ポップで聴きやすいメロディ揃い。ドラマーのソロ作品で身体に響くグルーヴとメロディックな楽曲を、演奏感をたっぷりで楽しめるインストゥルメンタル。1作品
普段好きで聴いている音楽グループは、新作が出るのが楽しみですよね。
「方向性は一緒かな?」「ゲストミュージシャンは参加するのかな?」「何曲入りかな?」など、ワクワクしながら待ち、購入後は「自分の求めているサウンドはあるかな?」と再生するのが楽しみだと思います。
そして、案外それ以上に内容が気になり楽しみなのが、好きなグループのメンバーがソロ作品を出した時だったりします。
こちらの作品、個人的にはグルーヴ感に重きをおいた内容に期待していたのですが、良い意味で期待ハズレで、作編曲家としてのスキルを120%発揮し、技巧プレイ披露より曲としての素晴らしさが沢山詰まったものになっております。
この作品演奏家
Maoki Yamamoto
CDブックレットより
[シンセプログラミング] 全曲
[ドラム] M-1,2,4,5,6,7,8,9
[フルート] M-2,9
[オルガン] M-3
[エレクトリックピアノ] M-7
[アコースティックピアノ] M-9,10
[ウインドシンセ] M-9
[オーケストラパーカション、オーケストラプログラミング] M-9,10
Syoya Kitagawa
[エレクトリックギター] M-1,4,5,7,8,9
[アコースティックギター] M-6,9
Jun Tomoda
[エレクトリックピアノ] M-1,5,8
[アコースティックピアノ] M-6,8
Ryosuke Nikamoto
[エレクトリックベース] M-1,5
Hidetoshi Suzuki
[エレクトリックギター] M-2
Toshiyuki Mori
[エレクトリックピアノ] M-2
[シンセサイザー] M-2
Kaoru Yamauch
CDブックレットより
[エレクトリックベース] M-2
Haruka Sakamoto
[エレクトリックギター] M-3
Igo
[エレクトリックベース] M-3
Masato Honda
[ソプラノサックス] M-4
[ウインドシンセ] M-8
Akinori Handa
[アコースティックピアノ] M-4
Takuma Kaneko
[エレクトリックベース] M-4,6
Sota Morimitsu
[エレクトリックベース] M-7,8
Hiroyuki Noritake
[ドラム] M-8
Kyoji Yamamoto
[エレクトリックギター] M-9
感動的メロディーが好みな私が聴いた場合の全体感想
🎼:山本 真央樹
(聴きやすさ)
🔴🔴🔴🔴⚪
ドラマーのソロ作ですが、ドラムという楽器に焦点を当てているわけではなく、グループが作り出すサウンドと変わらないメロディック・フュージョンです。
(抒情的美メロ)
🔴⚪⚪⚪⚪
全てがメロディックな曲ですが、明るく勢いのあるものが多いので、感情あらわれるせつない部分は殆ど無いです。
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🔴🔴⚪⚪⚪
ドラマーのソロ作品ということで、叩きまくり技巧プレイの嵐を期待する気持ちもあるとは思いますが、曲としてのまとまりとメロディを重視していると感じます。
手数の多いテクニカルなドラム演奏ですが、聴くのに疲れるような変拍子までギリギリいかない絶妙感が心地よい。
(壮大・神秘・幻想的)
🔴🔴🔴⚪⚪
シンフォニック・フュージョンとでも言いましょうか、22分を超える大作が1曲あり、とてもメルヘンチックなファンタジーサウンドが聴けます。
(勇壮な鼓舞サウンド)
🔴⚪⚪⚪⚪
カッコイイ曲が揃っていますが、明るく勢いのある印象が強く、ヒーローのテーマになりそうな勇壮な熱いメロディは部分部分に少し感じられるくらいです。
(民族音楽的要素)
🔴⚪⚪⚪⚪
民族音楽的要素はほとんど無いと言ってもよいのですが、1曲エジプトチックなのがあります。
明るくテンションの上がる曲がほとんどで、テンポ自体の疾走感もありますが、やはりドラムプレイの疾走感がとてもあり、聴いていて安心感も感じられます。
癖の強い変拍子の曲は無く、誰もが聴きやすいメロディックな作品だと感じます。
9曲目の長編が交響曲のようなオーケストラサウンドと、バンドサウンドが見事に融合した迫力のある曲展開です。
レコチョクとタワーレコードは試聴できます。
各曲感想
1,
Prototype
豪華な音の重なりとキラキラしたメロディと、手数が多いのに聴きやすいドラミングが爽快な曲です。
感情に呼びかけるグッとくるようなメロディは無いものの、次々とそれぞれのパートがスリリングな演奏を聴かせてくれ、サビでビシッとまとまる印象が綺麗です。
