各楽器の音のバランスがとても良く、メロディアスな聴きやすさと技巧派プレイを両方楽しめる!旧作1作品。

2024-02-15

作品名:
Asian Dreamer
(1994年作品)

グループ:
CASIOPEA

 この作品がリリースされた1994年頃は、とにかくインストゥルメンタル音楽を聴くことが楽しみで、ちょうど自分の好みのサウンドが確立されていった時代でした。

しかしとにかく繋がりで言うと、とにかくお金がない!
当時高校生だったわたくしは、少ない小遣いでしかCDを買うことが出来ませんでした。
一般的に想像する以上の田舎で、アルバイトをする場所がそもそも無く、更に言えばアルバイトという言葉すら常識として無いような環境で育ちました。

そんな、いくらでもCDが欲しかった時期に出たのが、沢山買えないわたくしにとても嬉しいこちらの作品でした。
1stアルバムからこの『Asian Dreamer』が発売される1994年まで、全てのアルバムから選曲されているわけではありませんが、いろんな作品からの曲が聴けるメモリアルベストセレクションである事と、生まれる前など昔の音楽作品でがっかりな部分でもある、音が質素というところは、このCD時点のメンバーによる全曲リメイクで、極上に厚みと躍動感のあるサウンドへと生まれ変わっております。

自分が生まれ育った年代の曲が一番であると主張したがるのが人間だとは思いますが、それを抜きにしてもCASIOPEAの歴史の中で最強のベストアルバムだと思います。(こちらを書いた2023年時点でです)

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作品ポイント

・各楽器の録音バランスがとても良く、それぞれの音が細かくキレイに聞こえてくる。

・原曲から大幅に変更することなく、新しいアプローチで絶妙なリメイクである。

・CASIOPEAらしいテクニカルな部分が増しているので、楽器演奏をしているかたにもオススメ。

レコチョク試聴できます。

演奏メンバー

ALL MUSIC BY
野呂一生

CDブックレットより

野呂一生
(ギター)
向谷 実
(キーボード)
鳴瀬喜博
(ベース)
熊谷徳明
(ドラム)

CDブックレットより

感動的メロディーが好みの私が聴いた場合の全体感想

🎼:CASIOPEA

メロディアス
(聴きやすさ)
🟠🟠🟠🟠⚪

涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🟠⚪⚪⚪⚪

演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🟠🟠🟠🟠⚪

曲展開
(←シンプル・複雑→)

🟠🟠⚪⚪⚪

疾走感
(⬅スローテンポ多・アップテンポ多➡)
🟠🟠🟠⚪⚪

ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
🟠⚪⚪⚪⚪

ファンタジック
(壮大・神秘・幻想的)
⚪⚪⚪⚪⚪

各曲感想(Disc1)

1,
ASAYAKE

 わたくしが1歳の時に出た作品の中に収録されていた曲なので、リアルタイムではありませんがカシオペアと言ったらやっぱりこの曲!
とてもポップで馴染みやすいイントロと、そのメロディが調を変えながらバックでひたすらループするのがやはり癖になります。
今リメイクはドラミングがとても心地よくなっっており、バックの透き通る爽やかなキーボードも増し増しで、速弾きギターのソロもダイナミックになっております。

2,
SPACE ROAD

 個人的にカシオペアっぽいと思えるサウンドの代表みたいな曲です。
ドラムパターンが聴いている側もリズムを刻みやすい疾走感で、抒情的な部分は無いにしてもとてもメロディアスで、野呂さんの淀みが一切ない綺麗なギタープレイ、ソロが楽しめます。

3,
MIDNIGHT RENDEZVOUS

 ソウルフルな雰囲気と、時々顔を出すリゾートミュージック感が特徴だと思います。
キーボードで表現するホーンセクションと、アダルトなメロディをテクニカルに演奏するギターが良いです。

4,
DOMINO LINE

 弾むようなリズミカルなチョッパーベースが終始気持ち良い曲で、メロディがポップなのとキーボードが多めの曲なので、アミューズメントパークのパレードなんかが似合いそうにも感じます。
途中パラレルワールドチックな変拍子から、一気に明るいギターソロに入るところが特徴的です。

5,
HOSHIZORA

 曲名からは完全な夜が想像できますが、わたくし個人的には夕焼けが綺麗な海岸沿いの方が似合うような気がします。
スチールパンの音を表現したような演奏と、民族音楽的な雰囲気が漂い安らぐようなメロディです。
エッジが効いた音で演奏感はとてもあります。

6,
BLACK JOKE

 ソウルとファンクを合わせたような雰囲気で、キーボードで作るバックのホーンセクションと、ギター、キーボードのユニゾンが格好良い曲です。
ソロバトルのようにハードではありませんが、ギターとキーボードの掛け合い展開でずっと進んでいくところが聴きどころです。

7,
EYES OF THE MIND

 不思議な雰囲気のメロディをキーボードで楽く聞かせて進行していき、ギターの演奏が入ると一気にメロディアスになるところがテンション上がります。
鍵盤楽器のように正確で綺麗なギター演奏が素晴らしいです。

8,
NORTH SEA

 甘いアダルトな雰囲気漂うスロー曲です。
バラードっぽい世界観ではありますが、メロディにせつなさのような感じが無いので、リゾート地などでのバックグラウンドミュージック的な存在感です。

9,
MISTY LADY

 とても初期のCASIOPEAらしい曲です。
キーボードの使用音などで、オリエンタルな雰囲気のニューエイジ感があり、心地良いベースラインと存在感のあるバックの鋭いキーボードに激しくロックなギター演奏が合わさる、テクニカルな部分の多い曲です。

