プロミュージシャンがアレンジそして演奏!ゲームミュージックHR/HMアレンジ作品の走りとも呼べる伝説の良作!ベストと合わせ全5作品中の2作品。わたくしの好み形成シリーズ
ミュージシャン:
柴田直人
プロジェクト
パーフェクトセレクション
ドラキュラバトル
(1994年作品)
パーフェクトセレクション
ドラキュラバトルⅡ
(1995年作品)
現在(2023年)ではハードの性能が段違いに高くなったため、どのゲームをプレイしてもプロミュージシャンが作り出す音楽と変わらないものがBGMとして聴けますが、当時のファミコン、ディスクシステム、スーパーファミコン、ゲームボーイ、メガドライブなど、内蔵音源でいかに本物に近づけるかという時代で、シリーズ初期から音楽の評価が高かったゲームとして挙げられる内の1つが、この『悪魔城ドラキュラ』シリーズではないでしょうか。
もちろんわたくしも当時大ファンで、ディスクシステムの『悪魔城ドラキュラ』『ドラキュラⅡ 呪いの封印』ファミコンの『悪魔城伝説』PCエンジン SUPER CD-ROM²の『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』ここまではかなりハマりプレイしました。(悪魔城ドラキュラXに関してはかなり大人になってからですが。)
20代前半でゲームから離れてしまったので、プレイすることはなくなりましたが、サウンドが素晴らしいのはわかっているので、サントラを購入するのは続けていました。
とは言っても全ての作品を購入しなかったので、現在ではありえないくらいプレミア価格になっているサントラもありますよ。
コレクションとして全てに手を出さなかったことに、今ではとても後悔しております。
話を戻しますが、今回紹介するコナミのパーフェクトコレクション バトルシリーズの悪魔城ドラキュラ版、こちらもわたくしの夢を叶えてくれた素晴らしい作品になります。
自分がゲームをプレイしながら、音楽を聴いていたいがため死なないようにずっとその面のBGMを聴いていたのを思い出します。
一番思い出深いのは、ドラキュラⅡ 呪いの封印で日中の音楽『Bloody Tears』が聴きたいのに、時間がたつと夜になってしまいまたBGM『Monster Dance』に変わってしまうので、イライラしたことです。(笑)
そんな中プレイしながら思っていたのが、
「この曲達が生演奏で聴けたらなぁ〜。」
でした。
その思いを形にしてくれ、しかもシューティングバトル同様ジャパニーズ・メタルの重鎮『ANTHEM』の柴田直人さんが担当。
もとがゲーム音楽ということと、悪魔城ドラキュラシリーズということでカッコイイ曲しかありませんし、ちょうどわたくしがプレイしていた時代の楽曲が勢ぞろいしているので、スーパーお宝アルバムです。
2作品ポイント
・知っている人であれば聴いてすぐに曲がわかる、原曲忠実アレンジである。
・各曲にしっかりとしたソロ演奏部分があり、プロミュージシャンの素晴らしくスペシャルなセンスが光る。
・打ち込みで生演奏風に制作された作品とは違い、現役(1994年当時、2023年)で活躍されているミュージシャンの、魂のこもった演奏が聴ける。
パーフェクトセレクション ドラキュラバトル
演奏メンバー
柴田 直人
CDブックレットより
(ギター)
(ベース)
高浜 祐輔
(シンセサイザー)
清水 昭男
(ギター)
日下部 正則
(ギター)
感動的メロディーが好みの私が聴いた場合の全体感想
🎼:柴田直人 プロジェクト
ポップ感
(聴きやすい曲が多い)
🔴🔴🔴⚪⚪
演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🔴🔴🔴⚪⚪
疾走感
(⬅スローテンポ多・アップテンポ多➡)
🔴🔴🔴⚪⚪
ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
⚪⚪⚪⚪⚪
涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🔴🔴⚪⚪⚪
各曲感想
1,
Beginning
(悪魔城伝説より)
テンポの速い疾走ではないですがツーバスドコドコのイントロから始まり、オルガン音をバックに丁寧なメロディでギターの演奏が際立っております。
原曲と譜割が少し違うので新鮮な印象もあります。
ギターソロも格好良く、曲全体の雰囲気とマッチした拳を振り上げたくなる展開から、ソロの時間をオーバーするような演出の、バックでイントロのメロディが流れる部分にズレ込む演出が良いです。
2,
Bloody Tears
(ドラキュラⅡ 呪いの封印)
ドラキュラシリーズの中でも特に人気の曲だと思いますが、今作ではアレンジがとても光る出来になっております。
この曲は原曲を綺麗になぞらず、どちらかと言うと自作のオリジナル曲にBloody Tearsをフィーチャリングしたと表現しても良さそうなオリジナリティ溢れる展開で、さらにポップに仕上がっております。
