演奏を聴く楽しみとして、何かのお供BGMとして、どちらの聴き方にもおすすめなニューエイジCD。1作品
音楽を聴く時というのは、気持ちを高ぶらせたり落ち着かせたり等々、何かメインの行動のお供として聴く場合と、一音一音聞き逃さずまいと曲に向き合い、スピーカーから流れてくる音や、映像作品だったら演奏家のプレイをしっかり凝視し、身体へ伝わるメロディの波を感じるなど、大きく分けるとこの2パターンになるのではないでしょうか。
こちらの作品は35周年ライヴの模様を収録したCDなわけですが、さすがニューエイジ界の大御所につくサポートメンバーといった感じで、全ての奏者が素晴らしい音を奏でています。
そのため、ライヴを楽しみ演奏に向き合ってじっくり聴くのにも、空間演出等のながらBGM用としても、どちらの聴き方にもハイクオリティな感動を与えてくれると思います。
ニューエイジの中でも、民族音楽の要素は弱めでクラシック音楽寄りな印象と、ジャンルの特性上ライヴ音源なわりに躍動感に欠ける面はありましたが、幻想的な世界観の美メロをたっぷりと堪能出来る2枚組です。
参加ミュージシャンクレジット
(CDブックレットより)
Gandalf
(ガンダルフ)
・ピアノ
・ギター
・Atmospheres
Peter Aschenbrenner
(ペーター・アシェンブレンナー)
・バウロン
・フルート
・アイリッシュ・ホイッスル
Merike Hilmar
(メリケ・ヒルマー)
・チェロ
Christian Strobl
(クリスチャン・シュトロブル)
・パーカッション
Vasile Marian
(ヴァシレ・マリアン)
・ドゥドゥㇰ
・オーボエ
・イングリッシュ・ホルン
Judith Mc Gregor
(ユドゥス・マグレガー)
・ヴィオラ
Karin Leitner
(カリン・ライトナー)
・フルート
・ホイッスル
Agnes Milewski
(アニエス・ミレフスキー)
・ヴォーカル
感動的メロディーが好みな私が聴いた場合の全体感想
(聴きやすさ)
🔴🔴🔴🔴⚪
全曲良いメロディですが、クラシック音楽のように格式高い印象も受けますので、馴染みやすさという点でポップ感は弱いです。
(抒情的美メロ)
🔴🔴⚪⚪⚪
こちらの項目はとても微妙なラインで、人によって感じ方の違いが大きく出る部分だと感じます。
わたくしは美メロ揃いではあるものの、感情に訴えかけ、涙腺刺激に直結するような部分はあまり感じられませんでした。
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🔴⚪⚪⚪⚪
わたくし自身演奏家ではないので、完全に素人の勝手な想像でしかないというのを前置きとして、
譜面に忠実に演奏されているんだろうな!?
ジャムセッション的なアドリブは無いんだろうな!?
という2点の印象から、乱舞はほぼ感じられませんでした。
逆に言えば、スタジオ録音作品並の正確で綺麗な演奏ということにはなると思います。
(壮大・神秘・幻想的)
🔴🔴⚪⚪⚪
バックオーケストラなどの演出や、現実逃避に特化した音世界ではなく、平穏な日常に「あったらいいな」と思わせてくれるようなあたたかい曲が多いです。
ゲームのファンタジーRPGであるような、街・村BGM集を聴いているかのような感覚にもなります。
(勇壮や鼓舞メロディ)
🔴⚪⚪⚪⚪
壮大や鼓舞感は正直無いに等しいですが、メロディはところどころヒロイックな演出に合うと感じるものがありました。
(民族音楽的要素)
🔴⚪⚪⚪⚪
ジャンルがニューエイジとなっているため、民族音楽要素をライブで楽しめる期待感があったのですが、実際には民族楽器が使用されている程度の印象で、メロディや世界観は土臭さが感じられず、映画のサントラを聴いているような感覚でした。
全体的に落ち着いたリラックスできるタイプの曲で構成されていて、リズム楽器が活躍するテンポの良いものは、曲内で部分的に現れるぐらいで無いに等しいです。
曲構成は聴きやすい内容になっていると感じました。
場面が変化していくようなストーリー性のある曲は無く、変化の少ない一定のテンポで進行していくものが多いです。
🎼:Gandalf