2,
Dawn 〜Sunrise Avenue
自然いっぱいの風景を見ながらのドライブに合いそうな、しっかりとしたリズム演奏なのになんとなくリラックスできる曲です。
落ち着いた雰囲気の中に、メインのエレキギター音とキーボード音の綺麗なハーモニーが小気味よく流れていき、エレクトリックピアノがオシャレに装飾されていくようなポジティブサウンドが良いです。
3,
Curse of the Pharaohs
古代エジプト文明などをイメージできるメロディが特徴のロックナンバーです。
それぞれの楽器が間々に技巧プレイを挟んで行く流れになっており、シンセの入れ方などゲームミュージックを連想できるような部分もあります。
アルバム内で一番格好いい曲だと思います。
4,
Precious Days
ミディアムテンポの和む曲で、ソプラノサックスとギターとピアノがバランス良くメインを担当していて心地よいサウンドとなっております。
本田雅人さん独特の吹き回しや音の震えがしっかりと感じられます。
サックスがアルトだったらT-SQUAREっぽさが強く感じられるとも感じます。
5,
Symbiosis
ノリやすテンポに流れるような音の迫りがが気持ち良い曲です。
明るく陽気なメロディに、それぞれのパートが隙間なく次々と埋めていくような印象で、フュージョンらしいテクニカルな演奏と何かのテーマ曲のような世界観が爽快です。
6,
Evergreen
森の中にいるような鳥の鳴き声などがバックに入っていて、ちょっぴりせつない雰囲気のメロディが現実的な世界観と幻想的な雰囲気が両方感じられる曲だと感じます。
抒情性を強めてしまうとゲームミュージックのようになってしまいそうなところを、哀愁性を強めることで現実性を感じる格好良いピアノメインのバラードとなっていると感じます。
7,
Bioluminescence
落ち着いた雰囲気の中で力強いエレキギターがメロディアスに奏で、しっかりしたバンド演奏でありながら癒やしが感じられる綺麗な曲です。
イントロや途中のソロとバックで支えるシンセの、クリアで伸びのある音がとても心地よいです。
派手な演奏はありませんが、各パートが主張する部分はちゃんとあり、ラストに向けて演奏が盛り上がっていくとことが良いです。
8,
Little Universe
こちらもハッピーサウンドを奏でたら右に出る者はいないと個人的に思っている、本田雅人さんがEWIで参加していて、爽やかなバックのメロディに躍動感のある演奏が楽しめます。
映像があるわけではないのでわかりませんが、この曲の参加ミュージシャンに則竹裕之さんの名前があるので、途中のドラムソロはバトルしているのだと想像ができます。
曲自体のテンポが速いわけではないですが、明るく楽しい雰囲気でテンションが上がります。
9,
In My World
さすが作・編曲家もこなすだけあって、感性のかたまりと言える名曲です!!
22分超えの長編で、若干同じメロディが多いかなという気はしますが、メルヘンチックな世界観が素晴らしく、オーケストラサウンドとフュージョンの融合も見事ですが、ソナタ形式のミニチュア版とも言えるくらいの展開も、山本真央樹さんのミュージシャンスキルの凄さを表していると感動しました。
わたくし自身それなりに大作や長編も人生で聴いてきましたが、あまり出会わないタイプの世界観でした。
一番近い世界観で言えば、某ねずみ王国の作品音楽になるのではないかと感じます。
90%オーケストラサウンドの中で、途中途中に現れるバンド演奏がスリリングで格好良く、初聴では鳥肌モノでした。
とにかく壮大で、メルヘン・ファンタジーの極みとはこういう作品を言うのではないでしょうか。
展開が長いので曲全てに該当はしませんが、躍動感のあるグルーヴはミュージカルにも合いそうな気がします。
10,
Dewdrop
前曲からの流れで締めのような意味合いがあるのでしょうか、45秒の短曲でメロディも同じメロディが出てきて、キラキラ静かにフェイドアウトしていきます。
最後に
ドラマーソロ作品ということで、テクニカルなドラムに焦点を当てた曲を楽しむために最初は購入しましたが。
内容的にはとても大当たりでメロディも予想以上に良く、わたくしの様にメロディも技巧プレイも両方聴きたい贅沢さんにとてもオススメです。
なんといっても長編である9曲目の素晴らしさに驚きで、これこそまさに所属グループの音楽だけでは見られない、ソロ作品としての素晴らしさなのではないでしょうか。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません