過去名盤!当時は、これでもかと言うくらい『好き』が詰まっていてスペシャルなおもちゃ箱的作品だった。1作品
作品名:
ファルコム スペシャル BOX ’94
コンポーザー:
Falcom Sound Team J.D.K.
アレンジ担当:
米光 亮
寺嶋 民哉(寺嶋 民哉&J.D.K.E.オーケストラ)
岸本 友彦(J.D.K.BAND)
藤澤 道雄(藤澤 道雄&M.FUJISAWA PROJECT)
ファルコム スペシャル BOX ’89(発売年は1988年)をスタートに、毎回固定内容ではありませんが、サントラ、アレンジ、限定アレンジ、プレリリース、ドラマCD、Windows環境プレイ可能な復刻版ゲームなどを、3枚組以上でたっぷりと詰め込んだおもちゃ箱のようなBOX作品になります。
2023年時点では、2003年に出したスペシャル BOX 2004が最後にリリースされたものになっており、個人的にはこの企画復活を願っています。
当時まだ小遣い制の中・高校生だったわたくしは、リアルタイムでゲットしていたのはわずかですが、発売情報を知るたびに毎回ワクワクし、欲しい内容なのに金銭面で発売と同時にゲット出来ない時は、我慢我慢でした。
その中でも、ファンタジックなバンドサウンドが大好物なわたくしの欲求を100%満たしてくれた、3枚組全てがアレンジCDだった’94が、とても素晴らしい内容なので取り上げてみました。
作品ポイント
DISC 1
イースⅣから11曲のアレンジが収録。
ノリの良いフュージョン系のバンドサウンドが魅力的なイースシリーズですが、それを活かした選曲がされておらず、アレンジとしては素晴らしいのですがキラーチューンが少ない。
DISC2
風の伝説ザナドゥの世界観をたっぷりと味わうことのできる、オーケストラサウンの感動メロディがメインである。
現代ではゲーム内で当たり前のように流れる本格的サウンドですが、当時はアレンジ作品でしか聴くことの出来なかったハイレベルな分厚い音が楽しめます。
DISC3
同ジャンルのイースシリーズとはまた違った、アクションRPGならではのテンションの上がるバンドサウンドが楽しめます。
ハードなサウンドもありますが、全体的にキャッチーな曲が多い印象で、また売りだと感じます。
レコチョク視聴出来ます。
感動的メロディーが好みの私が聴いた場合の全体感想
DISC1,2,3,トータルの感想です。
メロディアス
(聴きやすさ)
🔴🔴🔴🔴🔴
涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🔴🔴🔴🔴⚪
演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🔴⚪⚪⚪⚪
ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
⚪⚪⚪⚪⚪
ファンタジック
(壮大・神秘・幻想的)
🔴🔴🔴🔴⚪
疾走感
スローな曲多い
曲展開
バンドサウンドの曲:
シンプル
オーケストラの曲:
曲が長く構成もしっかりした聴き応え
🎼🎼:Falcom Sound Team J.D.K.
