現実逃避の極み♪心に沁みいて滲みる。大自然に身を任せたくなる。1作品

葬送のフリーレン
ORIGINAL SOUNDTRACK

(2024年作品)

Music by
Evan Call

 『Journey of a Lifetime ~ Frieren Main Theme』葬送のフリーレンメインテーマに出会い、久しぶりに「きたっ!!」という気持ちになりました。

作品自体わたくしは見ていないのですが、アニメのサントラだと、普通は「どんなストーリーなんだろう?」「どんな絵のタッチなんだろう?」など、アニメの世界観などを考えると思いますが、初聴は音楽サブスクの予測で自動で流れたのを聴き、アニメの曲だとは最初気づかなかったのもあって、現実世界の自分が想像する壮大な大自然の絵が浮かんできました。

それだけサウンドに人の温もりや、木々のざわめき、波のうねり、川のせせらぎといった、現実世界でわたしたちが感じる自然の鼓動を感じられたということだと思います。

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Blu-ray・DVDセットもの

あわ鯛ko

レコチョクは楽曲画面でそのまま、タワーレコードは収録内容画面移動で、それぞれ▶️ボタンから少し試聴できます。

🎼:Evan Call

演奏ミュージシャン
(CDブックレットより)

All Music Composed & Arranged by
Evan Call

楽器演奏家
オーケストラBudapest Scoring Orchestra
指揮者Péter Illényi
ヴォーカルAlina Lesnik
ソロ ヴァイオリン吉田 篤貴
リュート
シトル
久野 幹史
ティン,ローホイッスル
イリアン パイプス
野口 明生
ソプラノ,アルト,テナーリコーダー多久 潤一郎
アコーディオン田ノ岡 三郎
アコースティックギター
マンドリン
堤 博明
レベック
メディエバル フィドル
上田 華央
トレブル ヴィオール
テナー ヴィオール
小澤 絵里子
バンジョー
ブズーキ
タールハルパ
シヴィ
コーラス
Evan Call
Programming & All Other Instruments
Evan Call

感動的メロディーが好みな私が聴いた場合の全体感想

メロディック
(聴きやすさ)

サントラなので、場面の状況説明を目的とする雰囲気重視でメロディの薄い楽曲なども必要になってくると思いますが、こちらの作品はそういった曲がほとんど無く、暗い曲でもしっかりとメロディを感じられるもので構成されていました。

涙腺刺激
(抒情的美メロ)

壮大で感動的な楽曲が多いのですが、サントラの特性上1曲が短いということも含め、映像なしの曲のみで鑑賞した場合はそこまで涙腺を刺激されることは、残念ながらないと思います。

演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)

1曲ごと全体の完成度を感じることができますが、楽器が主役になって魅せるプレイを全面に押し出す部分はほとんど感じられません。

ファンタジーな世界観
(壮大・神秘・幻想的)

ファンタジー全開の世界観ですが、わたくし個人的に感じたのは、意外にも実写ドラマなどに合いそうな現実味のある曲も多く、ファンタジーに限定した感じでもありません。

ヒロイック
(勇壮や鼓舞メロディ)

勇敢な印象などを感じられる曲は多いですが、70曲という数から考えると少ないです。

ワールドミュージック色
(民族音楽的要素)

アルバム全体を通して民族楽器が使われた曲がほとんどなので、アイリッシュミュージックや情熱的なスパニッシュミュージックなど、ある国を限定するようなものではなく複合的な独特の世界観を感じられます。

疾走感

優しく穏やかなテンポの曲メインで、打楽器がリズムをしっかりとり躍動感のある曲が少数といった感じなので、疾走感はありません。

曲展開

メインやエンディングといった場面の曲は比較的長いので、静かになったり盛り上がったり展開がありますが、全体としては1曲の中でストーリー性を感じるような曲はほぼないです。

各曲感想(DISC1)
1〜17曲目

1,
Journey of a Lifetime ~ Frieren Main Theme

 優しいイントロから壮大に広がり、同時にダンサブルな打楽器のリズムに乗り盛り上がっていきます。
バックのオーケストラサウンドに乗せ古楽器が総出演といった感じで、メインテーマという言葉にピッタリな、希望溢れ元気の出るメロディの曲です。

