ファンタスティックな世界へと誘い、人の温かさ伝わる演奏感とともに炸裂するヒロイックメロディ!ゲームミュージックアレンジ1作品
kiseki series music album
ZEMURIA GRAND ODYSSEY
19999 – XXXXX
(2025年作品)
All Musuc by
Falcom Sound Team jdk
安定のヒロイック・ファンタジーサウンドを提供し続けてくれている日本ファルコムでありますが、今回も素晴らしいアレンジ作品を出してくださいました。
軌跡シリーズをサウンドで振り返る内容になっているのと、全曲新アレンジ・新録音ということで、期待を裏切らない濃い内容となっております。
ダンスビートを使用している曲もありますが、割合的にはバンド演奏表現の曲が多いので、ストリングスなどクラシック音楽寄りの音と、ロックなバンド演奏の融合サウンドがたっぷり楽しめます。
個人的な意見ですが、多数のタイトルのゲームミュージックアレンジ作品が出ている中、サウンドにゲームタイトルごとの色が出ているメーカーはあれど、ゲーム会社そのもののサウンド色が確立されているのは日本ファルコムだけだと思います。
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🎼:Falcom Sound Team jdk
演奏ミュージシャン
(CDブックレットより)
楽器 | ミュージシャン |
---|---|
Violin | Akiko Nagano |
Cello | Takanori Yamagishi |
Guitar | Masaru Teramae |
Bass | Atsushi Enomoto |
Keyboard | Shige Yamamoto Yukihiro Jindo |
Vocal | Kanako Kotera |
Lyrics & Chorus | Ayako Shibazaki |
Soprano | Yukie Aramaki |
Tenor | Shun Kobayashi |
感動的メロディーが好みな私が聴いた場合の全体感想
(聴きやすさ)
シリーズ中もの凄い数の楽曲が存在する中で、14曲に収めただけあって、全て美しいメロディの曲で構成されています。
(抒情的美メロ)
美メロ揃いにはなっているのですが、全体的に涙腺を刺激するとは若干方向性が違い、どちらかと言うとあたたかい気持ちにさせてくれる楽曲で構成されていると感じます。
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
しっかりと演奏家を起用していますが、奏者のテクニックを前に押し出す感じではなく、1曲1曲綺麗にまとまっている印象です。
ギターソロなどあるものの、残念ながら拳を突き上げたくなるような演奏バトルはありません。
(壮大・神秘・幻想的)
中世ヨーロッパのお城や、緑輝き存在感ある山々、太陽の光を浴び爽快な風が突き抜ける大平原など、王道ファンタジーな世界が想像できる作品になっていると感じます。
(勇壮や鼓舞メロディ)
激しさという部分で言うと鼓舞感は少し弱いですが、シンフォニック・メタル風な曲や、ミディアムテンポな曲でも雄々しい印象を受けるものが多いです。
(民族音楽的要素)
個人的にはニューエイジ要素がもう少しあっても良かったと思うのですが、民族楽器やメロディは雰囲気として感じる部分がちょびっとあるだけです。
軌跡シリーズもイースシリーズのような、アップテンポでメタル調の曲がボス戦などでありますが、今作品で疾走感のある曲は1曲だけです。
ただ、静かな印象を受ける曲もヴォーカルもの以外では1曲ぐらいですので、疾走感のあるほうだと思います。
作中使用ヴァージョンに忠実なアレンジとなっているのと、クラシック音楽で言うソナタ形式のような長い展開の曲はないので、ファンタジーサウンドなフュージョンを聴いているような印象です。
各曲感想
黎明の時代
1,
Open the Shard!
軌跡シリーズらしさが全開の、ヒロイックなメロディをとてもポップに聴かせてくれる曲です。
ヴァイオリンとギターのユニゾンがとても心地良く、ベースの音もしっかりと存在感を出していて、ポップスのようにわかりやすい曲展開と、最後のテンポアップでの盛り上げが良いです。
2,
Buster the Ghost of Garden
アルバムの曲展開としてはガッツポーズな2曲目です。
凛々しく可憐な女戦士をイメージできるようなメロディを、スピードメタルで聴かせてくれるテンション上がる格好良い曲です。
ベースラインの音符運びがダンサブルな印象も受け、メタルな曲調のバックで、ひらひらと風に舞う民族衣装に身を包んだ華麗に舞うダンサーなども浮かんできました。
3,
Make a breakthrough
ニュークラシックと表現できるような、オーケストラ風なサウンドにドラムセットのリズムもしっかり入っていて、バンドサウンドの勢いもあるガツンとくる曲です。
せつなさと勇敢さが合わさったようなメロディが美しく、バックのオーケストラサウンドが曲に厚みを持たせていてアコースティックギターの寂しさ感じる演出と、ヴァイオリンの部分の少しメランコリックな演奏が、悲しい物語の場面などを思い起こさせます。
ヴァイオリンバートをニ胡にしても似合いそうです。
相克の時代
4,
有角の若獅子たち
少し沈痛な雰囲気の出だしでゆっくりと始まり、途中からテンポアップし一気に勇壮な世界観へと展開していきます。