10,
THE SOUNDGRAPHY

 南国リゾートの紹介VTRにとても似合いそうな、ラテン調のカシオペアにはめずらしい感じの曲だと思います。
スチールパン音のキーボード演奏とパーカションパートが入っているところと、CASIOPEAらしいキラキラした演奏が合わさって、とてもリズミカルでグルーヴ感のあるニューエイジ的フュージョンという感じです。

各曲感想(DISC2)

1,
LOOKING UP

 わたくしの中でCASIOPEA永遠のキラーチューンであります。
ジャンルをフュージョンに限定して言えば、わかりやすいメロディー、丁度良い疾走感、ドライブなどに最適な爽やかさ、複雑すぎない曲展開等々、理想の形が詰まった曲だと思います。

残念ながら今作のリメイクは、最高にテンションの上がるイントロが無くなってしまっていて、ちょっとガッカリなのですが、その分ギターとキーボードのテクニカルで音数の多い演奏にパワーアップしております。
曲全体の感想としては、最後の最後で来る大サビ的メロディが、アコースティックギターのみになってしまっていて、正直盛り上がりに欠けるので、オリジナルの方が格好良いです。

2,
CONJUNCTION

 CASIOPEAの魅力でもあるテクニカルな演奏をたっぷりと聴くことが出来る、賑やかで明るいカーニバルのようなパーティーナンバーです。
ピエロが見せるような凄テクジャグリングを、音楽で表現しているような次々と押し寄せてくる演奏が格好良くテンション上がります。

3,
TAKE ME

 キーボードメインのミディアムナンバーで、晴れた日のオープンカフェなどが似合いそうなオシャレなメロディを、向谷実さんの厚みのあり耳いっぱいに広がる音と、弾む演奏がとても綺麗でポジティブな気持ちにさせてくれます。

4,
DOWN UP BEAT

 アシッドジャズ、ジャズファンクのような雰囲気漂うニューヨークやラスベガスのような街頭の綺麗な夜の街の、少し外れた郊外を散歩する情景が浮かびそうな、少しあやしさのある曲です。
ダンサブルとはまた少し違うノリの良さですが、自然と体が左右に揺れてしまいます。

5,
THE CONTINENTAL WAY

 とても耳に残る印象のイントロでが特徴的で、全体的には少し不思議な雰囲気のメロディですが、中盤辺りに来るキーボードの一気に広がるソロ演奏が綺麗で、メロディアスだけに依存しないカシオペアらしい展開に、しっかり聴きどころを美しく持ってくるところがさすがです。

6,
COAST TO COAST

 この曲はリリースされた時代ならでは(1986年)と言いますか、現CASIOPEAではなかなかやらないようなポップなメロディアス曲です。
スポーツ競技や、モータースポーツ番組辺りのテーマ曲に似合いそうな、熱い感情に訴え掛けてくるメロディです。
基本的な部分は原曲に忠実で、演奏がキラキラ華やかでテクニカルになっていて、途中の軽いキーボードソロの部分が好きです。
野呂さんのクリアで綺麗な神的演奏がメロディにとてもマッチしていて、哀愁あるギター音が楽しめます。

7,
TWILIGHT SOLITUDE

 ゆったりとした優しい雰囲気の甘い曲で、ギターのぽわ〜んとしたエフェクトが不思議な空間へと誘ってくれ、テンポの遅い中で音数の多いキーボード演奏がとても綺麗です。
夕暮や星の輝く夜の海岸がとても似合いそうなバラードだと思います。

8,
SWEAR

 ギターとキーボードのユニゾン部分が多いスローテンポの曲です。
メロディもとても聴きやすく、CASIOPEAらしい広がりのあるキーボードのバック演奏と、ゆったりとした中でエッジの効いたギター演奏がユニゾンとともに楽しめます。

9,
GALACTIC FUNK

 ドラムとベースのイントロが気持ち良いとてもノリやすい曲で、ポップでメロディアスの流れの中でそれぞれの楽器の激しいプレイがたっぷり楽しめる構成になっております。
CASIOPEAのこういう曲が好きという人は多いと思います。
しっかり長めのベース、ドラムソロが設けてあり、「これこれっ!」と思わず言ってしまうほど楽器演奏が楽しめ、且つ演奏を披露するだけではなくメロディーもしっかりしていてライブでは盛り上がる事が想像できます。

10,
ASIAN DREAMER

 キーボードでビッグバンドを表現したようなサウンドで軽快に進行していき、中盤で激しいギターの演奏が入って盛り上がります。
ラストはキーボードの軽いソロがきてサクッと終わります。
ASIANとありますが、メロディからは結びつく要素は感じられずコミカルな印象の曲というのが正直な雰囲気です。

最後に

 CASIOPEAの作り出す作品は、涙を誘うような抒情性な部分はほとんど無いに等しいのですが、その分身体に響くリズムや、テクニカルな演奏をわかりやすくメロディアスに表現する、技巧派グループだと思います。

もちろん中には美メロ洪水の曲もありますが、どちらかと言うと楽器を演奏する方のほうが、真似をしてみたかったり勉強になったりするような、テクニカルな音遊びといった印象です。

わたくしはストーリー性の強い抒情的でファンタジックなサウンドが好みなので、CASIOPEAというとテンションを上げたかったり、無性にリズムにノリたい時など身体を動かしたいような時に聴くのが好きです。

今回紹介した『ASIAN DREAMER』は全曲セルフカヴァーのリメイクアルバムなので、オリジナルヴァージョンとの聴き比べがとても楽しく出来ると思います。

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