2,
The End of One Journey

 穏やかな夜明けといった感じの雰囲気で、少し寂しさのあるティンホイッスルの音色から、起床を思わせるような盛り上がりで終わります。

3,
The Party of Heroes Returns

 メインテーマのメロディの入った入場曲のようなスッキリ爽快な曲です。

4,
A Well-Earned Celebration

 小気味よいリズムパートと古楽器のハーモニーがきれいな曲で、日常の街散歩などがイメージできる陽気なメロディが良いです。

5,
For 1000 Years

 辺境の山岳地帯の朝露輝く静かな夜明けといった感じで、雰囲気は暗いですが神秘的な雰囲気が滲みる曲です。

6,
One Last Adventure

 ふるさと感のあるやさしい雰囲気と、オーケストラの壮大な盛り上げがとても美しい曲です。

7,
Farewell My Friend

 コーラスと弦楽器の響きがやさしく溶け合い、何か美しい自然現象を眺めているような場面が浮かんできます。

8,
Departures

 出発の意味する場面を想像した時に、希望に満ちたイメージがわたくしは一番に浮かんできますが、この曲は寂しさのような感情が滲んでいます。

9,
Time flows Ever Onward

 ウエスタンカントリーな雰囲気が少し混ざった北欧民族音楽といった印象で、歴史探訪で時代の流れを想像し、古代伝承など神聖な世界観が広がる曲です。

10,
Heiter’s Request

 心温まるようなやさしいメロディと演奏の極短曲です。

11,
The Precious Moments We Share

 のどかな風景が浮かぶとてもリラックスできる曲です。

12,
Life Is Worth Living

 過去を振り返りながら、静かに遠くを見つめているような場面が想像できる寂しい曲です。

13,
Before the Light Fades

 ピアノとハープの旋律がせつなく響きます。

14,
Grassy Turtles and Seed Rats

 ヴァナキュラー建築のようなテント家屋が並ぶ、砂漠地帯の町並みが浮かんでくるような曲です。

15,
Where the Blue-Moon Weed Grows

 やさしい子守唄のような部分と、音が広がる盛り上がりがバランスよくやってくる美しい曲です。

16,
Growing Up

 曲名にはあまり結びつかないような穏やかで、バンジョーの音色が落ち着く曲です。

17,
Phantoms of the Dead

 緑少ない荒れた岨道で風が吹き抜け、寺院などの伝統的な場所への悪路などが浮かんでくる曲です。

各曲感想(DISC1)
18〜34曲目

18,
Magical Defense Training

 出陣前の恐怖などを押し殺しじっと待機している様子などが浮かぶ、緊張感のある曲です。

19,
Qual

 インド民族音楽のような雰囲気の、砂吹雪舞う寂れた街がイメージされる曲です。

20,
Evolution of Magic

 全曲と近い雰囲気で暗さと恐怖感を煽る出だしから、一気に笛の音色とともに勇壮なオーケストラサウンドへと移っていくところがとても格好良いです。

21,
In Times of Peace

 やさしく癒やされるあたたかいサウンドと、どこか寂しい雰囲気が絶妙に合わさった曲です。

22,
The Land Where Souls Rest

 そよ風舞う静かな農村の昼下がりといった感じで、とてもリラックスできます。

23,
Where Hidden Magic Sleeps

 せっかく勇壮なメロディなのですが、極短曲で残念です。

24,
Great Mage Flamme

 悲しき記憶の回想といった雰囲気で、神秘的な部分と少し恐怖感を煽るような部分の両方が迫ってくる感じです。

25,
Goodbye for Now , Eisen

 それぞれの想いが形として溢れ現実を受け入れる。そんな悲しくもあり心を後押ししているような複雑な感情が混ざり合う雰囲気です。

26,
More Than Mere Tales

 暗く寂しいメロディを古楽器の見事な共演で、古代感が滲み出ている曲です。

27,
The Warrior’s Path

 荒れ果てた街や平原などを前に立ちすくむ様な印象で、さみしさや悲しさと言うより、辛さが伝わってくる印象の曲です。

28,
Fear Brought Me This Far

 何か苦難を協力して乗り越えていく様が浮かぶ、とても重みのある感情みたいなものを力強く表現しているような素敵な曲です。

29,
Dragon Smasher

 70ある曲の中で、数少ないテンションの上がるアップテンポの勇壮サウンドです。
アイルランド民謡を熱くヒロイックにしたようなメロディの、ホイッスルで奏でるイントロから和楽器太鼓集団のような軽快なリズムとともに、オーケストラサウンドで勇敢さを感じさせる壮大な演奏が繰り広げられ、胸が熱くなります。

