ゲーム内音源と、パワーアップかつストレートにアレンジしたヴァージョンの2枚組。生楽器の音には劣るが、厚みを増した表現やクリアな音の広がりで美しくアレンジ!わたくしの好み形成シリーズ
作品名:
ファルコム・エンディング・コレクション
1987-1992
(1993年作品)
製作:
Falcom Sound Team J.D.K.
こちらの作品もインストの好み構築の基礎になったうちの1つで、思い出深いものになります。
ですが、今まで紹介した中では少し単調で、生楽器を使ったアレンジでもないので、盛り上がりにも乏しいものになります。
とは言っても1993年と古い作品ながら、個人的には現在でも飽きずに聴けているとても素晴らしいCDです。
今でも好きですが、当時イースⅠの『THE MORNING GROW』という曲が大好きで、収録曲に入っているのを知り、しかもアレンジされたものも収録されるているということで、発売してすぐではなかったと思いますが、凄くワクワクしながら手に入れたのをおぼえています。
そして期待をはるかに上回る感動に出会えました。
ありえないくらい美しいアレンジに仕上がっていて、聴いた1番最初は、理想を超えた美しさのあまり、精神的にも未熟で、思春期ど真ん中で、音楽を聴いた経験値が低い私は、涙が頬を伝ったのを今でも鮮明におぼえています。
イースⅠ・Ⅱはとてもたくさんのハードで出ており、その作品の数だけ曲『THE MORNING GROW』が存在するわけですが、どのハード、どのCD、どのアレンジよりも、このエンディングコレクションのアレンジに勝てる美しさはありません。
現代のゲームミュージックの壮大さと比べたら、とても弱いインパクトかもしれませんが、美しい音色でゲーム12作品の、バンドスタイルを模したアレンジ21曲が収録されている今作は宝物です。
レコチョク視聴できます。
今回感想を書いたのはDISC2のアレンジヴァージョンのみです。
ポイント
・バンド演奏を模した打ち込みアレンジのため、フュージョン色が強い。
・エンディングを表現するメロディを含めつつ、ポップでポジティブなサウンド。
・オリジナル音源とアレンジヴァージョン全て同一曲なので、アレンジセンスの凄さを感じながら聴き比べられる。
感動的な音楽が好みの私が聴いた場合の全体感想
🎼🎼:Falcom Sound Team J.D.K.
本当は[涙腺刺激]をもっと高得点にしたかったのですが、本当に刺激されるのは1曲目の『THE MORNING GROW』だけなので全体で考えると1で仕方ないです。
・ポップ感
(聴きやすくメロディアスな曲が多い)
🔴🔴🔴🔴⚪
・演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
⚪⚪⚪⚪⚪
・疾走感
(⬅スローテンポ多・アップテンポ多➡)
🔴🔴🔴⚪⚪
・ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
⚪⚪⚪⚪⚪
・涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🔴⚪⚪⚪⚪
各曲感想
2枚組作品ですが、DISC1がゲームオリジナルサントラ音源なのと、DISC 1,2とも全く同じ曲の収録なので、感想はDISC 2のアレンジヴァージョンのみにします。
日本ファルコムサウンドチームが自らアレンジしたのも特徴の作品です。
1,
THE MORNING GROW
(イース)
こちらは名曲で、イースⅠ・Ⅱが特に沢山のハードで発売されていることもあり、発売のたびに色々なアレンジでをされ、または音楽CDに収録されてきています。
当時このCDを購入したのも、この曲のアレンジヴァージョンが収録されていたからでした。
期待を膨らませ、ワクワクしながら再生した時の記憶は今でもハッキリ覚えています。
体に電気が走るとは、まさにこういう事を言うのだと実感した衝撃で、クリアでキラキラしたイントロが流れた瞬間に鳥肌がゾワゾワゾワッ!と立ち、最初にも書きましたが、当時の幼き私が聴き終わるころには美しさのあまり涙してしまった名アレンジです。(あくまで1993年という時代の話なので、クオリティは現代のゲームには敵いません。)
前置きが長くなりすぎました、肝心の曲はというと、とてもせつなく勇壮なメロディで、主人公側ではなくストーリー上で出会った人達側が別れを悲しむ感情をメロディにしているような印象です。
