目を閉じヘッドホン・イヤホンでじっくり聴きたい。モノクロで描かれた裏の日常に迷い込んだような不思議な空間、アナザーワールド型メロディック・ジャズ。1作品
作品名:
HELIX
(2014年作品)
ミュージシャン:
PRIMITIVE ART ORCHESTRA
バンドスタイルで楽器の音と演奏に一番入り込めると感じるトリオ編成で、ピアノ、ベース、ドラムから作り出されるどこか空虚感のような不思議な世界観を抱かせてくれる、トランス型とも呼べるようなサウンドです。
ただ、決してダークな雰囲気というわけではなく、基本は全てメロディアスでリズムがとても心地よい曲が多く、ヘッドフォンなどでスゥーッと目を閉じ、ひたすら3種の楽器音に耳を傾けたくなる現実逃避タイプの作品だと感じました。
ポイント
シンプルでとても聴きやすいピアノジャズである。
疾走感があるというわけではないのですが、独特のダンサブルさが癖になる。
太陽光降り注ぎあたたかみのある感じではなく、モノクロのアナザーワールドといった世界観のメロディアスである。
レコチョク、タワーレコード試聴あり。
メンバー
感動的メロディーが好みの私が聴いた場合の全体感想
🎼:PRIMITIVE ART ORCHESTRA
・ポップ感
(聴きやすくメロディアスな曲が多い)
🟣🟣⚪⚪⚪
・演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🟣🟣🟣⚪⚪
・疾走感
(⬅スローテンポ多・アップテンポ多➡)
🟣🟣⚪⚪⚪
・ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
⚪⚪⚪⚪⚪
・涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🟣⚪⚪⚪⚪
各曲感想
1,
Primitive Morning
1羽の鳥の視点をずっと追っかけているようで、朝もやの中、美しい田園や花畑の上を優雅に飛んでいる情景が浮かびました。
優しいドラミングにずっしりと響き渡るベースが心地良く、そこに神秘的なピアノのメロディが乗っかるメロディアスな曲です。
2,
In a Dream
イントロのウッドベースの音色が特に印象的で、ジャズとして私が一番聴きやすいと思うスタイルの曲です。
ブライダルなどを連想させるような祝い事のテーマ的雰囲気と、カジノなどで演奏されていそうなラウンジサウンドの部分がミックスされたような良曲です。
3,
Blue MIST
疾走感のある軽快なドラムが気持ち良く、ベースの弾むような演奏がとても主張しており響き渡ります。
ピアノのテクニカル演奏もカッコよく、こちらの曲は疾走に合わせて豪快に鍵盤を乱舞していて、即興演奏ののような部分もテンション上がります。
4,
Shrine
ウッドベースの弓弾き演奏が印象的なイントロから始まり、そのままスラップ奏法で存在感を光らせ突き進みます。
全体的に見てもベースの音リズムがとても心地よい曲で、自然と目を閉じて聴いてしまいます。
ライブでジャムセッションを見ているようで、トリオそれぞれのが別の曲を演奏している錯覚のような不思議な感覚もあります。
5,
Exotica
情景として真っ先に浮かんだのが、雨の日の古い洋館と、その洋館が蔦の生い茂った外壁で時代を感じさせ、少し薄暗い中庭でした。
楽器演奏という感覚より、ピアノ、ベース、ドラムから音が自然に鳴っているという表現が似合う曲だと感じました。
目を閉じると聞こえてくる自然界の様々な音が、それぞれ魔法のように音符に変わっていきメロディとなったような、空想イメージな世界観です。
演奏はピアノメインのドラム、ベースは控えめな、ストーリー性のない印象を受けるメロディです。
6,
Helix
少し長めの曲で、メロディ、リズムともにとても聴きやすく、このアルバムの中では比較的ポップなサウンドだと思います。
イントロから続くピアノのメロディが癖になり、ジャズ特有と言いますか、音が増えていくのではなく段々と音の力強さが増していくタイプの盛り上がりがカッコイイです。
中でもドラムの演奏が、段階的にわかりやすく激しくなっていくジャズハイな展開がすごく好きです。
7,
Smokers Forest
盛り上がりは前曲Helixと同タイプで、スタートと終わりの激しさの違いがわかりやすいです。
ベース、ドラムももちろん演奏していますが、ピアノがメインで曲展開をコントロールしている印象です。
後半に行くにつれ躍動感のある演奏で美メロが駆け抜けていきます。
ただ個人的に曲の終わりがあっさりしすぎていて、ちょっと不完全燃焼感がありました。
8,
Cosmic Lotus
この曲はアルバム中最強に好みの1曲です。
他の曲はジャズとしてカッコイイという意味を込めての感想ですが、こちらはピアノインストとして、そして感動メロディ好きの私個人として素晴らしいと感じた曲です。
ストーリー性も感じられますし、サビと呼べる部分もあり「またあの美メロが来て盛り上がるんだ!」と期待を持って聴き入ることができます。
そして、勇気や力が湧いてくるような印象を受けるメロディが素敵で、かと言って壮大でファンタジックとかではなく、どこか自分自身に置き換えれるリアルな現実の中、恋愛だったり仕事や試験など、日々あるそれぞれの戦いと呼べる場面のテーマ曲になりそうな勇壮さがあります。
こちらも終わりがあっさりしすぎているところが少し残念で、もっとクドくても良かったと思います。
9,
id
エンドロールのバックで流れるのが似合いそうな雰囲気が感じられ、アルバム最後の曲にとても合っているメロディアスな曲です。
ヒーリングミュージック的な印象もあり、ドラマのサントラなんかでもありそうです。
テンポはゆっくりですが、後半になるにつれ力強くなっていくピアノの演奏が特徴の気持ち良いサウンドで、淋しさや悲しさはないメロディが、映像作品のエンドロールなんかにとても似合いそうです。
最後に
今回は久しぶりに、メロディアスなジャズに出会えたなという感じです。
トリオなのでシンプルでとても聴きやすく、しかもメロディアスなのではじめてのジャズに本当オススメだと思います。
近年はSNSの急激な普及で沢山の発信の場が出来たことにより、インストゥルメンタルジャンルもフュージョンブームの頃のように盛り上がって来ているように、若干感じております。
プロの方やそれだけじゃなく、プロと同等かそれ以上の素人さんも沢山いらっしゃる事と思います。
自主制作のCDや、配信などで発信を頑張っている方々などSNSで見かけたりすると、これからどんな素晴らしいインストゥルメンタルに出会えるのかワクワクしてきます。
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