Recommended Works
タワーレコードは商品画面下部に試聴あります。
各曲感想(DISC1)
・カッコ内は邦題
1,
Intro – From the Depth of the Earth
(イントロ ‐地球の底から)
観客の拍手から始まり、おそらくドゥドゥクと思われる深くそして寂しげな演奏と、少しダークなコーラスやハミングのような人の声ともつかないものや、木々のせせらぎ、風、水の音など、まさにAtmosphereで会場の雰囲気が作り上げられるようなイントロで、映像なしのCDで聴く側に大自然をイメージさせてくれます。
そのまま少し荒っぽさを感じるのと同時に、情熱的な勢いも感じるピアノ演奏がとても不思議な感覚にさせてくれます。
2,
Were Longings Are Born
(あこがれが生まれる場所)
なにか一大決心前の、思い悩むような心情を表しているような寂寥感があり、せつなさとも寂しさとも違うメロディの中に、勇敢さも感じられるピアノの旋律に、あたたかいベールのような物で包んでくれたような、チェロの音色が重なる幻想的な曲です。
1993年公開の映画『ピアノレッスン』の世界観を思い出しました。
3,
Starshine Of Ever
(スターシャイン・オブ・エヴァー)
曲名のとおり、雪原に写り輝く星あかりがとても合いそうな、自然の神秘を表現しているような部分と、登場人物がいて、心情もストーリーとして描いているような部分が感じられる美しいメロディです。
メインのピアノの演奏に、チェロやヴィオラが引き立てて、心にぐっと来る演出となっております。
スターシャインにこだわらず、海や草原など手付かずの自然そのままの美しさを表現している画に、人それぞれ思い浮かべられそうです。
4,
Dreamweaver
(ドリームウィーバー)
人気がない歴史を感じる街道を、黄昏れながら散歩しているような情景が浮かぶ印象を受けました。
アコースティックギターとアイリッシュ・ホイッスルの音色がしんみりと響き、どこか思い煩う心情でいる状態を感じさせられる雰囲気の曲です。
5,
Reaching For The Sky
(リーチング・フォー・ザ・スカイ)
このアルバムでは数少ない、パーカッションがしっかりと全面に出ているノリの良い曲です。
曲の部分が約8分あり、展開はやや単調な印象を受けますが、全担当が、それぞれ楽器の良さを表現しながら演奏している景色が浮かび、映像有りでとても見たくなります。
お祭り騒ぎとまではいきませんが、静かにスタートして後半に行くに連れ賑やかになってゆく、楽しく聴けます。
6,
Between Ebb And Flow
(満ち干の間に)
チェロの演奏を存分に楽しめ、穏やかさと勇壮さを感じるメロディで、格式の高い貴族の日常に迷い込んでしまったかのようなイメージをさせてくれる曲です。
ちょこっと後半にパーカッションも加わる盛り上がりポイントが良いです
7,
Colors Of A New Dawn
(新しい夜明けの色)
前半は似たメロディを繰り返す部分が多いですが、不思議と音の色と言いますか、空間温度のようなものが変化していくような、幻想的で少し寂しくせつない曲です。
青春・恋愛映画やドラマの一場面に合いそうな展開で、Gandalfさんの幅広い音楽の才能が感じられます。
8,
Citadel
(城塞)
曲名『城塞』となっておりますが、現役の城と言うよりは、そこに存在しているだけの使命を終えた無人城が連想できる雰囲気の曲です。
ギター、ヴィオラ、チェロ、パーカッションの登場バランスが良く、優しくあたたかいメロディとニューエイジ的サウンドの綺麗な融合だと感じました。
9,
All Is One
(オール・イズ・ワン)
※ヴォーカル曲
各曲感想(DISC2)
・カッコ内は邦題
1,
About The Beauty Of Being
(存在のうつくしさについて)
日本の映画・ドラマ主題歌のインストアレンジを、劇中で使用するということはよくあると思いますが、こちらの曲はそんなイメージを抱かせてくれる、ポップさとドラマ性をとても感じさせてくれる素敵な曲です。
