伝統的よりも感動や壮大さを重視した、ゲームミュージックだから出来るデジタル『和』音楽1作品。
作品名:
”VM JAPAN”
ORIGINAL SOUND TRACK
(2002年作品)
制作:
Falcom Sound Team jdk
私は和楽器の音楽もとても好きなのですが、こだわりが細かいせいでなかなか紹介したいような作品に出会っていません。
1番はやはり生楽器で演奏されているということで、次は伝統や演奏技術を売りにするよりは、感動系や壮大さで涙を誘うような曲作りをしてくれているところになります。
そして洋楽器と混合編成であるといったところでしょうか。
わかりやすい例をあげるとすれば、和楽器バンドがインストゥルメンタルグループだったら120%好みになります。
文章を打ち込んでいる状態ですでに「あぁ〜、そんなバンドいねぇなぁ〜」と半笑いでいます。(笑)
そんな中、好みに100%合致しているわけではないのですが、私の大好きな日本ファルコムさんが素敵な和音楽を作り上げてくれています。
ゲームミュージックということで伝統や「和楽器音楽はこうあるべきだ!」という常識にとらわれず、当たり前ですが使用するゲーム自体の世界観を音楽で表現しているので、壮大さと感動的メロディが絶品です。
全て打ち込み制作で演奏感が感じにくいですが、ノリの良いサウンドから大河ドラマなどの昔を描いた和のドラマ音楽に匹敵する感動・壮大曲まで幅広く和楽器音楽が楽しめます。
レコチョクは試聴可能です。
感動メロディが好みの私が聴いた作品全体感想
🎼:Falcom Sound Team jdk
・ポップ感
(聴きやすくメロディアスな曲が多い)
🔵🔵🔵🔵⚪
・演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
⚪⚪⚪⚪⚪
・疾走感
(⬅スローテンポ多・アップテンポ多➡)
🔵🔵⚪⚪⚪
・ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
🔵🔵🔵🔵🔵
・涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🔵🔵🔵🔵⚪
各曲感想 (DISC1)
1.
月夜に我独り
全曲の中で実はこの曲が1番好きです。1曲目に素晴らしい曲が入っていることで一気に心を掴まれたのは間違いないです。
和風全開イントロから始まり、少し切ないメロディと勇壮さのバランスが良く、後半オーケストラのような大きく盛り上げるところが好きで、静と動がバランスよく組み込まれている曲です。
残念な事にこの曲は短いです。
2.
幻想紀行
最初はほっこりするような道中音楽な感じなのですが、少しづつ切なく哀愁ある雰囲気に変わっていきます。
箏の音色がとても気持ちよく透き通るようなシンセの音と見事にマッチしております。
そして一旦静寂を表現して、曲終了かと思いきや厚みを増してもう一展開あるところが好きです。
個人的にはコーラスが入ってしまっているのが少しマイナスです。
3.
旅路の空
激しくはないですがノリの良いリズムで気持ち良いです。
ピアノの音と篠笛・箏の音がとても綺麗で、全体的にはキーボード演奏表現の部分が多いですがバランスの取れた和風インストです。
4.
つわものども
メロディがとても好きで、曲展開もしっかりしているポジティブサウンドです。
キーボードソロ的な部分もあり、既存のメロディにどんどん味付けされていくような進行が盛り上がります。
5.
えにし絢爛
尺八の音を使った淋しい雰囲気の曲です。
バックのピアノがアクセントになっていて綺麗ですが、短い曲です。
6.
決戦の狼煙
こちらはほぼ効果音という形になっております。
「狼煙をあげろーっ!」的な感じです。
7.
東桜
和風イージーリスニングとかにもありそうな、太鼓など打楽器の主張がしっかりしている曲です。
戦国時代をイメージした映像に合いそうなサウンドです。
8.
雨のまほろば
とても日本的な勇壮さと古い西部劇的な勇壮さが上手くミックスされていると感じるメロディで、サビの部分が特に哀愁があり好きです。
9.