おなじみのイントロがとてもクリアーなキラキラした音になっており、しっかりしたドラムに支えられ、シンセサイザーで演奏している様子が想像できるような流れから、途中のせつなく淋しいメロディが、フルートとティンホイッスルの中間のような音色で美しく、大サビ前の勇壮なメロディでバックの力強いピアノ音が入っていて格好良く、大サビに入ります。
とてつもなく素晴らしいアレンジなのに、とにかく曲が短い!盛り上げながらあと5回くらい大サビを繰り返してほしかったです。
2,
SEE YOU AGAIN
(イース)
こちらは同じ作品イースのエンドロールで流れる曲ですが、前曲とは打って変わってとても明るく賑やかなサウンドになっております。
リズム楽器の疾走感がとてもあり、Bメロが少しせつなくなるところが好きです。
ゲームをプレイしてくれた方に感謝を込めたような、アップテンポのお祭りサウンドで、この時代のファルコムさん得意の、私が勝手に表現するために作った言葉→【ありがとうエンディング】メロディになっております。
3,
エンディングⅠ
(ソーサリアン)
鍵盤打楽器の音で表現している優しい曲です。
メロディはとても親しみやすく、途中のコントラバス低音がいい味出しており、ピッコロともティンホイッスルともとれるような音色が最後の最後で入ってくるところが好きです。
4,
エンディングⅡ
(ソーサリアン)
ワルツのリズムで少し神秘的なサウンドを、こちらも木琴・鉄琴、グロッケンシュピールのような鍵盤打楽器とハンドベルなどのような音色がとても綺麗です。
メロディは優しい落ち着いた雰囲気で、淡々と進んでいきます。
5,
A STILL TIME
(イースⅡ)
イースⅠの曲が素晴らしかっただけに、少し拍子抜けな感じはあります。
こちらは感動というより、長い戦いが終わり静けさが戻った様子を曲で表現しているようで、ストリングスを表現したようなシンセのバックリフにフルート音の優しい演奏が入った、小鳥のさえずりなんかがSEで似合いそうな雰囲気です。
6,
STAY WITH ME FOREVER
(イースⅡ)
イースⅡも『SEE YOU AGAIN』には少し劣りますが、【ありがとうエンディング】の表現がされていると思います。
フルートやケーナあたりの音色に続き、サンポーニャに近い音の表現進行する管楽器メインのアレンジになっております。
ドラム・ベースのパートはハッキリ入っているので、バンド演奏スタイルのニューエイジサウンドになっています。
収録時間は極短で少し驚いているのと、原曲のにぎやかさが少し影を潜め落ち着いたアレンジになってしまっております。
7,
帰還
(戦国ソーサリアン)
王道的な雰囲気の曲で、こちらも鍵盤打楽器の音色とハンドベルの音色がメインになっています。
戦いの後の穏やかな世界が表現されていると思います。
8,
GOOD−LUCK! GOOD-BY!
(ピラミッドソーサリアン)
しっかりとしたバンドサウンドでキーボード演奏を表現したハードめな曲です。
ファミコンなどの内蔵音源のような印象を受けるデジタル音のイントロが印象的で、戦士をイメージしたような勇壮なメロディも良いです。
9,
STAR TRADER
(スタートレーダー)
シューティングゲームらしいカッコイイメロディの曲です。
ストリングスを表現したようなイントロがカッコよく、軽快なバンドサウンドで宇宙をイメージているのと、全体的にキラキラし構成で勇壮なメロディを表現しています。
10,
旅立ちの朝
(ワンダラーズ・フロム・イース)
ヒーリングミュージックのような爽やかで癒やされる曲です。
エンディング感はあまりなく、どちらかと言うとオープニングの方が合っているイメージです。
エレキギターで爽やかに演奏、またはフィンランドの民族楽器カンテレで演奏しているような、バックのリフで始まるイントロも綺麗で、壮大さと爽やかさをプラスしたアレンジが『朝』のイメージにとても合っていると思います。
11,
WANDERERS FROM Ys
(ワンダラーズ・フロム・イース)
ファンタジックなイントロが印象的なとても勇壮な曲です。
私の好きなPCエンジン CD-ROM2オリジナルヴァージョンを、更にオーケストラ風にアレンジした感じになっております。
全体的な強弱も素晴らしく収録時間も長く、イメージとしてはその土地を救った勇者を称え、個人的ではなく国規模で送り出すような壮大な世界観が表現されていると思います。
マーチングドラムの表現がカッコよく、オリジナルヴァージョンでは静になるパートが、全開で盛り上げるパターンに変わっているところも良いです。
最後が曲の終わりを予感させる演出で、少しゆっくりなタメを作る演出で盛り上げるところも良いです。