ピアノと弦楽器の相性の良さを体現していて、終始ピアノの演奏が途切れることなく、メロディックな伴奏と主旋律を聴けて、そこに弦楽器と管楽器の美しい旋律が重なり、とてもぐっと来る胸の熱くなる作品です。
2,
The Paths Of Man – Part 4
(人の道 – パート4)
それぞれの楽器のハーモニーが全体的に楽しめる曲です。
穏やかなメロディがゆっくりと進む時間を表現しているようで、とても癒やされます。
3,
Life Is Love
(人生は愛)
こちらは、曲名に反して民族音楽要素が強めな曲です。
ひたすら続く荒野や、密林のジャングルなどが連想でき、地球に住む生物という大きな括りを表現としている壮大なテーマを感じます。
楽器の特定はできませんが、色々な奏法で緩急をつけているような音色が伝わってくるなど、映像ありでとても見たくなります。
4,
Blossoms Falling Like Snow
(雪のように舞い散る花々)
アコースティックギターの独奏を楽しめます。
舞い散る花々に限らず、人それぞれの儚きものに当てはめられるような、暗めな曲です。
5,
Alhambra
(アルハンブラ)
イスラム王国の宮殿とタイトルされている通り、もちろん想像もつかない歴史の重みのようなものが、しっかりと聴く側にも伝わってくると感じます。
実際に宮殿を訪れ、イヤホンでこの曲を聴きながら巡ったら、その次代の情景が見えるんじゃないかと思わせてくれます。
6,
The House By The River
(ザ・ハウス・バイ・ザ・リヴァー)
素直に感動できるヒロイック系のメロディと、激しさが無いのにテンションの上がるような感覚になる、とても格好良い曲です。
とにかくオーボエの音色が素敵で、勇壮なピアノのメロディと合わさって、盛り上がる部分など鳥肌が立ちました。
更にオーボエという楽器の素晴らしさを感じられました。
7,
Under Southern Skies
(南の空の下で)
パーカッションとチェロの音色がとても味があり、南国の港風景や緑豊かな山脈の麓などの、のどかな風景が思い浮かぶ曲です。
メロディはニューエイジらしく、パーカッションのお陰でリズムも比較的ハッキリと感じられる、環境音楽的なサウンドです。
8,
A Visionary Passage
(幻の航路)
他の楽器も入ってきますが、ピアノ演奏がメインでとても美しいメロディです。
バックのチェロの低音が胸に響き、素敵なピアノメロディと合わせ、例えばあたたかな思い出などを思い出しながら、過去を振り返るような記憶を華やかに彩ってくれる曲だと思います。
9,
Stones Of Wisdom
(叡智の石たち)
『世界の車窓から』のように、どこかの国のローカル列車からの流れる景色を眺めながら、物思いにふける贅沢な時間を連想出来ました。
打楽器がバンバン入るようなテンポの良い曲ではないのに、とても軽快で体が自然と揺れてしまうようなリズムも心地よく、前向きな気持ちにさせてくれるサウンドだと感じます。
10,
Written In The Stars
(星に書かれた文字)
アイリッシュホイッスルが素晴らしく心に響く、スペシャルに美しい曲です。
こちらの曲は短くてとても残念なのですが、とにかくメロディに酔え、壮大なストーリーが後ろに隠れていそうな感動を与えてくれます。
11,
The Ferryman’s Tale
(渡し守の物語)
アコースティックギターのゆったりとした演奏が、心落ち着かせてくれる癒やし曲です。
やや単調な進行と緩急の少ないメロディで、アルバムの締めという意味では少しガッカリ感はあります。
最後に
今回、ニューエイジ作品ということで購入しましたが、Gandalfが美しいメロディというのは知っていたものの、ニューエイジとしては比較的貴重なライヴ音源だったので、とても期待していて最初からハードルを上げた状態で聴いてしまいました。
しかし、イージーリスニング色の強さに残念な感想は正直あります。
美メロなのは間違いないので、ゆったりとした雰囲気の曲が好きな方にはとてもオススメです。
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