🎼:J.D.K.BAND
🎼:J.D.K. ELECTRIC ORCHESTRA
🎼:M.FUJISAWA PROJECT
🎼:米光 亮
各曲感想(DISC1)
DISC1
イースⅣ SUPER ARRANGE VERSION
ARRANGED by
米光 亮
1,
THE DAWN OF Ys
イースⅣ THE DAWN OF Ysのオープニング曲で、とてもイースらしいメロディの曲だと思います。
ゲーム中で使用されているサントラ版だと、ソプラノサックスの演奏が入っていたりとフュージョン色が強くなっていますが、こちらの米光 亮アレンジではキーボードをフロントに置いた演奏が想像でき、クリアな音使いでキラキラしたロックサウンドになっております。
出会いと別れ、訪れた地で様々な困難に立ち向かう、冒険家アドルの人生を描いたイースシリーズの、人間ドラマの部分を哀愁で、困難な事象の部分を勇壮さで、素晴らしくバランスの良いメロディにまとめ、ゲームミュージックと言うよりも、刑事ドラマやモータースポーツなどのテーマ曲のような、しっかりと演奏感のあるバンドサウンドがとても格好良い曲だと思います。
2,
プロマロック
爽やかなキーボードフュージョンアレンジで、陽気で楽しいメロディから哀愁あるメロディに入るところがとても好きです。
活気のある港町の日常をイメージできる素晴らしい曲が、更に力強く生きる人々の空間をイメージしたアレンジになっていると思います。
3,
THE SYOBAININ
とても賑やかで手数の多いドラムが心地よい曲です。
キーボードとギターでコミカルなメロディを盛り上げ、忙しなく仕事をするをこなしていく様子などがイメージできます。
4,
ロムン帝国
帝国と言うとお硬いイメージの強固な門や要塞が浮かんできますが、メロディはどちらかと言うと海賊や盗賊のアジトなどが浮かんでくると感じます。
キーボードとギターの演奏がしっかりと感じられる、ファンクなアレンジになっております。
5,
古代の伝承
古くから受け継がれた歴史ある事柄に、重々しい雰囲気の中触れる様子が伝わってくる、少しダークで神秘的な曲です。
EDM感のあるリズムとニューエイジが融合したような物悲しいメロディの曲です。
6,
バトル♯58
テクノサウンドとロックの融合したような、バトルらしい激しい曲です。
凶悪なモンスターを目の前にした緊迫した戦いを表現した様なメロディから、勇壮なメロディへ映るところがカッコイイです。
アレンジされたことにより、ロック感が少し減りダンスミュージック感が増しており、ギターソロの重厚感がも増しております。
7,
闇の一族
闇という部分がわかりやすく表現されている、悪役にピッタリの曲です。
アレンジされ途中に少し神秘的なパートがあり、ロールプレイングゲームとしての展開に華がプラスされています。
8,
聖域
聖域というと、個人的には神々しくパワーをもらえる場所をイメージするのですが、この曲はそんなイメージと真逆の、恐ろしい印象が強い曲です。
女性コーラスが神秘性を表現していると思いますが、そちらもどちらかと言うと恐ろしい印象のほうが先行してしまいます。
9,
レファレンス
雰囲気は暗いのですが、とても大事なお告げを聞いている場面などが想像できる、クリアな音使いの神秘的な曲です。
前曲の聖域という言葉が、こちらの曲の方が合っているように思える神々しいサウンドです。
10,
幻覚
曲名の通り知覚を狂わせられそううな不気味なメロディで始まり、サビで鋭くキラキラしたカッコイイメロディになります。
アレンジで途中に、アコースティックギターと透き通るシンセサウンドで繊細でせつない部分が追加されています。
11,
TOWER OF THE SHADOW DEATH
イースⅠでお馴染みの曲で、基本は変わっていませんが使われている音が増えていて、特にホーンセクションがバックに追加されているので、ゲームミュージックという位置づけから外れ、フュージョン色がとても増した聴き応えのある格好良いアレンジです。
各曲感想(DISC2)
風の伝説ザナドゥ
SUPER ARRANGE VERSION