12,
BELIEVE IN MY HEART
(ワンダラーズ・フロム・イース)
90年代前半のヨーロピアンメロディアス・ハードのような、カッコイイメロディのキラキラサウンドです。
ヴォーカル曲でも合いそうな展開と、激しくはありませんがキーボードソロのパートもあり、テンポは遅いですが拳を振り上げたくなるような曲です。
13,
エンディングⅠ
(ドラゴンスレイヤー英雄伝説)
平和が訪れたのが半信半疑のような人間の心理をメロディに表現したような、または、平和も嬉しいが失ったものも多い状態で、手放しに喜べない状態を表現したような、感動できそうでできない感じです。
全体的にフルート音がメインで淋しい曲で、少し重苦しい雰囲気から、途中せつなくなり曲後半で晴れやかな雰囲気へと進んでいく展開は良いです。
14,
エンディングⅡ
(ドラゴンスレイヤー英雄伝説)
エンディングⅠからガラッと変わり、このCD1番の明るい曲になっております。
これもまさしく【ありがとうエンディング】なサウンドで、感動メロディはありませんが私個人的にプレーヤーへの感謝がとても込められていると思えるスタッフロール曲です。
キーボード演奏をイメージした音作りになっていて、サビの前でホーンセクションを模した音表現で盛り上げをプラスしているところも良いです。
15,
夢つむぎ
(ダイナソア)
暗めで少し神秘的な雰囲気がある曲です。
曲展開にも乏しく、エンディング曲の前とかにありそうな、盛り上がりに欠けるアレンジです。
16,
風の紋章
(ダイナソア)
ハードなキーボードロックでとてもカッコイイです。
ですが、エンディング感はあまりなくボス戦の方が似合いそうです。
キーボードパートメインで演奏してる感がとても出ていて、ロックインストとして素直に良曲です。
収録時間が短いのも残念です。
17,
エンディング
(ロードモナーク)
明るい雰囲気とメロディがとても良いです。
キーボード音メインで、サビになるとサンポーニャ風の音で構成された小気味良いサウンドです。
全体的には単調ですが、Cメロにあたる部分もあり展開がしっかりしております。
18,
エンディング
(ブランディッシュ)
イントロのメロディが良曲を予感させるスタートで期待してしまいますが、めちゃめちゃ短曲です。
パーカッションの軽快な音と、少しせつないメロディのギャップが良いです。
シンセで奏でるニューエイジ音楽のようで世界観はとても良いです。
19,
エンディングⅡ
(ブランディッシュ)
THE SQUARE時代使用の楽器、リリコンの音色を彷彿とさせるキーボード音がカッコよく、オルガンの音でバックを支え、サビのメロディがとても好みで、控えめではあるがソロもあり構成は良いですが、盛り上がると期待させ終わってしまいます。
20,
エンディングⅢ
(ブランディッシュ)
ドラムもしっかり入っていてバンド演奏感はとてもありますが、メロディがあまり感動的ではありません。
時間も極短で、良い部分がなく終わってしまう印象です。
21,
エンディング
(アドバンスド ロードモナーク)
私はこちらがとても好きで、全体的には単調な強弱が少ない曲ですが、メロディに哀愁感があって時間も長く、1番2番がちゃんとあり、2番のサビ後に少しアレンジを利かせて、違う展開を匂わしながら大ラストにイントロと同じメロディを使って締めるという展開がとても良いです。
最後に
今こうしてじっくり聴いてしまうと、29年という月日が流れて音楽を聴く経験値もアップしているというのもあって、涙を流したというのは少し恥ずかしいですが、『THE MORNING GROW』は本当に私の好きな曲展開の基本となっており、悲しさを乗り越える心情をイメージさせるメロディは逸品です。
そこにクリアなキラキラしたアレンジをプラスされてて、中学生レベルの音楽人生では「今までこんな綺麗なサウンド聴いたことがない!」となって涙腺が刺激されたんだと思います。
THE SQUAREの『OMENS OF LOVE』、CASIOPEAの『LOOKING UP』を聴いた小学生低学年時点で、メロディアスで感動的なサウンドが好みの基礎にはなっていましたが、このファルコム・エンディングコレクションヴァージョンの『THE MORNING GROW』に出会ってからは、この曲と同じ様な世界観のインストゥルメンタルを求めはじめた人生になったのは間違いありません。
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