ノスタルジックなのにパンチの効いたインストゥルメンタル。『懐古の情に浸る』という言葉がとても似合うメロディアスサウンド1作品。
作品名:
Dreamstate
ミュージシャン:
Olegano
ふと懐かしい景色を見た時など、子供の頃の自分を情景とともに思い出したり、または寝ている時、夢の中でタイムスリップしてることはありませんか?
そんな懐かしい思い出を、現代の景色と照らし合わせながら回帰してしまうような状況に、素晴らしく合うのではないか?
と感じる世界観を表現してくれている、不思議な気持ちにさせてくれるメロディアスインスト作品のご紹介です。
『懐古の情に浸る』と題していますが、せつなさや淋しさのような悲壮感が漂うようなものではなく、穏やかな気持ちになれるサウンドです。
「あぁ、ここでこんな遊びしたなぁ」とか「母親がよくここに連れてきてくれたなぁ」など、何気なく思い出すあたたかい心情に合うと感じます。
作品ポイント
・物語に乗るサントラのような音世界でもなく、ゲームのRPG作品のような音世界ともまた違う、不思議さとノスタルジックの融合した音世界であると感じました。
・環境音楽のような中性的な雰囲気の世界観に、少しの壮大さとしっかりとしたリズムが支え、聴き応えのあるインストゥルメンタルもありますが、穏やかな曲と力強いリズムパートがはっきりとある曲の比率は6:4ぐらいで、優しい曲多めです。
・キラキラした弾むような明るい曲から、オーケストラを少し取り入れた安らぐ曲や、アコースティックギター独奏など、様々な心情や情景にマッチするサウンドが楽しめる。
All Tracks Produced
CDブックレットより
by Olegano
Guitar
by Olegano
Mastering
by Olegano
タワーレコードは商品ページに視聴あるよ♪
感動的メロディーが好みの私が聴いた場合の全体感想
激しすぎず沈みすぎない絶妙な雰囲気と多彩さで、こちらで表すのはとても難しい作品です。
一曲一曲の展開バランスを大切にしていると感じます。
派手な演奏の特出した見せ場などはありません。
メロディアス
(聴きやすさ)
🔵🔵🔵⚪⚪
涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🔵🔵⚪⚪⚪
演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🔵⚪⚪⚪⚪
曲展開
(←シンプル・複雑→)
🔵🔵⚪⚪⚪
疾走感
(⬅スローテンポ多・アップテンポ多➡)
🔵⚪⚪⚪⚪
ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
🔵🔵⚪⚪⚪
ファンタジック
(壮大・神秘・幻想的)
🔵🔵⚪⚪⚪
🎼:Olegano
各曲感想
1,
Alfheim Reboot
少しさみしげなピアノのイントロからエレクトロな風が吹き、一気に幻想世界に迷い込んだかのような開けた雰囲気へと展開していきます。
オーケストラドラムと、ドラムセットのバンド的ドラムがミックスされたようなリズムパートがバックで優しく支え、繊細なピアノ演奏とストリングスの静かなのに壮大な美しい郷愁サウンドが素敵です。
2,
Dwarf
全体的にエレクトロな音が気持ち良いポップで楽しい曲です。
小鳥のさえずりが最初に入っていたりして緑豊かな森林の世界が想像でき、タイトルにもあるドワーフ達の、せっせと働く何気ない日常を描いているような感じです。
3,
Pulse
ゆっくりと古都を散歩しているような曲の入り出しから、重低音のしっかり効いたドラム演奏が始まりピアノ伴奏にエレクトロ音が乗っかって不思議空間を演出しております。
チェロとピアノとエレクトロが重なった時、なんとも言えない非現実さが感じられます。
4,
IO
リズミカルに展開する中にとても切ないメロディが乗る、楽しさと寂しさが合わさった美しい曲です。
懐かしい思い出を、現実の視界ではあり得ない映像で回帰しながら浮遊しているような世界観が好きです。
5,
Sailing
アコースティックギター独奏のとても優しい曲です。
都会なら街を見下ろせる丘の上の公園、田舎なら風薫る小山の丘から夕日を見ながら、静かに聴いていたい感じです。
6,
Beyond The Earth
少し疾走感のあるテンポに、ダンサブルな打ち込みドラムで変拍子的に複雑進行するノリの良さと、キレのある手数の多いピアノ演奏が心地よく、明るく楽しく進行する部分と、一気に切なく進行する部分が行ったり来たりするところが良いです。
わかる人にはわかると思いますが、個人的にゲーム『サガ・フロンティアⅡ』の音楽を思い出しました。
7,
Haineberg City
ダンサブルなリズムとオーケストラサウンドが融合し、ピアノでリードしていく壮大さのある曲です。
メロディは感動を誘う雰囲気とテンションの上がる雰囲気の中間といった感じで、『冒険』という言葉がとても似合うと感じる、奇想天外な世界観を美しく表現しているような印象です。
8,
Flutter
とても天気の良い朝食なんかに流したら晴れやかな気持ちになれそうな曲です。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロで音を出し分けているのか、チェロで全音出しているのかまではわかりませんが、透き通るような弦楽器の演奏と弾むようなピアノの演奏が爽やかさを演出しています。
9,
Iris
アコースティックギター独奏曲で、こちらはゆったりとした休日の午後に日差しを浴びながらウトウトしたり、読書したりなんかが合いそうなあたたかいサウンドです。
10,
Aquarius
こちらもアコースティックギターメインですが、遠くバックで鳴っている少し攻撃的なエレクトロリズムがアクセントになっており、ピアノ演奏が入り静かに盛り上がりを魅せます。
印象的なメロディはありませんので、環境音楽やイージーリスニングといった印象です。
11,
Fayth of The Mountain
美しいメロディといったわけではないのですが、風情ある古都が浮かぶような印象と郷愁感が感じられます。
現実にはあり得ない絵が似合いそうで、例えば古都の街並みが逆さまに写り、その中をとことこ歩いているような幻覚的な不思議ワールドを旅しているようです。
12,
Terminal
曲全体がささやく様なとても静かに展開していく曲です。
シトシト降る雨の日に外を眺めながら、思考にはまり今後の展開に繋げるような、新たな始まりをイメージさせてくれました。
ある意味ラストを飾るにふさわしい暗めの曲です。
最後に
個人的にこの作品は不思議ワールドを連想させてくれたサウンドでしたが、感動するメロディやとにかくハードに熱いメロディなど、わかりやすく人を感動させる音楽を作るのではなく、とても繊細で人それぞれに限りない印象の選択肢を与えることの出来る音楽家だと感じました。
アートと一緒で自分の考えている思考を形にすることが出来る人というのは、本当に天才だと思います。
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