哀愁漂うラテンバンドと、ホーン・セクションの融合で、素晴らしく厚みのあるアンサンブル。(1作品紹介)
作品名:
COELACANTH DREAM(シーラカンスの夢)
(1996年作品)
ミュージシャン名:
松岡 直也
当時まだ若かったので、松岡直也さんの作り上げる哀愁感・抒情性の詰まった感動できるメロディは大好きだったのですが、本格的なラテンの世界というのには少し抵抗がありました。
そんな中で、ノリの良くテンションを上げてくれるだけではなく、涙を誘う抒情性たっぷりのサウンドを期待どおり、そしてロックに聴かせてくれる松岡直也さんは非常に聴きやすく感じます。
この作品はホーン・セクションが加わって厚みのあるアンサンブルが魅力な作品と言うことですが、ラテンでホーン・セクションと聞くと、『オルケスタ・デ・ラ・ルス』や『熱帯JAZZ楽団』など、楽しく賑やかお祭りサウンドをイメージできますが、こちらの作品は従来の哀愁感たっぷりな松岡直也サウンドそのままに迫力・躍動感が増した素敵なプラスαになっております。
そしてちょっと残念なのが、コーラスを飛び越えて、ヴォーカル曲に近い曲が入ってしまっていることです。
これは、完全インストが好きな私のわがまま感想ですので、ご了承下さい。
<ポイント>
レコチョクは試聴が出来ます。
参加ミュージシャン
Produced&Arranged
CDブックレットより
by松岡直也
松岡直也
ピアノ(all songs/except8)
パーカッション(1)曲目
スティックドラム(8)曲目
高橋ゲタ夫
ベース(1,2,3,4,5,6,7,8,9)曲目
パーカッション(1,9)曲目
ヴォーカル(1,5,7,9)曲目
田中倫明
パーカッション(1,2,4,5,8,9)曲目
ウィリー長崎
パーカッション(4,5)曲目
大橋 勇
ギター(1,2,3,4,6,7,8,9)曲目
大坪稔明
シンセサイザー(1,2,3,4,6,7,8,9,10)曲目
榎本吉高
ドラム(1,2,3,6,7,8,9)曲目
外山 明
ドラム(4,5)曲目
鈴木孝一
トランペット(1,8,9)曲目
ヴォーカル(1,5,9)曲目
五反田靖
トランペット(1,8,9)曲目
ヴォーカル(1,5,9)曲目
伊勢秀一郎
トランペット(1,8,9)曲目
望月誠人
トロンボーン(1,8,9)曲目
野村裕幸
トロンボーン(1,8,9)曲目
近藤和彦
アルトサックス(1,8,9)曲目
倉富義隆
テナーサックス(1,8,9)曲目
赤木りえ
フルート(4,5)曲目
松岡真由美
ヴォーカル(1,5,7)曲目
(ブックレットはローマ字表記)
感動メロディが好みの私が聴いた作品全体感想
🎼:松岡直也
・ポップ感
(聴きやすくメロディアスな曲が多い)
🔵🔵🔵🔵⚪
・演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🔵🔵🔵⚪⚪
・疾走感
(⇦スローテンポ多・アップテンポ多⇨)
🔵🔵⚪⚪⚪
・ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
🔵⚪⚪⚪⚪
・涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🔵🔵🔵🔵⚪
各曲感想
1.
雨上がりの街
早速トランペットの哀愁あるイントロからスタートし、松岡直也節全開のピアノへと繋がります。
昭和時代のアニメ版ルパン三世でありそうな雰囲気も出ています。
切なさが増した『SUNSPOT DANCE』みたいな印象も受けます。
やはりラテンにホーン・セクションはとても似合いますね。
純粋インスト派としては、途中のヴォーカル部分がやや残念。
2.
風と歩こう!〜Twilight Step
ゆっくりの曲ですが、リズムのノリは良く弾むような明るい雰囲気もあります。
ベースラインが気持ち良く、ストレートなピアノフュージョンです。
3.
七つの海を越えて
私が松岡直也さんが作る曲のタイプの中で、好きなサウンドです。
アップテンポのロックフュージョンで、キーボートを沢山フューチャーした、爽やかなキラキラサウンド。
大橋勇さんの派手なギターが光る良曲です。
4.
Edén〜裸足のままで
情熱的なフラメンコサウンドに日本的哀愁がプラスされたような、超絶カッコイイ曲です。フルートのソロ演奏がこんなに魅力的なのかと、身体で感じれる名曲です。
ラテンピアノバッキングと、アコースティックギターの速弾きがとてもマッチしており、そこに絡むピアノソロが鳥肌モノです。
終始吹きまくりな印象のフルートと、後半のアコースティックギターの速弾きと、フルートの速吹きのバトルがとにかくカッコイイです。
5.
海岸通りの”Jessy’s Bar”
チャチャチャのリズムでゆったり感を味わいながら、こちらも深みのあるフルート演奏が楽しめます。途中コーラスが入り、ヴォーカル曲感が出てしまうのが残念です。
6.
夕陽を抱きしめて
出ましたっ!この作品1の好み曲!
極上のピアノロックサウンドになっており(HR/HMのようなロックを想像しないでね)、人によって感じ方は違うと思いますが、私はメロディに勇壮さを感じ、それがたまりません。
後半のピアノ伴奏にギターの速弾きソロがガンガン来るところや、ピアノとキーボードのユニゾンなど、演奏自体も聴きどころ満載です。
7.
シーラカンス碧
シーラカンスブルーと読む曲になります。こちらは完全なヴォーカル曲になります。
8.
Lady Swallow
ベース進行がとても大好きな曲で、自然に身体がゆらゆらと踊りだす曲です。
Steele Drumのリゾート感ある響きが心地良く、ヴォーカル曲をインストにアレンジしたかのようなポップな曲だと思います。
松岡直也さんのSteele Drumさばきがソロで光、ギターとの掛け合いも素敵です。
9.
太陽がある限り〜Así es la vida
聴きやすいポップなサウンドから一転。
最後にプロの技を存分に見せつけるかのような、サルササウンドにカッコイイの一言です。
盛り上げ方も2部構成になっているような感じで、ホーン・セクション参加の力をガンガン見せてくれます。
少し妖しい雰囲気の前半から、途中松岡直也さんのピアノを合図に、一気に盛り上げモードに入り、力強いメロディアスなロングピアノソロで撃ち抜かれ、それを追いかけるかのようなホーン隊の流れるような演奏とパーカッションで、最初の雰囲気を忘れるくらい哀愁お祭りサウンドになっていきます。
10.
出会いの扉
こちらは1曲をベースに、松岡直也さんのしっとりとしたピアノ演奏が楽しめます。
サビのメロディが、私の好きな『Sunspot Dance』に似ているのもあって、とても感動できる美しいピアノ曲だと感じます。
最後に
この作品は、期待する松岡直也節、ラテン、哀愁、抒情性、ロック、全てを平均的に感じることができる良作だと思います。
メロディに関しては、ハズレ作品など存在しないので考える必要はないのですが、私のように細かい部分に好き嫌いがある聴き手にとっては、とても有り難く、あっ!と言う間に聴き終えてしまうと言っても言い過ぎではないと思います。
ラテンミュージシャン全てが、松岡直也さんのような美しいメロディ満載の曲をやっているわけではないので、自分の求めるものにぴったりハマったという意味では、まさに神ピアニストです。
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