キーボードの主張も強く、特にソロに入るときのメロディが素晴らしく、ドラキュラの世界観にとてもマッチしたメロディから、ギターのキャッチーな熱い演奏へと繋がれて感動をおぼえます。
終わりがあっさりしているのが少し残念ではあります。
3,
Ripe Seeds
(ドラキュラ伝説 Ⅱ)
メロディアス・ハードという言葉がとても似合うミディアムテンポの、原曲に忠実なアレンジになっております。
ホラーな雰囲気を表現する演出が目立ち、ソロプレイをずっと聴いているような展開です。
4,
Cross a Fear
(ドラキュラX 血の輪廻)
原曲のダンサブルな民族音楽テイストを感じさせる雰囲気を、少し明るいハードロックにしたようなアレンジです。
疾走感が少しアップしていて、ロックンロール、ロカビリーあたりの雰囲気を少し出しつつ、激しくクリアなギターソロも魅力です。
5,
Requiem for the Nameless Victims
(ヴァンパイアキラー)
エレキギターで優しく演奏される前半と、ドラムが入り明るい光灯る中・後半にうまく別れている素敵なバラードです。
TUBEのギタリスト、春畑道哉さんのサウンドが好きな方にオススメできる、スポーツ関係の番組テーマ曲が似合いそうな熱く美しいギターインストです。
6,
Op.13
(ドラキュラX 血の輪廻)
こちらの曲はタイトルは正確には『Slash』という曲になります。
『Op.13』という曲も実際に存在し、全くの別曲です。
どうやらコナミさんが当時、CDとして発売されたサントラと、今回のCDドラキュラバトルの表記を間違えていたということらしいです。
この『Slash』は個人的にとても好きな曲で、若干コミカルな印象を受けるイントロからの前半に始まり、中盤にドラキュラの世界観らしい雰囲気へと展開が変わり、サビにあたる部分でキーボードメインの一気に哀愁あるせつなメロディへとなるところが、とても癖になりやっぱり裏切らないなぁという満足感がある曲です。
今作のアレンジも原曲に忠実で、テンポがちょっと速くなっているので更にノリがよく、ギターソロが、最初からこうだったんじゃないか?というくらいマッチしております。
最後のサビがキーボードからギターになり、メロディを変え追い打ちをかける哀愁感が素敵で、とても内容の濃い1曲になっていると思います。
7,
Vampire Killer
(悪魔城ドラキュラ)
悪魔城ドラキュラと言えばこの曲ですが、アレンジ的にはとても落ち着いたヨーロピアン・メロディアス・ハードといった感じで、フェア・ウォーニング、ドリームタイドあたりをイメージできるカッコイイサンドになっております。
キーボードサウンドメインで、バックの刻みリフとソロにギターが入ってくる展開になっていて、全体的に派手さはなく時間も若干短めのあっさりアレンジです。
8,
Calling from Heaven
(ヴァンパイアキラー)
原曲は勇壮さが感じられる雰囲気でしたが、今作では極上のバラードアレンジとなっております。
バックのパイプオルガン音に哀愁感がある泣きのギター演奏が絡み、エンディング曲と言ってもおかしくないくらい涙を誘う抒情的アレンジになっていると個人的には感じます。
9,
聖者の行進
(ドラキュラX 血の輪廻)
行進曲風の原曲を、正統派メタルの鋼鉄サウンドと呼ばれるバンドが作りそうな曲へアレンジしております。
途中のキラキラ明るい夜明けの雰囲気を出した美メロがアクセントになっておりますが、全体的には淡々と重厚感のあるサウンドが続きます。
10,
夜まで待てない
(悪魔城ドラキュラ AC)
こちらも名曲ですね。
伸びやかなギター演奏が特徴的で、ヨーロピアン・メロディアスハードの雰囲気たっぷりなアレンジになっております。
心地よいバックのギターリフにメロディのセンス光るアレンジが素晴らしく、ゲームミュージックのエピックな雰囲気を取り払い、本格性が強いハードなサウンドになっております。
パーフェクトセレクション ドラキュラバトルⅡ
演奏メンバー
柴田 直人
CDブックレットより
(ギター)
(ベース)
盛山 浩一
(シンセサイザー)
太田 カツ
(ギター)
斉藤 和正
(ギター)
工藤 恭司
(ギター)
感動的メロディーが好みの私が聴いた場合の全体感想
🎼:柴田直人 プロジェクト
ポップ感
(聴きやすい曲が多い)
🔴🔴🔴⚪⚪
演奏乱舞
(ソロパートなど魅せプレイの充実度)
🔴🔴🔴🔴⚪
疾走感
(⬅スローテンポ多・アップテンポ多➡)
🔴🔴🔴⚪⚪
ワールドミュージック色
(民族音楽的サウンド)
🔴⚪⚪⚪⚪
涙腺刺激
(抒情的美メロ)
🔴🔴🔴⚪⚪
各曲感想
1,
Beginning
(ドラキュラX 血の輪廻)
1作目のドラキュラバトルと同曲でスタートしています。
こちらはドラキュラXのヴァージョンをアレンジしており、ドラキュラバトルのアレンジよりポップで爽やかなハードロックになっています。
とてもリズミカルでそのままゲームで使用しても雰囲気を崩さずに馴染みそうです。
2,