1,
プロローグ
寺嶋 民哉
(寺嶋 民哉&J.D.K.E.オーケストラ)
オーケストラサウンドとニューエイジサウンドが絶妙に融合し、これから進んでいく美しい世界を想像させる穏やかでいてとても壮大な美メロ曲です。
2023年の今聴いてみると、イースⅨに使用されている楽曲の世界観にとても近いメロディ使いだと感じます。
現実の世界でも、古い歴史を伝えながら紹介するTV番組などのバックで流してもマッチしそうなのと、NHK大河ドラマでも通用しそうな曲展開などハイレベルな楽曲だと思います。
2,
教会
藤澤 道雄
(藤澤 道雄&M.FUJISAWA PROJECT)
単純にイメージする教会とは少し遠い雰囲気の曲です。
弾むようなリズムと綺麗なシンセサウンドで奏でいて、個人的には噴水輝くお城の庭園などがイメージできました。
歴史ある建造物の建ち並ぶ、ヨーロッパの街を散歩しながら聴いたりするのも似合いそうです。
3,
風の伝説
岸本 友彦
(J.D.K.BAND)
初期J.D.K.BANDらしいエレキギターのバック伴奏と、キーボードの主奏の勇壮なメロディのロックです。
シンプルでノリやすいドラムパターンが心地よく、ギターソロも短いですがしっかりとある、ポップさと哀愁がバランス良い曲です。
4,
氷洞
藤澤 道雄
(藤澤 道雄&M.FUJISAWA PROJECT)
弦楽器の多重奏を模している音使いで、優雅で少しさみしい雰囲気の曲です。
ヴァイオリン、チェロ、コントラバスなのでしょうが、個人的にはどこかの民族弦楽器などで演奏しているイメージの方がしっくり来る印象がです。
5,
SOPHIA
藤澤 道雄
(藤澤 道雄&M.FUJISAWA PROJECT)
ロールプレイングゲームの女性キャラクターテーマ曲らしい、優雅さとさみしさを併せ持った癒やしサウンドです。
どこか悲しき定めを背負っているような深い曲になっていると思います。
6,
継承者
寺嶋 民哉
(寺嶋 民哉&J.D.K.E.オーケストラ)
ハープとピアノ演奏が美しいせつないメロディの曲です。
どこか懐かしいオーケストラで奏でる雅な雰囲気で、感動を誘う場面と合わせて聴いたらとてもグッとくると思います。
7,
砂漠を渡る鳥
岸本 友彦
(J.D.K.BAND)
ガッチリとしたエレキギターの演奏とキーボードで奏でる、熱いロックサウンドです。
’90あたりのJ-ROCKの雰囲気も醸し出しながら、歌詞付きも似合いそうなポップな曲です。
8,
砂漠の風
藤澤 道雄
(藤澤 道雄&M.FUJISAWA PROJECT)
フォークサウンドと西部劇の雰囲気を足したような、渋さと哀愁が素敵な曲です。
鍵盤ハーモニカの音を主旋律に使用しているところがまた格好良いです。
9,
静寂の尖塔
寺嶋 民哉
(寺嶋 民哉&J.D.K.E.オーケストラ)
壮大なオーケストラサウンドで繊細なムードを漂わでながら、せつなく雄壮に進行していく曲です。
シンセサイザー奏者の喜多郎が得意とする、勇ましいけどどこか暗い雰囲気の世界観に似ていて、命をかけた戦いの前のような緊張感のあるサウンドになっている感動アレンジです。
10,
暗黒の翼
岸本 友彦
(J.D.K.BAND)
エレキギターのリフと鋭い音色のキーボードで、ノリの良いミディアムテンポのロックアレンジになっております。
曲名のイメージとは逆に、どちらかと言うと明るめのパワーをもらえるサウンドで、ロールプレイングゲームよりはモータースポーツゲームなどに似合いそうです。
11,
エンディング
寺嶋 民哉
(寺嶋 民哉&J.D.K.E.オーケストラ)
エンディングタイトルだけあって、とても感動できるアレンジになっています。
アコーディオン音を使ったニューエイジサウンドから、感動的オーケストラサウンドに変わる曲展開が素晴らしく、全てが終わった後のせつなくさみしい雰囲気から、晴れやかなあたたかい雰囲気まで詰まった、聴き応えある曲です。
各曲感想(DISC3)
ぽっぷるメイル
SUPER ARRANGE VERSION
1,
オープニング 遥かなるヴァルハラ
寺嶋 民哉