テンポアップしてからの逆行に立ち向かう勇敢な姿が想像できるメロディが格好良く、一歩一歩突き進むようなダンスビート系のリズムで力強く進行していく部分と、各楽器の音の重なりが段々厚みを増して行って、最後穏やかに静まっていくところが良いです。
5,
Blue Destination
キーボードのキラキラサウンドと、ヴァイオリンの優美なサウンドが綺麗にマッチした美しい曲で、諦めない気持ちをイメージしたようなメロディが心に刺さります。
バックのデジタルサウンドのリフと、ヴァイオリンのアコースティックな伸びやかな音がとても心地良く、同時にダンスミュージック調のリズムがグルービーで高揚感も同時に感じられます。
6,
Spiral of Erebos
インパクトのあるギターフレーズと、どこかオリエンタルで古風な雰囲気の感じられるイントロから、一変してハードなロックサウンドへと移っていくところが良いです。
激情感のある情熱的なメロディが格好良く、ゆっくりめな曲の中で疾走感のあるベースラインが響いてくる重厚感のある曲です。
7,
七の相克、そして未来へ
勇壮で旅立ち感のあるオーケストラサウンドです。
よく宇宙をイメージした時のような壮大なオーケストラの部分と、活気に満ちて士気の高まった様子などが想像できるメロディが勇ましさのようなものを演出しています。
そして、後半に出てくる1曲目『Open the Shard!』のメロディが感動を誘い、その流れからオーケストラサウンドだけだ中で、エレキギターとドラムセットの演奏が加わって一気に盛り上がって終わり、曲展開としても素敵です。
8,
Radiant Hope
このアルバム全体を見た場合、一度目のエンディングといった感じの穏やかで雄大さと壮観な景色などがイメージできる曲です。
ストリングスバックと管楽器の音が綺麗なイントロからの優しいチェロ演奏が印象的で、その後は一つの楽器が前に出てくると言うより、編成全体で最後まで奏でていく展開に癒やされ、心穏やかにさせてくれます。
因果の時代
9,
Get Over the Barrier!
正統派なメロディアス・ハードロックサウンドと、神秘的な雰囲気が感じられるメロディが少しアンバランスに混ざり合っている印象です。
Bメロからサビへの流れがとてもせつなく、ヴァイオリンとギターのハモリがとても沁みます。
ギターソロがしっかりあるところも良く、トーンを少し落としてからの入りがテンション上がります。
10,
Azure Destiny
このアルバムで一番の激しい曲で、完全なスピードメタルとなっております。
聞こえてくる感じではギターの刻みリフがないので、メタルではありますがダークな部分が弱く、ヒロイックなバトル系サウンドになっていると感じます。
ギターの刻みリフの代わりと言いますか、ベース音の刻みが細かくとても疾走感があり、気が付くとベースに耳がいってしまっているほどです。
それぞれの楽器の躍動感のあるプレイが一番楽しめる曲だと思います。
11,
The Perfect Steel of ZERO
-ZEMURIA GRAND ODYSSEY ver.-
コーラス隊の曲ですので、ヴォーカル曲扱いです。
空の女神(エイドス)の時代
12,
風を共に舞う気持ち
青空がとても似合う爽やかなオーケストラサウンドで、優雅に大空を飛んでいるような雰囲気で始まり、緊張感のあるダンスビートの勇ましい曲調へと移っていきます。
主旋律のメインはヴァイオリンでエッジの効いた演奏を聴かせてくれるので、ノリの良さと鋭さで気持ちを奮い立たせてくれてテンションも上がります。
一旦優しく穏やかなパートをはさみ、また激しく展開していく演出など、とても聴きごたえのある曲です。
13,
I swear…
-ZEMURIA GRAND ODYSSEY ver.-
ヴォーカル曲です。
14,
Overdosing Heaverly Bliss
個人的に一番楽しみにしていた大好きな曲です。
初めてこの曲に出会った時、「軽快で明るい曲調なのに、なんて泣ける曲なんだ!!」と不思議な感覚に誘われました。
イントロからサビにたどり着くまでは、とてもロックで力強い行進のようで、どこか力をグッと抑え込んでいるような印象の展開になっており、サビになると力を一気に解放したかのような勢いを感じられ、どちらかと言うと泣ける要素は無いような曲なのに、わたくしはド感動してしまったとても不思議な曲です。
そして意外だったのは、大事なイベント曲の雰囲気満載なのに、なんとボス戦闘曲なのです。
Falcom Sound Team jdkの素晴らしいセンスがとても感じられます。
今作でのアレンジは『ファルコムjdkバンド2008春』に収録されているアレンジに比べたら少し負けますが、キーボードの透き通る音の演出とキラキラ感が多めだったり、ギターのテクニカルで丁寧な演奏が心地良かったりでとても格好良いです。
最後に
Falcom Sound Team jdkさんがアレンジCDを出すと聞くと飛びつくわたくしですが、今回も壮大なファンタジーサウンドと演奏感のあるバンドサウンドが融合したアレンジがしっかりと収録されていたので、とても満足でした。
ジャズ&フュージョンじゃファンタジー感が足りない。
クラシック音楽や映画サントラのようなオーケストラサウンドオンリーだと、バンド演奏感が欲しくなる。
こんな、ないものねだりがある方は、オーケストラサウンドとバンドサウンドが見事に融合した、Falcom Sound Team jdkの生み出す音楽はいかがでしょう。
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