴れやかな雰囲気とで、展開がプチ交響曲といった感じで素敵です。
ピアノの古典的な部分とキーボードでの近代的な部分のバランスが良く、ソロでギターとキーボードが交互に演奏したり、手数の多いドラミングが出てきたりと、メタルとしてのハードな部分もしっかり押さえられております。
悪魔城ドラキュラの音楽がお好きな方にもオススメ。
2,
Liquid Rain
(リキッド・レイン)
こちらもクラシカルなフレーズ満載となっておりますが、1曲目と比べ、よりダークでテンポもゆっくりな、演奏テクニックをじっくり魅せる曲となっております。
ピアノとエレキギターの絡みがとても気持ちよく、ピアノからキーボードの音にサラッと繋がる部分や、メロディをテクニカルかつ綺麗に奏でるギターも魅力的です。
3,
Fire In The Sun
(ファイア・イン・ザ・サン)
気持ち良いクラシックギターのイントロから始まり、スピードメタルの疾走リズムではありませんが、ツーバスの力強いドラミングとドラム無し部分の緩急がいい具合に絡み合います。
ピアノ、キーボードとエレキギターの速弾きバトルとも言える迫力のある展開が格好良く、鍵盤で奏でる弦楽器パートも含め、有名作曲家のピアノソナタで一番盛り上がる楽章を詰め込んだような展開が素晴らしいアップテンポの激しい曲です。
4,
Glacial Inferno
(グレイシャル・インフェルノ)
物悲しい雰囲気の中に重厚感のある演奏で、ハードなミディアムナンバーとなっております。
ザクザク刻むバックのギターリフに近未来的なキーボードが絡み、不思議な空間が演出されていて、テクニカルなギターの速弾きなどが聴きどころです。
5,
Divided Horizon
(ディヴァイデッド・ホライズン)
クラシカルなメロディとフラメンコのメロディを合わせたあような情熱的で哀愁ある曲です。
全体的に派手さは無いですがキーボードの流れるようなテクニカルプレイが所々あり、メロディの良さもあり最後まで気持ちよく聴けます。
6,
Dancing Flame
(ダンシング・フレイム)
民族音楽的な要素が感じられる雰囲気の曲です。
少し妖しげなメロディをピアノ・キーボードとギターの掛け合いや、ハモリとユニゾンをメインとした曲です。
7,
Forgive
(フォーギヴ)
民族楽器でありそうな笛を連想する雰囲気を、キーボードで表現している短いつなぎのような曲です。
8,
Dying To Live
(ダイング・トゥ・リヴ)
ピアノ伴奏とハードなリズムパートで盛り上げ、ギターメインでせつない雰囲気が特徴のロックバラードです。
熱い泣きのギター演奏が格好良く、全体的にはとても淋しく演奏するキーボードですが、ソロでは短いですが激しく演奏します。
パッとしない印象もありますがメロディが良いので、ロックバラードとしてはとても好きです。
9,
Burning Ice
(バーニング・アイス)
演奏の激しさ、技巧プレイがアルバムで1番だと思います。
格好良いフレーズが沢山出てきて、曲全体がピアノソロのように弾きまくり、ギターもピアノを邪魔しない程度に技巧プレイを魅せ、ソナタ形式で言う展開部が最初から最後まで続いている感じで、とても盛り上がるアップテンポのテクニカルな速弾き曲です。
10,
Drifting Away
(ドリフティング・アウェイ)
※ボーナストラック
ドラム演奏が無い熱いバラード曲です。
ボーナストラックとはいえ、キーボードプレイヤーの作品の最後に収録されたのに、何故か泣きのギター全開の哀愁感たっぷりな短曲です。
最後に
ネオ・クラシカルの生みの親とも言えるイングヴェイ・マルムスティーンをはじめ、ギタリストがソロとしてクラシック音楽をHR/HMで表現するインスト作品をリリースするのは、それなりに多いと思います。
意外に少ないのが鍵盤楽器のプレイヤーです。
そんな中で更に貴重なオールインスト作品の一つが今作です。
クラシック音楽奏者の家系に生まれ、幼い頃から本物の教育を受け、しっかりとクラシック音楽を学び、数々のコンクールで優秀な成績を残した天才。
ロックの道に行きはしたが、実力は超一流のキーボード奏者ヴィタリー・クープリが創り出すHR/HMでのクラシックを、このような音楽の世界を知らない方は一度聴いてみてはいかがでしょう。
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