30,
Lift My Head From Shadow

 せつないメロディを古楽器とヴォカリーズで美しく奏でる、胸にしみる曲です。

31,
Life and Legacy

 ヴォカリーズとコーラスメインで、神秘的な回想めいた雰囲気の寂しい曲です。

32,
Memories for My Master

 のどかさが感じられ、やさしくあたたかい気持ちになる笛の音が癒やされます。

33,
To Travel for Aureole

 木々や花、風の音、人間以外の自然界の物で様子を表現しているような、精霊的なイメージをもつ曲です。

34,
Beyond the Journey’s End

 この作品の世界観と民族音楽に、ミサ曲をミックスしたようなとても清らかな印象を受ける美しい曲です。

各曲感想(DISC2)
1〜18曲目

1,
Zoltraak
Evan Call feat. Alina Lesnik

 『戦いの踊り』という言葉が似合いそうな、とてもリズミカルで熱く勇壮なサウンドです。
屋内のコンサートホールというより、屋外のちょっとした広場で、現地の民族音楽隊とオーケストラ隊のバトルといった感じで、壮大に繰り広げられるお祭り的催事といった場面が似合いそうな、ヴォカリーズ中心のかっこいい曲です。

2,
Frieren the Slayer

 こちらもコーラスの割合が多い曲となっておりますが、インスト部分が格好良く、メロディが勇気のもらえるようで燃える感情を巻き起こさせてくれそうな力強い曲です。

3,
Across the Northern Lands

 神秘的な遺跡探索といった画が浮かび、笛の音が心地良く控えめだが妙に体に伝わる打楽器のリズムが印象的です。

4,
Gone, but Not Forgotten

 メロディと優しくあたたかい演奏が、全てが終わり訪れた平穏な世界を表現しているようで、とても癒やされる曲です。

5,
Things That Scheme in the Dark

 必要が無い限り足を踏み入れたくないような場所に、恐る恐る進行していくような妖しいメロディと雰囲気の曲です。

6,
Deep in the Dungeon

 全曲に続き暗い雰囲気の曲で、こちらは太鼓風のリズム演奏とパイプ、笛の音がしっかりメロディを奏でていて民族音楽として美しいです。

7,
Time Flows Ever Onward
(Short Ver.)

