楽器演奏を楽しむバンド演奏の部分と、穏やかで暖かさを感じるヒーリング音楽の部分両方をバランスよく感じられる作品。1作品
こちらは好み形成に大きく影響を受けた作品ではありませんが、本格的にインストゥルメンタルCDを購入し始めた15歳の頃にとても聴いていました。
T-SQUAREらしいストレートに聴きやすいメロディが並び、全体的に安藤正容さん節のハードロック色は弱いですが、バラード調の曲も静かすぎず、1つの基準として、スネアドラムが入りしっかりとリズムが刻まれるものになっていて、バンドサウンドのグルーヴを感じる聴き応えのアルバムになっていると思います。
アルバムによってEWIの音色が何パターンかありますが、こちらの作品は個人的に一番好きな初期THE SQUARE時代の、リリコンサウンドに近い音になっているところも魅力です。
今作品時メンバー
安藤正容
CDブックレットより
・Electric Guitar
・Acoustic Guitar
・Computer Sequencing
和泉宏隆
・Piano
・Keyboard
・Synthesizer Programming
則竹裕之
・Drums
・Percussion
須藤満
・Strings Bass
・6 Strings Fretless Bass
本田雅人
・All Woodwind
・Brass Instruments
・EWI
・Voice and Synthesizer Programing
感動的メロディーが好みな私が聴いた場合の全体感想
(聴きやすさ)
❤❤❤❤❤
全体を平均すると、穏やかな風が吹き抜けるような印象で、癒やしの強い作品になっていると感じます。
その分本田雅人さんの奇才ぶりや、安藤正容さんのハードロック色も弱い作品ではあります。
(抒情的美メロ)
❤❤❤🤍🤍
悲劇の場面に合いそうな刺激はないですが、思い出に浸る黄昏ムードに合いそうな沁みるメロディが感じられます。
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
❤❤❤🤍🤍
作品によっては速弾きやテクニカルなソロが多いものもありますが、こちらは遊びの少ないストレートな美メロ揃になっていると思います。
ただ、個人的にそれぞれの楽器が静かなる闘志と表現できるような、熱いリズムやメロディを奏でていると感じます。
(壮大・神秘・幻想的)
❤🤍🤍🤍🤍
イルミネーション輝く夜の遊園地などがイメージできる、キラキラしたサウンドもたまにある、T-SQUAREだと思いますが、今作品は『HUMAN』というタイトルだけあって、人間味あふれる穏やかサウンドになっていると感じます。
(勇壮や鼓舞メロディ)
❤❤❤❤❤
こちらの評価は完全に私感になりますが、穏やかな雰囲気の中に、夢に向かって頑張るスポーツ選手や、ファンタジーの世界の運命に立ち向かう戦士などが連想できるような、熱いメロディがとても感じられる曲が揃っていると感じました。
(民族音楽的要素)
🤍🤍🤍🤍🤍
夏のリゾート感のあるサウンドを聴かせてくれることもあり、その中で民族音楽的アプローチのある曲が入ったものもアルバムによって中にはありますが、この作品にはそういった曲はありません。
全体を通して疾走感ある作品という印象は薄いです。
一つ一つの音をじっくりどっしりと放っている印象です。
長編という意味や、それぞれのパートが演奏バトルするような、めくるめく絡み合う展開はないですが、ドラマチックな演出が際立つ曲は多いです。
🎼:T-SQUARE
Recommended Works
タワーレコード、レコチョクは試聴出来ます。
各曲感想
1,
明日への扉
(-Masahiro Andoh-)
聴きやすいメロディのポップさと、メロディアス・ハードのような厚みあるロックサウンドをミックスさせた印象のカッコイイ曲です。
行進曲のような一定のリズムで迫るベースサウンドと、控えめではあるものの耳に残るバックのギターリフ。
太ももを叩いて自らも刻みたくなるドラムパターンが心地よく、そこに乗る爽やかなピアノの演奏や、音は鋭いのに優しさが感じられるEWIの響きが素敵です。
2,
RAINY DAY, RAINY HEART
(-Masahiro Andoh-)
雨の日なタイトルですが、軽快なリズムで何か楽しいことに出会いそうで、爽やかな気分になれる曲です。
サックス、ベースと、それぞれプチソロが入るところも良く、景色が流れていくようなドライブサウンドから、サビでとても哀愁ある少しせつないメロディへと繋がるところがとても好きです。
3,
HIGH TIME
(-Masahiro Andoh-)
ハードロック好きと言われている、安藤正容さんの魅力がとても輝きをみせている曲だと思います。
そして、このアルバムのEWI音色に素晴らしくマッチしており、ライヴではとても盛り上がりそうな、ギターソロからのEWIソロの繋がりもテンション上がります。
キャッチーさと勇敢さを併せ持った、耳に残るイントロもさすがSQUAREといった感じです。
4,
ANABELLE
(-Masahiro Andoh-)
平穏でゆっくり過ぎる時の流れを感じられるような、陽気さとホンワカとしたリラックスムードなサックスサウンドです。
ホーンセクションパートも入り、コンテンポラリー・ジャズな雰囲気にエレキギターのファンキーな演奏なども良い味出しております。
5,
PLAY FOR YOU
(-Masahiro Andoh-)
ソプラノサックスの優しい音色とピアノ演奏が美しく、穏やかで暖かみのある雰囲気と、センチメンタルな雰囲気の両方を感じられるような曲です。
すべての楽器が抑えて演奏される中で、サビに当たる部分では力強さを強調させているような表現が好きです。
6,
BEYOND THE DAWN
(-Hirotaka Izumi-)
エンディング感あふれ、さみしい感情と感謝の思いみたいなものがメロディに現れているとても素敵な曲です。
パーカッションが入っていることで重たい雰囲気にならず、メロディとは逆に前向きな感情が表現されているとも感じます。
ピアノパートが終始カッコイイメロディで、和泉宏隆さんの生み出す世界観がたっぷりあじわえ、心が洗われるような素晴らしいメロディに包まれます。
7,
SCANDAL BOY
(-Masato Honda-)
少し危険な香り漂うソウルフルでファンキーなサックスサウンドが楽しめる曲です。
ナイトグルーヴな雰囲気から、サビで一気に勇敢さを感じられるヒロイック感漂うメロディへの流れがとても好きです。
ベースラインの主張も強いので、自然に体と耳がビートに揺られて楽しい気分になれます。
8,
JUST LIKE A WOMAN
(-Masato Honda-)
スタートはとても優しく静かですが、後半に行くにつれ盛り上がるタイプの展開で、グランドフィナーレという言葉が合う曲です。
サックスは激しいスウィングサウンドのような団体演奏も良いですが、この曲のように魂を燃やして表現してくれているような、1本のソロ演奏から放たれる熱い音は心にグッときます。
最後に
インストゥルメンタルでは、肉声がない分溢れるエネルギーを表現する事は容易なイメージですが、繊細な感情や、裏にある人間物語などをメロディだけで表現するのは、とても難しいことなんじゃないかなと思います。
同時に、色々な解釈を与えるのものよりも、多くの人が同じ感情を抱いて聴けると想像できる、この『HUMAN』のような作品を作り出せるT-SQUAREというグループは、やはり唯一無二なのかなぁと感じました。
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