(寺嶋 民哉&J.D.K.E.オーケストラ)
豊かな自然に囲まれた王宮、そして城下に早朝の朝日が降り注ぎ一日が始まる。
そんな情景が浮かぶ優雅で壮大なオーケストラサウンドです。
2,
JUNGLE(戦闘)
岸本 友彦
(J.D.K.BAND)
日本ファルコムの、王道を外した作曲センスの光る楽曲となっていると思います。
PCエンジン版のオリジナルだと、テンポが速いのでまだ戦闘曲として合っていますが、こちらのアレンジでは少しゆっくりになっていてコミカルな雰囲気があるので、楽しい曲という印象が強いです。
3,
CAVE(戦闘)
岸本 友彦
(J.D.K.BAND)
こちらは前曲よりは戦闘らしさのあるアレンジです。
PCエンジン版はやはりテンポが速く、頭脳戦を強いられるような戦闘をイメージできる曲ですが、こちらのアレンジでは何かの場面をイメージできると言うよりは、普通に格好良いフュージョン曲のようでポップな仕上がりになっていて、ベースパートやギターソロの泣きの演奏なんかもとても良いです。
4,
メドレー(オープニングデモ1〜ステージボス〜中ボス〜ガイストレイス〜ステージクリア)
岸本 友彦
(J.D.K.BAND)
ノリの良いアレンジが多く、イメージですがサーカスの演目に付けたサウンドをメドレーで聴いているような感じです。
しっかりとしたバンド演奏を感じながら、明るく楽しく駆け抜けていく楽しい曲です。
5,
VOLCANIC ZONE(戦闘)
岸本 友彦
(J.D.K.BAND)
ワンダラーズフロムイースの世界観に少し近く、勇敢な戦士をイメージできるとても格好良いキーボードロックアレンジになっております。
バックのギターリフがとても心地良く、メロディがどんどん盛り上がっていくタイプで勇ましい曲です。
6,
ICE BERG(戦闘)
岸本 友彦
(J.D.K.BAND)
氷の世界をイメージできるような透き通る音使いの軽やかな曲です。
ベースパターンなのでしょうか、初期のイースⅠ・Ⅱ辺りにのサウンドに近いものを感じます。
哀愁あるメロディも途中にあり、全体的には淡々と進行していく曲ですが、ドラムソロで終わりそのまま次曲へ繋がります。
7,
CASTLE(戦闘)
岸本 友彦
(J.D.K.BAND)
前曲からドラムソロで繋がり、こちらはアップテンポで格好良いメロディの、メタル寄りハードロックとなっております。
ベースとドラムの王道シンプルな演奏が逆に熱く、自然に身体が揺れヘッドバンギングもしやすいです。
キーボードで奏でる哀愁ある主旋律が格好良く、間にしっかりギターソロを挟み曲展開もしっかりしています。
8,
MENU
岸本 友彦
(J.D.K.BAND)
90年代前半のファルコムサウンドによくある印象の、個人的に好きなタイプのサウンドとアレンジです。
MENUの曲としてはもったいない素敵なロックアレンジになっています。
ロードモナークの曲をアレンジしたものにありそうな、軽快なノリの明るいメロディです。
9,
エンディング(1) 誰かがあなたを愛してる
寺嶋 民哉
(寺嶋 民哉&J.D.K.E.オーケストラ)
エンディングでも色々な印象を与える世界観があると思いますが、こちらの曲はハッピーエンドな雰囲気がとても感じられる素敵な曲です。
悲しくなりすぎず、また良い意味で壮大すぎず、飽きが来てしまうような長編物でもない、ヴォーカル曲のバラードのように馴染みやすくわかりやすい感動が伝わります。
最後に
ファルコム スペシャルBOXシリーズの94年作品を紹介いたしましたが、アレンジCD3枚組というとても貴重なBOXなので、インストゥルメンタル全般が好きという方は聴いてみる価値有りだと思います。
スペシャルBOXも求める内容としては当たり外れがあるものの、やはりBOX内でしか聴けないものや企画・特典などが魅力です。
世界的にゲームミュージックの注目が昔以上に高まっていると思うので、音楽に力を入れている日本ファルコムさん、是非ともシリーズ復活をお願い致します。
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