 曲名の通り、Disc1同曲の極短曲です。

8,
Sleepy Frieren

 演劇などで、何かイタズラを企ててこっそり実行するような場面が想像できるコミカルな雰囲気表現的音楽といった感じです。

9,
Shipwrecks and Treasure

 古代北欧チックな賑やかな朝市などがイメージできる、ワクワク感とフェスティバル感のある明るい曲です。

10,
A Sunrise Worth Seeing

 何か過去を懐かしみながらせつなさに浸っているような、少し寂しいメロディの曲です。

11,
New Friends and Old Faces

 テンポは早くないですがとても軽快なリズムと、楽しいと穏やかの中間ぐらいな絶妙な明るさでとてもポジティブになれる民族音楽といった感じです。

12,
Sneaking and Shopping

 抜き足差し足忍び足的なイントロから、怪しげなメロディとアコーディオンの音色が印象的な曲です。

13,
Drunkards and Mimics

 イタズラを企み実行するようなシチュエーションが想像できるのんびりとしたコミカルな曲です。

14,
Stark the Pure

 映像で想像すると全曲の延長といったイメージで、企て通り進まず仕掛けている側に何かミスが発生しているような情景が伝わってくるような曲です。

15,
Odd Clouds

 流れが穏やかな広い川を、景色を楽しみながらのんびり遊覧するような青空のもと自然鑑賞を楽しみながら聴きたい曲です。

16,
To Catch a Stille

 神秘的な全体のイメージに、一気に勇壮なオーケストラサウンドで盛り上げる部分とのギャップが格好良い曲です。

17,
A Beautiful Word

 とても悲しい雰囲気の出だしから徐々に楽器数が増えていき、後半に行くにつれストリングスバックのボリュームある演奏がグッときます。

18,
Ancient Magic

 音色自体は美しいのですが、メロディが少し不気味でとても暗い雰囲気の曲です。

各曲感想(DISC2)
19〜36曲目

19,
Knife to the Throat

 こんな民族音楽ばかりだったら良いのになぁ。と思わせてくれ、メロディ、グルーヴともにとても格好良く、しっかり土臭さも感じられ体を動かしたくなる躍動感のある曲です。

20,
Demon’s Bane

 曲展開がとてもしっかりしていて、劇の一場面を見ているかのような曲です。
後半の勇ましく進軍しているような部分が盛り上がります。

21,
Seeds of the Past Bear Today’s Fruit

 リュートとリコーダーの響きが滲みる少し寂しい曲です。

22,
Headpats and Heart

 民族楽器の音色を活かした心温まる癒やしサウンドです。

23,
From the Heart

 アイキャッチに使われそうな曲で、メロディが良いのですが29秒という極短曲です。

24,
Pudding With Friends

 高原の絶景からの日の出を眺めながら、いつも通りの平穏な日常が始まるようなリラックスサウンドです。

25,
Fern’s Birthday

 曲名でイメージすると、当日というより思い出に浸っているような雰囲気の曲です。

26,
Privilege of the Young

 優しく穏やかなメロディなのですが、どこか寂しく、今は亡き者との思い出を振り返ったり、自分自身を見つめ直したりしているシーンが浮かぶ曲です。

27,
Super Secret Magic Potions

 気が抜けてしまうような脱力コミカルメロディといった感じです。

28,
Handsome Pose Collection

 アニメ・映画などで、少し勘違いしている高貴なキャラなどが登場する時に流れていそうな曲で、凛々しいのかコミカルなのか混乱するようなメロディです。
部分的にはとても格好良いメロディも出てくるのと、パイプとアコーディオンの音色が心地良く、個人的には好きです。

29,
Too Many Grimoires

 普段の日常で気晴らしに楽器を演奏しているような、なんとなくついで感があるところが良いです。

30,
Stories Yet Untold

 テイストはガッツリ民族音楽で、旅人を感じさせるようなのんびりとした曲です。

31,
Old Man Voll

 ゆっくり穏やかな短曲ですが、ブレス楽器の音が徐々に重なっていく感じが癒やされます。

32,
The Magic Within

 今作品どの曲も味があって良いのですが、個人的に求めているのはこの曲のような激しく躍動感の強い勇壮メロディです。
テンションの上がるリズムと緊張感、クライマックスな雰囲気がたまらない伝統的なアイルランドミュージックではなかなか聴けないヒロイック・アイリッシュミュージックといったかっこいい曲です。

33,
New and Dangerous Magic
Evan Call feat.Alina Lesnik

 こちらも前曲に続きとても格好良いメロディですが、ヴォカリーズなのが完全インスト派のわたくしにとっては残念です。
少しファミコンチックな音色や、厚みのあるオーケストラサウンドと激しい民族楽器の演奏が素晴らしいです。

34,
Waltz for Stark and Fern

 とても哀愁のあるメロディと、テンポの丁度よい三拍子がとても心地よいです。
お城の舞踏会場でフォーマルな紳士と御婦人が優雅に踊っている様子が浮かんできます。

35,
Mirrored Lotus

 穏やかな夜明けといった感じで、この曲みたいなサウンドは何曲も出てきましたが、エンディングに近いでけで印象が違いますね。
短曲ですが素敵です。

36,
Song for the Beyond

 ラストにはもっと長編の曲を持ってきても良かったとは思いますが、流れ通り短曲です。
こういった映像作品のサントラでは、組曲形式を持ってきたら最高に感動したとも思います。
美しく穏やかなメロディの曲ですが、ラスト曲という特徴は特にないです。

最後に

 個人的な好みの問題もありますが、ミュージシャンがタイアップ的なものがなくリリースする、『ニューエイジ』や『民族音楽系イージーリスニング』などでは、やはりファンタスティック、ヒロイックといった部分が物足りなく感じてしまうので、このサントラのように古楽器をふんだんに使用した美メロサウンドはとてもありがたいです。

聴き応えのある尺の曲はほんの2〜3曲ですが、どの曲も良いメロディなので連続再生で1ディスク1曲みたいな感覚で聴けば、凄い大作だとは思います。

少し伝統とは離れてはいますが、アイリッシュミュージックが好きな方にはオススメだと思います。