メロディック・インストゥルメンタルを好むわたくしがハマった、技巧プレイとハードな音がメインの、メロディアスではないインスト。1作品
メロディアス、ファンタジック、勇壮などのインストが大好物で、ストーリー性のある心にグッと来る感動を求めて音楽を探しているのですが、今回珍しくメロディアスとは少し遠い楽曲が並ぶ作品にハマりました。
HR/HMのヴォーカル物だと、深い闇を表現したようなほとんどメロディが無いジャンルもありますが、プレイヤーのソロ作品でのインストものは、ポップではないにしてもそれなりにメロディアスな展開が用意されているという勝手な思い込みがありました。
そんな中購入した『Ⅱ』をいつも通りワクワクしながら聴き始めました。
アルバム最初の方の展開はまだ良かったのですが、曲が進んでいくにつれメロディが薄らいでいきガッカリな感情が押し寄せてきました。
ただ、ここからが不思議で、ギターの技巧プレイととても力強いドラミングのおかげなのか、ガッカリしたはずなのに何度も1曲目から聴き直したいという感情が押し寄せてきたので驚きました。
そうなんです!ノリが最高なんです!
ノリと言ってもダンサブルなものでは勿論なく、綺麗なメロディもほとんどないのですが、激しいギターとドラムの音を純粋に楽しみたくて何度も聴いてしまうのです。
英語のタイトル表記では、『JASON RICHARDSON & LUKE HOLLAND』とあるように、とにかくギターとドラムのスペシャルな音とリズムを楽しめる作品になっております。
この作品メンバー
JASON RICHARDSON [ジェイソン・リチャードソン]
CDブックレットより
(ギター)
(ベース)
(シンセサイザー)
(オーケストレーション)
LUKE HOLLAND [ルーク・ホーランド]
(ドラム)
感動的メロディーが好みな私が聴いた場合の全体感想
🎼:ジェイソン・リチャードソン
🎼:ルーク・ホーランド
(聴きやすさ)
💜🤍🤍🤍🤍
オープニングや繋のような短い曲は、オーケストラ表現などで聴きやすいが、ほとんどがハードな演奏で進行していきます。
(抒情的美メロ)
💜🤍🤍🤍🤍
涙腺を刺激するような美メロはありません。
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
💜💜💜💜💜
ギターのエッジの効いた音と速弾き、刻みリフがとにかく気持ちよく、それを支えるドラムが素晴らしく、変拍子をまじえたリズムを疾走感あるアグレッシブな演奏で魅せてくれます。
ドラマーのソロ作品と言っても良いぐらいです。
(民族音楽的要素)
💜🤍🤍🤍🤍
ある1部分だけ民族音楽のような演出があるので、ハート1にしました。
(壮大・神秘・幻想的)
💜🤍🤍🤍🤍
使用箇所は少なく短いですが、オーケストラサウンドでファンタジー映画のような壮大の曲があります。
変拍子も多用されているので聴きにくく、速いテンポという意味での疾走ではありませんが、一小節の中に詰まった音の刻み速度はとても爽快でテンションが上がります。
疾走感の項目でも書きましたが変拍子が多用されているので、ゆっくり重みのある音から一気にテンポアップして進行していったりと、プログレメタルが好きな人は気にいると思います。
ストーリー性といった意味での展開は、アルバム全体を通すとあるように感じますが、CDブックレットには統一されたコンセプトなどはないと表記されていました。
レコチョク試聴できます。
各曲感想
1,
TENDINITIS
荒廃した大地を想像させるようなダークなメロディのオーケストライントロから始まり、そこから一気にギター速弾きとともに盛り上がっていきます。
今作品の中では疾走感のある方で、複雑なリズムと激しいギターリフが特徴的の弾きまくる曲です。
2,
ISHIMURA
和風なイントロから始まる今作品唯一の聴きやすいメロディアス曲です。
一曲目からの流れで言うと、荒廃した大地に一筋の光が差し込んでいるような光景がイメージできます。
それでもポップとは程遠いのですが、とても癖になるループメロディとサビに当たるであろう部分の明るいフュージョンチックなメロディが良いです。
3,
POLYRHYTHMIC PUG
2曲目から繋がって始まるこの曲は、曲名にポリリズミックとあるように複数のリズム、拍子が入り交じるハードで難しい曲です。
短めの曲なのでサラッと聴け、ドラミングに複雑な中にも心地良さがあり、ギターとドラムのテクニカルな演奏を楽しむという意味でスカッと爽快な気分が味わえます。
4,
P00MBACHU
民族音楽のイントロから始まり、途中にはジャズ演奏の部分もあり、ファミコンの音楽のような部分も出てきたりと、とても不思議な世界観の長めな曲です。
ちょっとしたメロディアスさはところどころ出てきますが、基本的には暗く重い雰囲気でブラストビートで疾走したりドゥームメタルばりに失速したりを繰り返しながら、ギターとドラムがバトルしてくようなテクニカル曲です。
5,
SPARROW
ダークで重厚感のあるプログレッシブ・メタルといった感じです。
シンセがメロディをメインで奏でているわけではありませんが、バックでしっかり世界観を広げてくれていて、同時にチェロの音もゴシックホラーな雰囲気をプラスしてくれています。
最初の方にほんのちょこっとだけ『チルドレン・オブ・ボドム』をイメージさせるような雰囲気が出ますが、全体的にはゆっくりなリズムがほとんどで、不思議と自然にヘッドバンギングしてしまうようなノリです。
6,
THRENODY
静かで穏やかな雰囲気と、壮大な雰囲気がとても出ている、繋のようなニューエイジ的な短い曲です。
7,
BYRONIUS OF THE 4TH ORDER
こちらは比較的メロディアスな曲で、ゆっくりなテンポに乗せたクリアなギターの演奏と、バックのホラーサスペンスな世界観が楽しめる短めな曲です。
8,
XIV 2.0
前曲のバック演奏の部分だけを取り出したような繋の短曲で、流れるようなギターの速弾きが聴けます。
9,
BEHOLD 2.0
バックのシンフォニックな演出とテクニカルなギター演奏が満載の、シンフォニック・ブラックメタルの印象な曲です。
悲壮感がとても出ており、悪魔城ドラキュラシリーズの曲をメタルミュージシャンが作曲したらこんな感じになるのかなとも思います。
10,
GOODBYE_
淋しいメロディと不協和音が入り混じり、ナレーションのような演出でラスボスを倒したかのような場面がイメージできる短曲です。
11,
UPSIDE DOWN (FEAT. TIM HENSON)
こちらの曲は1曲の中でストーリーになっているような流れの展開が素敵で、ダークではありますが攻撃的な演奏は控えめで、弾きまくる超絶技巧な感じではありませんが、ティム・ヘンソンとのギターバトルが楽しめます。
最後に
今回は、どちらかと言うとミュージシャンが聴いて勉強につながるような、テクニックと複雑な展開を楽しむような作品でしたが、メロディアス重視のわたくしがこんなにもハマって繰り返し聴きたくなるのには、正直驚いています。
10年、20年前だったら絶対に最後まで聴かずガッカリするような内容ですが、食の好みと一緒で年齢を重ねるごとに音楽の趣味も変わっていくものなのだと実感した今日このごろです。
自分自身ミュージシャンではないので、どこがどう癖になるのかは上手く説明できませんが、とことんダークな世界観と身体が自然にノッてしまうような激しいリズムは必聴で、次々と押し寄せるテクニカルなギタープレイはとてもカッコいいです。
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