風の砂子路
小鼓・大鼓の軽快な音と長胴太鼓の音が気持ちよく、ベース音とスネアドラムも入り和洋のリズム共演のようなところが好きです。
篠笛音のソロ的な部分もあり、歌舞伎の演目の一部のような雰囲気のメロディで厚みのある曲です。
10.
黄泉洞
こちらはシンセサウンドがメインの曲で、和楽器音も使われていますがちょっとだけドラゴンクエストっぽくも聞こえます。
11.
遠の火群
喜多郎のシルクロード幻想のような雰囲気のシンセサウンドに和楽器演奏を加えたような曲です。
メロディは神秘的な感じなのですが、リズムが少し盆踊りのような感じもあり不思議な感動曲です。
12.
勝って草鞋の緒を締めよ
琴と鼓で純和音楽といった感じの曲です。
歌舞伎の「よぉー」という掛け声が連続で続く、ある意味ヴォーカル曲です。
13.
外法操りし者
和楽器は使われていますが、和音楽とは遠い曲です。
リズムはしっかりドラムで表現していて、メロディはよくダンジョン等で使われそうな暗い雰囲気です。
14.
眼前の難関
戦国時代の部隊進行をイメージするような雰囲気です。
メロディは勇壮で格好良く、時代劇などにも合いそうなリズムと、マーチングバンドの行進的なリズムが上手く合わさった曲です。
マーチングバンドに和楽器が入ったらこんな感じになるのかもしれません。
15.
時雨の刻
メロディに悲しさが感じられ、和楽器とストリングスの綺麗なミックスとピアノがとても美しく、そこに箏・尺八が加わるバラード曲です。
16.
紅の空に
こちらも優しいバラード曲で、時代劇で何かを乗り越えなくてはならないような出来事で流れそうな雰囲気です。
17.
慕情
バラードが続きますが、こちらはタイトル通り悲しさ全開のメロディです。
和風な雰囲気は無く、アコースティックギターのバックとキーボード演奏の淋しい曲です。
比較的長めの曲なので聴き応えはあります。
18.
幻魔街道さすらい二人旅
(ボーナストラック)
1曲目をダンサブルにアレンジしたような曲です。
時間は短くすぐ終わってしまうのですが、ボーナストラックと言うだけあって生演奏感が段違いに感じれる良曲です。
旅路の雰囲気をソウルフルに表現した感じです。
19.
乱世の覇者
ー御試し仕様ー
(ボーナストラック)
完全なダンスビートの音源になっております。
メロディは良く和楽器もふんだんに使われていますが、ここまで完全なエフェクトリズム楽器音だと申し訳ありませんが、やはり苦手です。
各曲感想 (DISC2)
1.
さだめ集いて
イントロからとても幻想的な雰囲気です。
最初は静かな印象ですが、途中からドラムが入りエレキギター音もプラスされ、フュージョン感がとても強くなり、しっかりとしたバンド演奏のニューエイジのような曲です。
2.
神無島
勇壮で神秘的なメロディを尺八音とフルート音で奏で、透き通るようなシンセサウンドがバックを固める壮大な曲です。
3.
邪
琵琶法師の演奏を想像できるような曲で、ひたすら暗く邪悪な雰囲気です。
4.
妖星悲譚
シンセサウンド特有の美しい伸びやかな演奏の中に尺八音で悲しげなメロディが入る良曲です。
DISC1でもありましたが、喜多郎のシルクロード幻想の世界観のような神秘的な空間に誘ってくれます。
こういう切なさに勇壮さがプラスされたメロディは大好きです。
時間も長くて良いのですが、リズムがダンスビート調なのが残念です。
5.
幽玄の宴
最初はとてもさみしげな雰囲気で尺八と篳篥のハーモニーが美しいです。
途中から太鼓が入り少しリズミカルになり曲展開も良いです。
6.
