作品の世界へと引き込む力が素晴らしいインストゥルメンタル。1作品
わたくしは、インストゥルメンタルの中でも、ベース、ドラムセットでのドラムのリズム楽器が入っているものが一番最上位の好みになるのですが、そこにメロディの好みである『感動的』の部分を求めようと思うとなかなか出会えません。
そんなわたくしの好みをバッチリ満たしてくれるのが、PRIMITIVE ART ORCHESTRAになります。
1stアルバムで、CDを再生した途端に今見ている眼の前の景色が一気に消え、別の世界が視界に飛び込んでくるような感覚を味あわせてくれ、鳥肌が立つ体験をさせてくれました。
今回2nd『qualia』は、期待を裏切らない同路線で、1stに比べるとアナザーワールド感プラス演奏の勢いが増した印象です。
不思議な世界へと誘うという面では1stの方が強いですが、ヘッドホンやイヤホンで目を閉じじっくり聴きたくなるサウンドはやはり素敵です。
メンバー
(CDブックレットより)
木村 イオリ
CD解説より
(ピアノ)
森田 晃平
(ベース)
伊藤 隆郎
(ドラム)
ゲスト
CD解説より
山崎 円城[F.I.B.Journal]
(ヴォーカル)
感動的メロディーが好みな私が聴いた場合の全体感想
(聴きやすさ)
決してポップな世界観ではなく、どちらかと言うと自分と向き合うなど、センチメンタルな世界観と言えると思いますが、メロディックサウンド満載です。
(抒情的美メロ)
今現在や過去など、自分自身が置かれている状況に照らし合わせたり、感傷に浸る世界に自然と引き込まれるような感覚が、このグループの一番好きなところです。
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
ベース、ドラムは曲の世界観をしっかり支えるような感じで、乱舞するような印象はあまり受けませんが、ピアノは音数、手数の多い演奏を魅せてくれます。
(壮大・神秘・幻想的)
神秘的、幻想的なメロディは結構ありますが、1曲1曲がファンタジーと言うより、人の現実的な世界にマッチする印象です。
(勇壮や鼓舞メロディ)
勇者や戦士など、ファンタジー世界での戦いの場面や、それぞれ人生のリアルな戦いの場面等に照らし合わせた時、非常に勇気をもらえるようなメロディが何曲かありました。
(民族音楽的要素)
全体的には民族音楽的アプローチは、ほとんど感じられませんが、スペインのラテン民謡のような世界観が感じられる曲があります。
アルバム全体的にテンポの疾走感は低いですが、ピアノ演奏の躍動感ある疾走感は感じる部分が所々あります。
曲の運びは流石です。
聴く時のそれぞれの心情によるとは思いますが、1曲の最初から最後まで聴いた時に、[目頭が熱くなる]から[号泣]のちょうど中間ぐらいや、[泣き笑い]といった表現に当てはまりそうな、グッと来る展開を感じられる曲が多いです
🎼:PRIMITIVE ART ORCHESTRA
Recommended Works
レコチョク、タワーレコードは試聴が出来ます。
各曲感想
1,
at dusk
少しダークな雰囲気の出だしと、後半はドラムもしっかり入りハードロックのテイストを感じながら、力強く進行していく、語りのようなナレーション付きの極短オープニング曲です。
2,
Heart of Cosmos
優しく静で、どこかブライダルの雰囲気のようなものを感じさせてくれるピアノで始まり、そこから手数の多いドラミングを合図に、一気に賑やかな演奏に移っていくのがとても格好良い曲です。
疾走感のあるドラムパートと、ジャズで言うテーマにあたる部分以外の、どこか抽象的で風の流れや波の動きを表現したような、ピアノの2音連打などがとても綺麗で、ライブで見たらとてもテンションが上がりそうです。
3,
Night Haze
風に乗り自由に空を飛翔しているのを想像してしまう、とても軽快で爽やかな曲です。
サビにあたるであろう部分のメロディが、とてもヒロイックで勇敢さが感じられ、とても元気がもらえるパワー曲だと思います。
4,
Red Sand
とても特徴的で耳に残るピアノのメロディがあり、7つのスペイン民謡の『ムーア人の服地』を聴いているような雰囲気のある曲だと思います。
あくまでもわたくし個人の印象にはなりますが、そんな民謡感がある部分と、格好良いメロディとが融合されていて、そこにウッドベースのリズミカルな演奏とピアノが混ざり合う、少し謎多き危険な香りただようような世界観だと感じます。
5,
Synapse
なんとなく耳馴染みのある前奏部分が心地よく、シンプルで聞き分けしやすいドラムと、地を這うようなグイグイ来るベースが癖になります。
比較的同じフレーズを繰り返す部分が多く、それが後半に行くにつれどんどん変化していくような流れも好きです。
6,
Perseus
個人的にとても好みな曲です。
ドラマや映画の恋愛や友情など、とても大事な場面のバックで流れていそうな、力強さと勇敢さを感じるドラマチックな演奏とメロディです。
重厚感のあるベース音と、ポップスやロックでよくある、変に難しくしない聴きやすいドラムが妙に心地良く、次から次へと押し寄せるピアノの美メロととてもマッチしております。
7,
Depth “Tree is me and you”
悲しい雰囲気のピアノ演奏をバックに、語りが入る短い曲です。
8,
ACT
少し神秘的で異世界感のあるメロディに乗せ、アルバム全体の中では比較的テクニック重視なサウンドになってると感じます。
短くはありますがベースの演奏乱舞もあり、耳に残るピアノリフと合わせ、グルーヴで聴かせてくれる曲です。
9,
ミクリガイケ
あの富山県のミクリガ池を、イメージしたかまでは表記がないのでわかりませんが、実際標高の高い美しい池や、空に近い開けた大地などがイメージできる美しい曲です。
3楽器だけとは思えないほど壮大さが感じられ、超美メロとまではいきませんが、畳み掛けるように押し寄せるピアノの演奏が胸にグッときます。
10,
qualia
ポップスバラードのインストヴァージョンのような聴きやすく優しいメロディから、途中ジャズ色が濃くなりピアノのソロ的な部分で盛り上がり、コントラバスのアルコがバンバン入る箇所もあり、こちらも感動的美メロではないのですが、とても聴きごたえがある曲になっていると感じました。
11,
Winter Song
アコースティックギターが使われていて、冬の寒さの中あたたかい暖炉の前にいるような始まりから、雪の舞う白銀の表へと飛び出していったような展開を感じられます。
オープン・クローズハミングも入り、楽器のみの演奏に人の温かみがプラスされています。
最後のサンタクロースの鈴の音をイメージできるような演出も良いです。
12,
at dawn
こちらもアコースティックギターとオープン・クローズハミングが入り、ピアノはサブになっています。
静かで優しいサウンドと軽快なリズムのギャップが良く、楽しいメロディというわけではないのですが、体がリズムを刻みたくなります。
最後に
ファーストアルバムの衝撃が強く、路線は全く変わっていませんが、不思議な世界へと誘われる感覚は少し弱かったと感じました。
似たような世界観を作り出すミュージシャンは、クラシックサウンドやニューエイジなど他ジャンルなどにもいますが、やはり何と言ってもドラムセットでリズム装飾がされているサウンドは、とても貴重だと思います。
美しいメロディで打楽器リズム隊がドラムセットだと、やはり最強ですなぁ〜。
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