Theme of Shimon
(悪魔城ドラキュラ〜X68000)
原曲はベルモント家の伝統を感じる勇敢で由緒正しさみたいなものを感じる曲調ですが、こちらのアレンジではプロレスの入場テーマ曲なんかでありそうな、キーボードメインのメロディアス・ハードロックとなっております。
3,
Road of Enemy #1
(ドラキュラ伝説Ⅱ)
スローテンポのとても重厚感のあるアレンジとなっており、ドゥームメタルのヴォーカル無しみたいな印象です。
終始妖しげなメロディを繰り返し、ゆらゆら揺れている感覚で雰囲気重視の曲です。
4,
巣窟
(ドラキュラX 血の輪廻)
イントロのメロディをキーボードで演奏するループが心地良く、原曲はドラキュラメロディを使用した肩透かしで少し物足りない雰囲気の印象でしたが、ハードロックのどっしりとしたドラムとギターリフで、ドラキュラメロディが際立ち爽やかな良曲になっております。
5,
Theme from the Legend of Dracula
(ドラキュラ伝説)
ピアノとリコーダーやホイッスルのような音で優しく演奏されています。
民族音楽的な雰囲気があり、メロディが悲しくせつないので淋しいヨーロッパの伝統感が出ていて良いです。
6,
登城
(悪魔城ドラキュラ〜SFC)
原曲とは全く別物に格好良く生まれ変わっております。
メロディはそのままに、ドラムのツーバスやバックのシンセが素晴らしく、原曲に無いメロディでサビを作ってあり、とても哀愁あるメロディのためその部分を待ってしまいます。
短いですがギターソロがあり、そこで盛り上げた後にサビが来るところがたまらなく好きです。
7,
Thrashard in the Cave
(悪魔城ドラキュラ〜X68000)
とても原曲に忠実なアレンジとなっております。
ギターからキーボード演奏に入る部分などヘヴィメタル感が出ていて、バックのギターリフやソロの部分がメタル系ギタリストのソロ作品などでありそうで、速弾きなども自由感のあるアレンジになっております。
8,
Reincarnated Soul
(ヴァンパイアキラー)
この曲はヴァンパイアキラーの中で一番好きな曲なのですが、個人的にアレンジが少し残念で、原曲の少しダンサブルなリズムが好きだったのですが、こちらのアレンジは正統派ヨーロピアン・ハードロックといった印象で、もちろん格好良いのですが少しつまらない印象です。
とはいえドラキュラらしいメロディをギターとオルガン音で演奏していて、抒情的な部分は健在なので良いです。
9,
Iron Blue Intention
(ヴァンパイアキラー)
原曲に比べかなりスローなテンポになっております。
この曲もメロディが素晴らしいので、テンポが変わってもまた新しい印象で、イングヴェイ・マルムスティーンや初期ナイトウィッシュなどでありそうな、シンフォニックな部分も少しあるクラシカルなサウンドが楽しめます。
リードギターとリズムギターもしっかり分かれており、先にも述べたイングヴェイ・マルムスティーンのようなソロもあり、抒情的で哀愁ある熱い曲となっております。
10,
幻想的舞曲
(ドラキュラX 血の輪廻)
この曲はとても良い具合にアレンジで生まれ変わっております。
原曲はオーケストラサウンドで戦をイメージした鬼気迫る雰囲気でしたが、ギターリフとキーボードメインで演奏されていることで、伝えたいメロディがハッキリしたとのと、せつなさがプラスされたのとダークな部分が強調され暗黒感が増した印象です。
最後に
とても思い出深い作品の紹介でしたが、のちに数々の名曲が誕生していくことになりますが、名曲中の名曲というのはやはり初期の作品に集中しているのではないでしょうか。
わたくしが特にそう感じてしまうのは、初期作品のサウンドはバンドサウンドを模して一生懸命内蔵音源で表現していたからではないかと感じます。
近代のハードは性能が凄すぎてなんでも出来てしまうので、どうしても壮大さが先に出てしまっているような気がします。
原曲がすでにアレンジする必要のないくらい厚みのあるファンタジックな世界観を持っていたら、わざわざ音数の少ないバンドスタイルにする必要がなくなってしまいます。
そのためバンドサウンドのインストが好きなわたくしは、ドラム、ベースパートを頑張って表現したピコピコサウンドの原曲をアレンジした曲のほうが好みに合っているのかもしれません。
そんな初期サウンドを作り出した当時のコナミ矩形波倶楽部が、いかに特出した才能の集まりだったかというのがわかりますし、わたくしの好きなファルコムサウンドチーム j.d.k.も素晴らしいですが、それより何年も前からサウンドに触れていたコナミは、好み構築はまた別として潜在的に小学生時代から聴いているカッコイイを決める基準にはなっているのかもしれません。
初期曲をHR/HMアレンジした今2作品、聴いてみるのも過去を感じれて良いかもしれません。
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