宵闇幻魔儚きかな
DISC1の1曲目を別アレンジにしたような曲です。
最初は切なく静かに始まるのですが、リズム隊が入りストリングスと共に一気に盛り上がります。
初期のファイナルファンタジーの友情シーンのような場面で流れそうな雰囲気の曲を、和風ヴァージョンにしたような感動ファンタジーの良曲で、展開も素晴らしく時間も長めです。
7.
ぶいえむ音頭
『THE 盆踊り!』な定番的メロディです。
ただ明るいだけじゃなく、『月夜に我独り』のメロディを織り込んであります。
8.
猛者の咆哮
ダンスビートに掛け声なども入った、とても力強い曲です。
シンセでエレキギターの演奏を表現しているハードめな演奏に、バックの三味線音リフがちょっとオシャレな曲です。
9.
月夜に我独り
ー戦場仕様ー
メロディ進行はDISC1のヴァージョンとほぼ一緒なのですが、サビにあたる部分が少し変わっておりとても力強くなっております。
リズムの部分も少し重厚感が増しており、琴による高速アルペジオが激しく追加されており綺麗です。後半の展開が力強く変わっていますが、幻想的な部分は後退してしまっています。
10.
乱世の覇者
ビートがダンス調で軽快です。
和楽器音はしっかりと使用されているのですが、同ファルコムのイースシリーズで聴いた事があるようなメロディです。
11.
さらば別れの時に候
タイトルから想像する雰囲気とは逆で、明るめなポジティブサウンドです。
ドラム演奏もしっかりしており、メロディもそこまで和風ではないので単純にフュージョンとして良曲です。
曲展開も複雑で、キーボードソロの部分も組み込まれており、琴音とキーボード掛け合いのような演出になっており曲も長いです。
12.
終日(ひねもす)のたりのたり
和打楽器全開の曲で、雰囲気は数え唄のような感じです。
短くすぐ終わります。
13.
静かなる激戦
ー華緒数応打ー
琴独奏の純度の高い和音楽です。
事でさくらさくらを弾いた時のような雰囲気の曲で短い曲です。
14.
曲者を討て
ドラム演奏に鼓が合いの手を入れているような軽快な曲です。
少し慌てた様子を表現したようなメロディで単調で時間も短いです。
15.
熱砂
ボーナストラック
ヨーロッパの騎士が行進するような情景を連想してしまう、和音楽とは遠い雰囲気です。
メロディは最初のうち緊迫したような感じで、サビになると日本の『笙』と『バグパイプ』の中間のような音で切なく勇壮なメロディになります。
16.
妖星悲譚
ー天笠編ー
ボーナストラック
4曲目の原曲のダンスビートをパワーアップさせ、テンポを速くしてノリが良くなったヴァージョンです。
ダンスミュージックとしては良いのかもしれませんが、個人的にはせっかくの和音楽の雰囲気が薄れてしまっていて残念です。
最後に
今回は自身の細かなこだわりにマッチする数少ない和風音楽でした。
大好きな作品ですが、やはりリズム楽器がダンスビートっぽい曲が多数なので、歯がゆいというか少し残念ではあります。
とは言え車で走りながら聴くのに意外に合うので結構車中で聴いております。
車ですと周りをそれほど気にせずに大音量で聴くことが出来ますし、ヘッドホンやイヤホンと違い開放感と景色が流れるスピードが速いのとで、とても気持ちよく聴けると思います。
そして先程の開放感とは逆もあり、自分だけの空間も作り出せる良さもありますので、テンション上げたり、しんみりしたりが意外に遠慮なく出来るところも良いですよね。
今作品はゲームミュージックということで、型にはまらないファンタジックな和音楽が聴けますので、景色のきれいな山道や田園風景広がる田舎道で聴くのが、とても雰囲気が出て気持ちが良いです。
皆様もお気に入りの和楽器インスト爆音で、自然豊かな環境をドライブしてみてはいかがでしょうか。
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